快楽の本棚―言葉から自由になるための読書案内 (中公新書)

  • 70人登録
  • 3.62評価
    • (5)
    • (8)
    • (11)
    • (2)
    • (0)
  • 12レビュー
著者 : 津島佑子
  • 中央公論新社 (2003年1月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121016782

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
村上 春樹
ヴィクトール・E...
三浦 しをん
村上 春樹
有効な右矢印 無効な右矢印

快楽の本棚―言葉から自由になるための読書案内 (中公新書)の感想・レビュー・書評

  • 著者の子供時代からの読書遍歴を辿る、性をテーマにした文学作品案内。
    怖いもの見たさに『怪談』や『雨月物語』に夢中になった幼い頃の好奇心は、年を重ねるにつれ、背徳的な世界を描いた作品へと向かいます。
    思春期は性への好奇心が芽生えるころですが、モーパッサンの『ベラミ』や西鶴の『好色一代男』などを実際に読んでしまうのだからすごいです。
    私が同世代の頃は、興味はあっても恥ずかしくて、読むことなど考えたこともなかった…。

    「エッチな本を読みたい!」…という動機から始まった読書体験は、やがて人間の営みを考える土台となっていったようです。
    太宰治を父にもつ著者だからこそ、幼い頃から「女性であること」を本能的に、より強く感じていたような気がしました。

  • たまたま読んでみた本が面白かった
         ↓     
    同じ作者の他の本も読んでみる
         ↓
    解説者がすすめた本も面白そうだ
         ↓
    巻末の出版社が載せるリストにある本も面白そうだ

    こういう流れで好きな本を探すことが多い私には、
    いわゆるブックレビュー本が結構参考になって、
    レビューしている人と感性が近いかもと思うと、
    レビューされてる本をいろいろ読んでみるし、
    あわないなと思ってもとりあえず試しに読んでみて、
    やっぱり合わないなって確認したりもする。

    この作者についてはやっぱりお父さんのことが気になって、
    ついつい買ってしまった。そういう読まれ方、彼女は不本意なのかな。
    でも、どうしてもついて回る、偉大な影だよね。
    お父さんの本は好きです。この人の文章も肌にあった。
    読書体験記、追体験したら、女学生気分も味わえるかな。

  •  所謂ブックレビューではなく、著者が人生を振り返り、その折々に読んだ本を想い出している、というスタイル。ひとりの人生の音譜でもあり、その時代史でもあるという面白さ。読者はそれぞれの過去を重ねて読む愉しみとなる。(14/7)
    ▼<Mille fleurs ~千の花>より
    快楽の本棚-何やら艶めいたタイトルだ。
    サブタイトル「言葉から自由になるための読書案内」の意味も、一見しただけではよく分からない。
    言葉から解放されるために、言葉で書かれた本を読む=読書するのは本末転倒に思える。
    そもそも、文筆業を生業とする筆者がなんだって「言葉から自由にな」りたいと思ったのか。謎だらけである。読まねば分からない。

    ページを開けば、冒頭からたっぷりと20ページ強を使って、「はじめに―自分という生命に出会う」という序章があり、この本を書くに当たっての筆者の経緯と決意が読みやすく、けれど力強い文章で語られる。
    ここを読むと、この本の執筆目的が読者にオススメ本を紹介する類の「読書案内」ではなく、「津島佑子」という人物を形作った本を著者の人生と共に振り返りつつ、言葉(文章)を産みだす大元、自己の本質を探り当てるまでの軌跡を記したいのだとわかる。
    いってみれば「本」に限定した筆者の回顧録とも自叙伝とも言える性格のもので、著者個人に興味がなければ退屈に感じるかもしれない。
    が、言葉から自由になるために、こうやって言葉を尽くしてしまう行為を探ることは、「読むこと」「書くこと」という「文学」の原点を模索することに繋がるような気がする。
    筆者の執筆動機がおぼろげながら見えてくる。


    本作では、筆者はかなりのページを割いて、子供時代を振り返っている。
    言葉で「語る」という手段を満足に持たない未熟な時代にもっとも心を魅かれたもの、それがその人の本質に最も近いと筆者は考えたからだろう。

    理屈ではなく心魅かれるもの、例えば路傍の小石だったり、蝉のぬけがらだったり、世間体や固定概念にとらわれることなく、ただただ興味をひかれしまうものをじっと見つめたり、はたまたわくわくしたりする気持ち、言葉をもたない幼年期には確かに強かったような気がする。
    が、成長するにつれ、文字を覚え本を読み、そこで得た知識や語彙を駆使して感覚を表現することを教育の名のもとに強制され、同時に社会への参加も始まって、個々の感覚とは違う「世間」の目、集団の秩序といったものを教えられる。
    つまり、知識や社会性と引き換えに、言葉や常識といった枷を感性の表現に強いることになっていくのだ。

    「快楽」の言葉に、艶っぽさを認めて当たり前である。性と悦びは切り離せないものだから。
    が、「性」という漢字が「生きる」「心(りっしんべん)」と記すように、性と快楽は決して色めいた意味だけで使われるわけではない。
    わくわくやドキドキなど心の高揚を覚える時、人は「生」を実感する。
    女らしさ、男らしさといった、世間から与えられた性区別・ジェンダーアイデンティティへの懐疑や不安から解き放たれて、1人の個として生を悦ぶ心。
    快楽とは枷から解放されること=自由と深い繋がりがある。

    本作は、文筆業に長く携わって生きてきた筆者だからこそできる、形成された自己を解体していく作業記録だ。言葉を尽くして、これまで確立してきた個性=言葉で固めた鎧を脱ぎ去り、柔らかい自己をむき出しにしていく、人生をしたたか生きてきた人にしかできない挑戦である。ルーツを探リ原点に戻ることで、これからの道標をはっきりと見つめ、今後の人生をさらなる悦びに溢れたものにされようとする筆者の生への覚悟とも言えるだろう。還暦という言葉があるように、過去を振り返ることは未来を見据えることでもあると、ここにはしっかり記されている。人はリセッ... 続きを読む

  • 2月18日、70歳で惜しまれつつこの世を去った津島さん。
    太宰治の娘としても有名ですが、この本の副題
    でもある「言葉から自由になる」ことを一生見つめ
    続けた女性だと思います。

  •  読書の遍歴というのはそのままその人個人の遍歴なのだ。
     どうしても人が読むというレビューの都合上、下世話な方が面白いのでこういう紹介の仕方になってしまうのをご勘弁願いたいが、キーは、「少女の性欲」である。関係各所から怒られそうだが、そういう読書案内だ、と書いておくとすごくとっつきやすでねぇだろうか(素が出る)。

     発端は思春期初頭からの「いやらしいものへの好奇心」である。モーパッサンの『ベラミ』であり『女の一生』でありを読み、女子中学生が西鶴の『好色一代男』を読み、作者はここから『源氏物語』を読もうってなったときに、「色好み」の「色」の多義性に気づく。最前書いたとおり、読書が読み手の遍歴だというのならば、エロエロなものを好奇心の赴くままに読んでいって、狭義のエロから、もっと広義の背徳感や、モラルに対するインモラルみたいな広いところに出て行くのも、これまた読書遍歴の醍醐味なわけで、ゆくゆくは一般社会の持つ「うそ」を暴く手段としての文学、というところまで登りつめることが出来る(かもしれない)。

     どういう本かというとなぁ。
     発端はすごく個人的な欲求で読み始めていっても、本と本をリンクさせて読んでいくうちに、だんだんと普遍性の高い方に意識が向かうようになる、ということを示した本、とでも云えばいいのかなぁ。

     ただこれを「魂が高いレベルに登っていった」とか「人間的な成長とともに世界的な規模で物を考えられるようになった」とかァ断じて書きたくないンです。人間の陶冶のために本なんぞ読むもんじゃない。
     「自分自身が世界の何に興味を持っているのか」が鮮明になってくる、というのが読書かなぁ、と、まぁだいたいそんな感じです。
     言葉足らず、うまく言い表せている気がしませんが。

  • うーん。まぁまぁ。

    ブックガイドかと思って読み始めたら、著者の読書体験記やった。自伝風のエッセイ。この著者(小説家らしい)に興味のある人なら面白いやろうけど。

    でも紹介してる本の中には面白そうなのもあったので、これを機会に読んでみる。

  • 読む本を選ぶ動機が「ええーそんな!」「またかい!」というつっこみどころ満載でおもしろかった。こういう女性スキです。

  • [ 内容 ]
    言葉から自由になりたい。
    物事の本質をつかまえるために、自分という生命を喜ぶために。
    『孝女白菊の歌』から『チャタレー夫人の恋人』、そしてフォークナーの世界へ。
    海流のように、竜巻のように渦巻き、再生しつづける物語の世界。
    言葉と人間、人間と物語、そのつながりには、希望を失わずに生きつづけようとする、ひとりひとりの人間たちの息吹がある。
    美しく静かな言葉で、著者は物語の意味を問い直す旅に出かける。

    [ 目次 ]
    魔法の世界―幼年時代
    おばけの話―小学時代(1)
    言葉を遊ぶ―小学時代(2)
    アガペとエロス―中学時代
    「危険な」小説―『ベラミ』
    性の修行者―『好色一代男』
    神々から人間へ―『源氏物語』
    猥褻か、芸術か―『チャタレー夫人の恋人』
    同性愛―サッポーとワイルド
    タブーとは?―『悪魔の詩』と『細雪』
    神々の時間の「発見」―フォークナー、そして辺境の文学
    もうひとつの世界―『ギルガメシュ叙事詩』からどこへ

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 筆者の幼少期からの読書記録と思い出。私もいずれこういうどうでもいい読書記録本を書きたい。

  • 津島佑子さん著作なので読みたいです。

  • 「文学に立ち向かい、女の文学を確立。」この人のエッセイを初めて読んだのだけれど、お父さんの話が出ると、なんだか見てはいけない秘密みたいのを読んでいる気になってドキマギしてしまう・・・。数回、出てきて、どれもドキドキしてしまった(笑)この本は、作者が今に至るまでの本歴みたいなのを紹介しているんだけれど、この人はホントに女であることをものすごく意識しているんだなぁ、と思った。女であることで芽生える感受性みたいな物が、文学へ向かわせているのだろうと。何冊か読んでみたいなぁ、という気にさせてもらったけれど、手に入るかしら!?できるならば、現代の作家にまで話を持ってきてもらえたら良いなぁと思ったかなぁ。だって、どの作者も知らない人ばっかりなんだもんなぁ。

全12件中 1 - 12件を表示

快楽の本棚―言葉から自由になるための読書案内 (中公新書)を本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

快楽の本棚―言葉から自由になるための読書案内 (中公新書)を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

快楽の本棚―言葉から自由になるための読書案内 (中公新書)を本棚に「積読」で登録しているひと

快楽の本棚―言葉から自由になるための読書案内 (中公新書)の作品紹介

言葉から自由になりたい。物事の本質をつかまえるために、自分という生命を喜ぶために。『孝女白菊の歌』から『チャタレー夫人の恋人』、そしてフォークナーの世界へ。海流のように、竜巻のように渦巻き、再生しつづける物語の世界。言葉と人間、人間と物語、そのつながりには、希望を失わずに生きつづけようとする、ひとりひとりの人間たちの息吹がある。美しく静かな言葉で、著者は物語の意味を問い直す旅に出かける。

快楽の本棚―言葉から自由になるための読書案内 (中公新書)はこんな本です

ツイートする