地域再生の経済学―豊かさを問い直す (中公新書)

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著者 : 神野直彦
  • 中央公論新社 (2002年9月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (191ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121016577

地域再生の経済学―豊かさを問い直す (中公新書)の感想・レビュー・書評

  • 2002年刊行。◆非市場経済分野を主たる分析対象とする財政学。同分野のうち地域共同体の過去の道行と現状、将来像を提示する。◇各国の実例、日本の例をふんだんに示しているのは良。ただ、将来像が、理想主義的・桃源郷的な感はある。もちろん、こちらに税政、税金投入の対社会効等の基礎知識が足りないせいもあるが…。◆著者は東京大学大学院経済学研究科教授。

  • タイトルが違う 地域再生の財政学が適切かと

    「地域経済の再興」と「地方分権の財政運営」は両輪である、との指摘はその通りであるが、
    経済の論説が物足りなかった。

  • ※メモ

    【きっかけ】
    地域経済について積読だったものに着手。

    【概要】
    地域経済の問題と財政構造について。

    【感想】
    古くて狭い。
    かつ、ヨーロッパ礼賛信仰の域を出られず。

    ネット社会の進展の大幅な進歩があったことは、出版時と現状の違いではある。
    それは織り込まれていないとしても、官・政を変革の責任者として置いている点は、今の目から見ると果たしてそれでどうなのという印象になる。
    空間としての都市については、付け焼刃で論じている印象をぬぐえず。

    地方財政の構造と中央との関係の入門にはなった。

    時代的に、反郵政民営化の論調を感じる。

  • 請求記号:SS/318.6/J52
    選書コメント:
    現在、今まで我々の生活を成り立たせてきた様々な既存の「仕組み」が、その限界を見せ始めています。そこで、今後、我々が目指すべき社会や経済のあり方について、人々の生活基盤となる地域社会に焦点を当てて論じられています。雇用や産業といった経済的な側面から、政府のあり方やライフスタイルといった様々なテーマについて考えるきっかけを与えてくれる内容となっています。
    (環境創造学部環境創造学科 齋藤 博 准教授)

  • 正直言って、特に税の部分は不得手であるので、難しかった。
    が、今の地方創生に通ずる。ていうか、そのものであった。
    10年以上も前に書かれている。さすがは、神野先生だ。

  • 日本の地域がどうして縮小していったか、東京、大阪名古屋の大都市にどうして人口が集中するのか。

    その経緯を経済学の観点からまとめた一冊。

    少し難しくて、あんまりインプットできなかったけれど、、

    大都市には人口が集まるけれど、生活機能はないので、ホームレスや生活保護者など、生活に困窮する人が多いらしい。

  • 財政とは市民が支配する共同の家計である。財政では、市民の共同負担によって、市民の共同事業が実施されていく。
    工業によって荒廃した都市を、人間の生活する「場」として再生しようとするヨーロッパの地域再生では、財政による市民の共同事業として、自然環境の再生が最優先される。つまり、工業によって汚染された大気、水、土壌を蘇らせることが、市民の共同事業の中心テーマとなる。(p.10)

    そのため工業社会では、経済の本質が蔽い隠されてしまう。繰り返せば、経済とは人間が自然に働きかける行為である。ところが、工業社会では人間も自然も排除しようとする方向に動くのである。(p.38)

    財政学的アプローチを現在の視点から学び直せば、非市場経済の重要性を忘れてはならないということである。確かに、市場経済を拡大させ、大量生産・大量消費を実現させ、飢餓的貧困という災禍に苦悩することは解消した。しかし、それも強制的結合にもとづく共同経済、つまり財政が福祉国家として機能することを前提としていたのである。(p.50)

    福祉国家は中央集権国家である。人間の生活が地域社会における人間の絆で支えられているのではなく、遠い政府の参加なき民主主義によって保障されることになる。
    そのため地域社会への帰属意識は薄らいでしまう。地域社会での自己の存在をアイデンティファイすることもできなくなる。地域社会同士の連帯の上に、国民国家が統治するという姿は見えなくなる。(p.60)

    地域社会には人間の暮らしがあり、伝統的文化がある。それぞれの地域社会には食の文化があり、食の文化にもとづく食生活は地域社会の食の生産と結びついている。(p.83)

    人間の育成はあ共同体の相互扶助として実施されてきた。というのも、人間の育成そのものが、人間が社会を組織する目的だからである。人間の育成は生産のために行われるわけではない。その逆である。人間を育成していくために、人間は生産を行っている。しかし、人間の社会の目的である人間の育成が、生産の前提条件となり、社会の構成員が共同作業で担わざるをえなくなる。(p.147)

    行政改革といえば、内部効率性のみを追求しがちである。しかし、地方財政では外部効率性のほうが内部効率性よりも重要である。外部効率性とは地域社会のニーズに合っているかどうかという効率性である。ニーズに合っていない公共サービスをいかに安い価格で生産しようとも、それは無駄であり、非効率である。(p.158)

    里山の保護は自然環境の保護にとどまらない。自然と共生してきた日本の文化の保護でもある。つまり、里山条例は「潤いと安らぎのある都市環境を形成」する目的で、「人と自然の豊かな触れ合いを保持する」だけでなく、人と人との触れ合いの保持ともいうべき「歴史および文化を伝承するため」でもある。(p.174)

  • 第一に欲望かニーズかの問いかけ。第二に社会資本という言葉の意味が現在の日本でどのように捉えられているのかということについて。

  • ポスト工業社会を知識社会と位置づけ、崩壊する地域社会を再生するための方策を考察している。そのためには、地域社会の共同経済たる「財政」に係る自己決定権を付与するべきとする。言わば、地域再生を目指すためにはまず地方分権を進め、地域のことを地域が決められるようにするべきということか。
    本書が書かれたのは2002年だから、この時には機関委任事務は廃止されていたはずだが、さらに自己決定権を高めよということなのだろうけど、具体的にどのような面の自己決定権を高めればよいのか、必ずしも明らかではなかったかなと思う。もちろん読み飛ばしてしまったかもしれないが…
    社会史というんですかね、日本の経済や社会の変遷について学べたのは良かった。まさに工業社会から知識社会へと変わった今、過去を振り返り将来を考えるという意味では、読んでよかったと思われるところである。

  • 地域振興の本科と思いきや財政の本。
    内容もしっかり。勉強になった。

  • 日本の地域社会の現状を様々に分析。西洋の例を再生の一助とすべくあげている。

  • 何度か読まないと理解しにくいかもしれない。地域再生することで日本が立ち直るという考えが書いてある。

  •  序章の「人間生活を問いなおす」で、「地域社会再生のシナリオ」は二つに分岐しているとして、「市場主義」によるシナリオと「市場主義にもとづかないヨーロッパ型の地域再生の道」(4p)と書く。
     工業社会から情報社会へと転換するエポックに発生する地域社会の変貌で、」工業都市は衰退し、地方都市は荒廃する」とする(5p)。
     「環境と文化による地方都市再生」(6p)のうえに、「人間の生活の場を創造する」(16p)と展望を示す。

     「工業社会の苦悩」を再生するには、「情報・知識社会への転換に、地域社会がいかに転換するかにかかっていてる」(32p)が、「工業社会の行き詰まりは、世界経済の限界を物語っている」(37p)として、「工業社会と市場経済はメダルの表と裏」ともする。「不可分」ということかも。

     著者を承知したのは財政学の読解をすすめた著書を通じてであった。その領域ではワグナー(1835-1917年 独)を紹介し、(1)市場経済の外側にある非市場経済も考察の対象、(2)コミュニティ=地域共同体を重視することを紹介(48p)、
     政府機能を「法律または権力目的分野」と「文化または福祉国家目的」分野に分類している、とする(52p)。そのうえで「文化または福祉国家目的」とする政府機能が拡大すれば、地方分権を推進せざるをえない(54p)と論を展開。

     耐久消費財の登場で「社会システムの市場化が飛躍的に推進」(59p)とは、産業機能の代替が進行し、家族の破たん、「共有しなければいけない価値や信念を培養するため実施されていた教育訓練が不可能」(となったと指摘する。

     「地域社会の崩壊と食料自給率」の項目で、「文化に誇りがあれば、食生活も地域に根付く」(83p 食生活が画一的で大量生産される食物へと激変して「食生活に文化がなくなり」とも述べる)。
     
     本書の読後に思った。
     戦後、アメリカ社会への追従を急ぎ、伝統的蓄積を変革する国是を選んだように思える。結果、自動車は購入してくれるアメリカから、我が国は食料輸入でこたえる仕組みができあがったのでは、と。
     

  • うーんなんというか…。
    具体的なことがあまり書いていなかった。具体的だったのも6章だけで、そこもよく何が言いたいのかわからなかった。
    ただ、著者がヨーロッパ大好きなのはよくわかった。

  • 1990年代以降、企業の工場は人件費が低いアジアへと拠点を移動しました。
    それに伴い、日本自体は工業が衰退、商店街も空洞化になったことから、財政危機、破綻という地域社会において、深刻な問題となっています。

    そういった背景から本書は地域社会を再生するための策を記されています。
    地域再生のための2つのシナリオになると著者は説いています。1つは市場主義に基づく米国型のシナリオ。もう1つは財政によって、人間の生活する「場」としての再生を目指す欧州型のシナリオで、自然環境の再生が優先される。

    日本は欧州の地域社会再生に学び、人間の生活の「場」として機能させることを重視すべきだと著者は説いてます。地方分権を進め、地方自治体が財政的自己決定権を強めることなど、そのために必要な環境作りが必須ということです。

    ただ、本書は10年前の本であり、やや今の背景とは異なると思います。
    「人が歩きたくなる」という街づくりという意味では、どのような社会を形成していけばよいのでしょうか?

    僕自身は、地方分権を進めるのは必要であると感じてます。より、地域自身の強さというものを日本にアピールというよりも、世界にアピールする、そういった舞台が必要です。政府もそれに対して、権限を与え、支援できるような「場」を提供すべきであると考えてます。

    地域には、とても重要な資産がたくさんあります。人、文化、歴史、そういったものがあるからこそ、世界へ発信する。
    そういった道筋こそ、今後の成長の鍵であると僕は感じています。

  • 財政学的な視点から地域再生を論じた一冊。
    地域財政の自立が、税制度によって妨げられている一面があることによって、その地域の特色を汲んだ政策が困難となり、国の「誘導的な」政策を受け入れざるを得ないという現実がある。
    結果、画一的で非効率な政策の実施につながり、地域から文化や生活機能が消失していく。

  • 世の中が、「工業社会」から「知識社会」に変貌を遂げる中、地方からの工場流出が止まらず、地域社会は衰退の一途を辿っている。そのような流れに歯止めをかけ、それぞれに個性が輝く地域再生はいかにすれば達成されるかを論じた著作。
    重要なのは「持続可能性」。フランスのストラスブールが自動車立ち入り禁止区域をもうけ、公共交通機関の利用を促進した。
    自動車でないと行けないような画一型ショッピングセンターではなく、地域に根をはった商店が人々の生活の場として息づく。
    地域の事は中央政府に決められるのではなく、地域自身で決める。(地方に財源を!という筆者のかねてからの主張)
    これからの日本社会はどうあるべきか、という命題に1つのヒントを与えてくれる。僕自身、地方出身者として今後地方の発展に何らかの形で貢献したいと思っているので、自分の将来に向けても1つの示唆を与えてくれる作品だった。

  •  財源の話の部分は少し難しかったけど、なかなか面白い本だった。地域経済を維持するには、地域住民の我慢も必要だと感じた。スウェーデンのある田舎町では、近くの大都市に買い物に行かず、住民は「田舎だから物価が高い」と文句を言いながらも地元の商店を利用している。自分たちが年老いた時、地元に商店がないと困るから…。こういう発想が日本人には足りない気がする。

  • (「BOOK」データベースより)
    地方自治体は膨大な財政赤字を抱え、地方の都市は均一化して特色を失い、公共事業以外に雇用がない…。地域社会は生活の場としても労働の場としても魅力を失い荒廃している。本書ではその再生に成功したヨーロッパの事例を紹介しながら、中心的な産業や重視する公共サービスなどがそれぞれ異なる、めざすべき将来像を提示する。そして日本型の生活重視スタイルを財政・政策面からどのように構築するかを提言する.。

  • 欧州(特にスウェーデン)の地域モデルを事例に
    日本の地域社会はどのように取組むべきか、
    地域経済の振興を中心に綴られた本。


    序 章 人間生活を問い直す
    第1章 工業社会の苦悩
    第2章 市場社会の限界
    第3章 財政の意味
    第4章 日本の地域社会の崩壊
    第5章 財政から再生させる地域社会
    第6章 税制改革のシナリオ
    第7章 地域社会に向けた地域再生
    終 章 地域社会は再生できるか

  • 地方再生に対してヨーロッパの社会経済的手法を参考に述べられている。
    これからのインフラは教育・福祉・医療が中心になっていくがそれを地方財源での公共サービスにしていく必要がある。また、高度情報化により人の移動が必要なくなるため継続的な人間関係が描かれるためコミュニティ機能はますます重要になってくるとのこと。
    コミュニティは確かに大事だが、情報化社会により継続的な人間関係を描くという仮定はどうだろうか。一度に多数の、世界中の人にアクセスできるような仕組みができた今、継続的でクローズドな人間関係が希薄になっていく可能性は高い。
    税制度に対するアレルギーを再認識できたので、地方財源に対する理解を深めたいところ。

  • [ 内容 ]
    地方自治体は膨大な財政赤字を抱え、地方の都市は均一化して特色を失い、公共事業以外に雇用がない…。
    地域社会は生活の場としても労働の場としても魅力を失い荒廃している。
    本書ではその再生に成功したヨーロッパの事例を紹介しながら、中心的な産業や重視する公共サービスなどがそれぞれ異なる、めざすべき将来像を提示する。
    そして日本型の生活重視スタイルを財政・政策面からどのように構築するかを提言する。

    [ 目次 ]
    序章 人間生活を問い直す
    第1章 工業社会の苦悩
    第2章 市場社会の限界
    第3章 財政の意味
    第4章 日本の地域社会の崩壊
    第5章 財政から再生させる地域社会
    第6章 税制改革のシナリオ
    第7章 知識社会に向けた地域再生
    終章 地域社会は再生できるか

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 神野先生の本。
    一貫してスウェーデンモデルを説いて来た人。

  • ゼミの課題図書。
    「日本経済を学ぶ」(ちくま新書・岩田規久男)と一緒に読むと最高。

  • 2010年1月23日発見。読もう。

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