ブッシュマンとして生きる: 原野で考えることばと身体 (中公新書 1731)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121017314

作品紹介・あらすじ

南アフリカのボツワナに暮らす狩猟採集民、セントラル・カラハリ・ブッシュマン。丹念な会話分析と出来事を根底から把握する身体配列を手がかりに、その独特なセンスを浮かびあがらせる。権力と強制と傲慢を徹底して嫌い、みずからの生きる世界と粘りづよく交渉を重ねる彼らの社会は、私たちにもう一つ別の生の形がありうることを示している。直接経験に根ざした「等身大の思想」の実践を呼びかける、フィールドワークの結晶。

感想・レビュー・書評

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  • 『もしみんながブッシュマンだったら』よりずっと読みやすくて面白いです!

  • 南アフリカのブッシュマンと共に暮らし、彼らの会話や日常行動を丹念に観察した記録。
    言葉、性、身体といった、人間を人間たらしめるプリミティブな切り口で、我々(近現代文化)との対比や類似を解き明かす。我々の感覚や感性が通用しない事柄も多いが、人間の本質として、我々も彼らもあまり変わらないと思える多くて、感想は一言にまとまらない。
    生々しいフィールドワークの成果だが、濃密な描写の中には、説明不足のエピソードも多くて、全てを咀嚼できなかったのなちょっと残念。

  • ブッシュマンですがなにか。

  • ブッシュマンの住むアフリカでのフィールドワーク。専門書にも分類されうるだろうが、作者が密着した人物が何度も登場するため、一つの物語を読んでいるような面白さもある。ブッシュマンの社会では、子供につける名前が、その時々の記憶や情念を忘れないようにするためのものであるため、過去に基づくもので中には負のイメージのものや不吉なものもある、というのが、子供の幸福を願って未来に向けて明るいイメージの名づけをする日本と対称的で面白かった。自分とは全く異なる他者の世界に入り込み、理解することで、更に自己の属する社会をも理解する、というマリノフスキー(たぶん)が唱えた文化人類学のフィールドワークの意義とは正にこれかもしれない。

  • ボツワナでのブッシュマン研究まとめ。会話や、身体配列の丹念な分析が面白い。
    ブッシュマンの人称代名詞や動作を示す語彙はどの言語よりも豊富なんだって。
    「男女二人の我々」を表す言葉とか聞き手を含む我々と、聞き手を除いた我々が区別されていたり歩く・走るにも何種類もあるそうです。

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著者プロフィール

 1949年 東京生まれ
 1973年 京都大学理学部卒
 1980年 同大学院理学研究科博士課程単位取得退学。京都大学理学博士。
 2013年 第8回日本文化人類学会賞受賞。北海道大学文学部助手、京都大学教養部助教授、同総合人間学部教授を経て
 現在 京都大学大学院人間・環境学研究科教授
 (2015年4月より京都大学名誉教授)

主要著書
『身体の人類学』(1993)河出書房新社
『コミュニケーションとしての身体』(1996共編著)大修館書店
『語る身体の民族誌』(1998)京都大学学術出版会
『会話の人類学』(1998)京都大学学術出版会
『もし、みんながブッシュマンだったら』(1999)福音館書店
『感情の猿=人』(2002)弘文堂
『ブッシュマンとして生きる』(2004)中央公論新社
『フィールドワークへの挑戦』(2006編著)世界思想社
『身体資源の共有』(2007編著)弘文堂
『ことばと身体』(2010)講談社
鳥羽森の筆名で『密閉都市のトリニティ』(2010)講談社〔SF小説〕
『身体化の人類学』(2013編著)世界思想社

「2015年 『狩り狩られる経験の現象学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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