会津落城: 戊辰戦争最大の悲劇 (中公新書 1728)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (202ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121017284

作品紹介・あらすじ

慶応四年春、幕府軍は鳥羽伏見の戦いで敗れて瓦解した。江戸城無血開城を経て戦場は東北に移る。長岡での激戦、白河の攻防、日光口での戦い…。会津藩をはじめ奥羽越列藩同盟軍は各地で戦いつづけるが、薩長軍はついに国境を破り会津若松に突入、一カ月に及ぶ篭城戦がはじまる。なぜこれほどまで戦わねばならなかったのか。会津藩の危機管理、軍事・外交、人材育成を検証しつつ、戊辰戦争最大の悲劇を浮き彫りにする。

感想・レビュー・書評

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  • 会津戦争を俯瞰すると、会津藩の行動が太平洋戦争に至るわが国の行動に類似している。作者はこのように書いている。会津戦争は、会津藩にとって、最悪の戦いであった。幕府に依存した結果、近代戦争を熟知した戦略家、参謀の育成を怠り、武器弾薬の備蓄も少なかった。かくして、もっとも大事な白河の戦闘で大きくつまずき、参戦した仙台藩の期待を裏切り、これが列藩同盟崩壊のきっかけとなった。

  • 会津藩がなぜ敗者になってしまったのかを冷静に分析した内容でした。


    辛い部分ばかりでしたが、知っておくべきだと思い、読みました。

  • 単なる悲劇ではなく、なぜ会津は負けたのか?を冷静に分析。幕府依存、近代化の遅れ、同盟の弱さ、情報軽視、農民軽視、等々辛口の記述が続くが、戦争に負ける時っていつの世も同じなのかもしれない。
    ドラマではワリと良く描かれる西郷頼母には完全なダメ出し、容保も愚君として批判的。女性陣は概して奮闘。有名な板垣の「庶民は傍観者」も奥会津では違っていたようなので、各々の地域の統治能力が原因があるのかも。あと仏が幕府、英が薩長というのは知っていたが、プロシア・イタリアが東北軍に肩入れしていたのは知らなかったので勉強不足を痛感。

  • 戊辰戦争最大の悲劇、会津落城は何故起こったのか、
    官軍、賊軍という一辺倒な見方だけではなく、史実に基づいた内容を著者が丹念に紐解いていて分かりやすい。

    それにしても会津で起こった惨劇は文章を読んでいても
    思わず目を逸らしてしまう程の内容でした。。。

    もう150年、まだ150年。。

  • 作家・星亮一(1935-)による会津戦争の概説。

    【構成】
    第一章 江戸の情勢
    第二章 会津国境の戦争
     1 越後方面の戦い
     2 日光口の戦い
     3 白河口戦闘記
     4 平潟の海
     5 母成峠破られる
    第三章 会津城下の戦い
     1 敵、滝沢峠に迫る
     2 老臣、家族の殉難
     3 決死の抗戦
    第四章 籠城一か月
     1 会津武士の意地
     2 城外の戦い
    第五章 降参の白旗
     1 米沢藩に工作を依頼
     2 仰ぎ見る者なし

    鳥羽・伏見の敗戦時、会津藩主・松平容保が将軍とともに船でさっさと江戸へ戻る場面から話ははじまる。
    幕府は瓦解し、会津藩もいったんは恭順したにも関わらず、薩長は討伐を通告する。東から、西から迫る薩長軍、細くたよりない絆で結ばれた奥羽越列藩同盟。

    そして、国境の攻防では易々と破られた上に情報伝達に大きな問題があった会津藩。そして、為す術なく城下に攻め込まれ、やむなく籠城1ヶ月。酸鼻な市街戦・籠城戦で力尽きて降伏。

    作家の筆なので、生き生きと描写されている。

    会津藩の軍事指導に対しては手厳しく、鶴ヶ城攻防戦劈頭の婦女子の自刃は殉難ではなく藩の指導力の欠如と断じる。
    著者は、会津擁護・会津殉難の史観には与しないと書いてあるが、落城時の描写はやはり浪花節の要素もあって、本書を手に取る人の期待に応えているように思う。

    本書の記述がどれほど正確なのは分からないが、評者のように概要をおさえようとしている人間には読みやすくかかれている。会津周辺の地理的条件を頭に入れながら読むと、なお面白い。

  • 鳥羽伏見の戦いから会津の降伏まで。
    知りたかった事に関してはちょろちょろっとしか記述が見当たらなかったんだけど、以前読んだ会津戦争の本よりも視点が公平で良かった。
    この辺りの流れに付いて、多少知識が無いとおいで行かれるかな?

  • 080408

  • 今年始まった大河ドラマの影響で会津戦争と言われるものをよく知りたいと思い読み始めた。
    歴史の記録の要素が強く、登場する人物もほとんど知らないのでなかなか理解するのが難しい。戊辰戦争などについてある程度知識がないとこの手の本は難しいのかと思う。
    ただ、この戦争の悲惨さだけは十分すぎるほど伝わり胸が詰まる。

  • 著者が東北出身のせいか、ところどころ会津寄りな記述はありますが、薩摩ならびに長州を一方的に断罪するような感情に走ったりはせず、また、会津側の問題を痛烈に指摘する事も忘れていないので視点は公平で読みやすいです。目を背けたくなる凄惨な様相には著者が鶴ヶ城攻防戦を「日本近代史の一大汚点」と評価する事に同意するばかりです。個人的には、国の将来を考えるなら戊辰戦争、特にこの会津の悲劇ほど避けられた事態は無かったと考えているのでなおさらです。ドラマなどの創作物で美化されたものではない事実を教えてくれる本でした。

  • 私が知りたかったこととはやや違う内容だった。なぜ長州と会津が対立したのか、新政府の会津に対する仕打ちが過酷になったのか、そうした理由を知りたかったのだが・・・。購入前のリサーチが不足していた。
    が、会津が敗北に至るまでの経過がつぶさに記録されているのはためになった。それがまた、太平洋戦争の敗北の経過とよく似ていることに気付いた。トップの指導力不足、見通しの見誤り、判断ミスの連続・・・。著者の筆致からは、会津落城は「人災」のようにも思えてくる。
    登場した人物のなかで、私が興味を持ったのは山川大蔵。その妹「捨松」についてググッてみたら実に面白かった。次は「大山捨松」についての本を読んでみたい。

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著者プロフィール

星 亮一(ほしりょういち)1935(昭和10)年仙台市生まれ。高校時代を岩手県で過ごす。一関一高、東北大学文学部国史学科卒。福島民報記者を経て福島中央テレビに入りプロデューサーとして歴史ドキュメンタリー番組を制作。著書に『会津藩燃ゆ【令和新版】』『天才渋沢栄一』『奥羽越列藩同盟』『武士道の英雄 河井継之助』『斗南藩』『呪われた戊辰戦争』など多数あり。また20年余に渡り戊辰戦争研究会を主宰している。

「2021年 『星座の人 山川健次郎』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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