美学への招待 (中公新書 1741)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121017413

作品紹介・あらすじ

二〇世紀後半以降、あらゆる文化や文明が激しく急速に変化しているが、芸術の世界も例外ではない。複製がオリジナル以上の影響力を持ち、作品享受も美術館で正対して行うことから逸脱することが当たり前になってきている。本書は、芸術が、いま突きつけられている課題を、私たちが日常抱く素朴な感想や疑問を手がかりに解きほぐし、美と感性について思索することの快楽へといざなう、最新の「美学入門」である。

感想・レビュー・書評

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  • 哲学のなかでもとりわけ美学に興味がある。
    入門書なのでほとんど授業でやったところと被っていたが、読んで損はなかった。

    ですます調が苦手なのでちょっと野暮ったくて読みにくさはあったかなぁという印象。
    ただ、丁寧に説明されていて内容はわかりやすかった。

    ミュージアムと美術館の違い、あるいはアートと藝術(著者は芸術ではなく藝術表記がお好みのよう)の違いについてが興味深かった。
    わたしは、ここのハッシュタグも「アート」で統一してしまっていたけど「芸術」と使い分けたほうがいいかもな…。
    あと第九章の「近未来の美学」あたりも面白かった。

    ちょっと考え方に偏りはあるけれど、まあ学者さんはそんなものだろう。ご愛嬌。
    でも、「違和感を感じない」という日本語はちょっと美しくないですね。笑

  • 「美学」とはいったい何なのかということがはっきりされないまま話が進むので、ちょっと困惑する事も多い。どうやら藝術を見る目や鑑賞の立場について述べているようだ。個々の言及は概ね納得感のある内容だったが、話に脱線や脇道が多く、その脱線のエクスキューズもくどいのが、ちょいと辟易。

  • ↓貸出状況確認はこちら↓
    https://opac2.lib.nara-wu.ac.jp/webopac/BB00122476

  • モエレ沼公園のブラック・スライド・マントラの話で何かを掴みかけた気がするが、結局掴めなかった。

  • 借り物

  • 分かりやすかった。
    以下学んだこと、感じ取ったこと
    美学=感性学、どう感じるか
    芸術とアートは別物
    美は体験の中でしか存在しないという考え方
    しかし最近の美は知的なレベル、どう受け取るか、どう考えるかがフォーカスされてきた。
    言葉になるもの、ならないものがある。
    →何かがあるという事実は言葉になるがどのようにあるかは言葉にならない。
    コピーの体験と、本物の体験。
    オリジナルとコピーが倒錯する時がある。
    人生においてコピーを一度も通さない直接経験というものはほとんどない。
    オリジナル→共同体験。
    似ているものは1つにくくってはならない。
    にている方は色々あり、どの観点から見るかで似てないものも似ることがある。
    言葉によって体に染み付く。
    芸術鑑賞の中には身体感覚によるものもある。
    芸術は自然のものだという認識。
    永遠型の芸術とそれ以外。
    英語は日本語ではない。つまり、beauty は美ではない。
    虚心に宇宙の中での人間の位置を問い直すことが大切。

  • 全体的に入門的な内容にもかかわらず、分かりにくい。美というひとの嗜好に食い込んだ話しだから。そして感性と論理とのバランスのうえに成りたたせつつ、最大公約数を追求する議論をしなければならないから。そんなことが分かりにくさの原因のように見える。
    大まかな美学の歴史的経緯に触れることができる。ルネサンス期近代の誕生とととに、美や芸術を知覚する根拠が神から理性に紐付けられたこと。また、その美や芸術の考え方が20世紀以降変容し、レディ・メイドであるところの工業製品が芸術作品になり得ることが提示されたこと。さらには、ブリロボックスのようにレディ・メイドの精巧な模造品が芸術作品の可能性を持つことが提示されたこと。そのようなことが著者のささやかな意見を交えて説明される。
    何をもって美や芸術の定義とするのか。現在ではアカデミーやスペシャリスト達にによる民主的な手続きに頼っているようなことが書かれている。しかし、常に多数者が正常な美や芸術を認め決定する可能性があるのであれば、その暴力性や懐疑にまで踏み込む必要があるのではと思った。なぜなら私のような素人は大変わがままにも、美や芸術についてだけは世俗的な多数決や権力からは自由であるはずだとどこかで信じ、また願ってしまうのだから。

  • 読書猿さんのブログで紹介されていたので読んでみた。世間では入門書として扱われているが、万人が軽々と読めるという訳でもないと思った。それなりに難しい部分もある。まえがきにあるように、美学の概説ではなく、思索することを楽しむための本、または思索する快楽を伝えるための本である。

  • 定年間近の東大教授が一気に書き下ろしたモノ。デスマス調の口語体を用い、一人称も駆使。本来であれば理解しやすい内容のはずと思われます。

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著者プロフィール

1943年東京都生まれ。東京大学文学部フランス語フランス文学専修課程卒業。同大学院人文科学研究科美学芸術学博士課程修了。埼玉大学助教授、東京大学文学部教授、日本大学文理学部哲学科教授を歴任。元国際美学連名会長。現在、東京大学名誉教授、国際哲学系諸学会連合副会長。文学博士。1982年、『せりふの構造』でサントリー学芸賞受賞。著書に『せりふの構造』『作品の哲学』『ミモザ幻想─記憶・藝術・国境』『美学辞典』『美学への招待』『日本的感性─触覚とずらしの構造』『ディドロ『絵画論』の研究』ほか。

「2016年 『講座スピリチュアル学 第6巻 スピリチュアリティと芸術・芸能』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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