ひとり旅は楽し (中公新書 1742)

著者 :
  • 中央公論新社
3.22
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本棚登録 : 203
感想 : 27
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  • Amazon.co.jp ・本 (207ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121017420

作品紹介・あらすじ

ひとり旅が自由気ままと思うのは早計というもの。ハードな旅の「お伴」は、厳選された品々でなければならない。旅の名人はみな、独自のスタイルをもっている。山下清の下駄や寅さんの革トランクにしても、愛用するには立派なワケがあるのだ。疲れにくい歩き方や良い宿を見つけるコツから、温泉を楽しむ秘訣、さらには土産選びのヒントまで、達人ならではのノウハウが満載。こころの準備ができたら、さあ旅に出かけよう。

感想・レビュー・書評

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  • 学生時代ならともかく、社会人となり、結婚して子供でも出来ると、ひとり旅をする機会は、かなり限られる。もちろん出張も、同行者がいなければひとり旅であり、それなりに楽しいのであるが、あらかじめ殆どの予定が決まっていて、ひとり旅の自由気ままさがない。そういうまれな機会なので、家庭を持ってからの、ひとり旅は、よく覚えている。
    結婚して子供が出来てからの最初のひとり旅は北海道だった。北海道に出張があり、おそらく札幌で金曜日に仕事から開放されることになり、かつ、夏休みをとってもおかしくない時期だったので、翌週1週間を北海道ひとり旅に使ったはずだ。妻は何故か寛容でまったく文句も言わずにOKと言ってくれた。当時、仕事がとても忙しく、ストレスを溜めていたのを知っていたのだろう。鉄道好きだったので、かなり長時間、鉄道に乗った。釧路周りで知床、そこから旭川。今でもあるのか知らないが、当時は、旭川から稚内、稚内から旭川までの夜行列車があり、旭川から稚内の行き帰りにそれを利用した。稚内から利尻島に渡り、稚内に戻ってから夕陽を見て、市内に戻って銭湯に入ってから夜行で旭川に向かったことをよく覚えている。他人に話しても自分が旅行期間中、どのように感じていたのかを分かってもらうことは出来ないだろうが、まさに、「ひとり旅は楽し」という旅行だった。

    筆者の、個人的に楽しい旅行経験が書かれている本。面白い文章もあったので、記録しておきたい。
    【引用】
    ■何を考えているわけではないが、何かしら思いがある。かといってそれが何なのか、当人にもわからない。遠い昔の記憶のようでもあれば、はるかな未来の呼び声のようでもある。母親の胎内にいるとき、胎児もまた、こんなこころもちでいるのではあるまいか。
    ■過去にこだわらない。それはもう過ぎてしまっているのだから。未来にもこだわらない。それはまだ来ていないのだから。

  • ああ、池内紀さんの随筆はいいなぁ。

  • 読み物として面白い。書き口がシンプルで、無駄のない文章が読みやすい。
    ただ、年代の違うおじさまの旅は、どうも感覚が違って感情移入はできない。うーん、そうかなぁって何度も思いながら読んだ。

  • 一人旅の極意、ススメを説いた新書。結構面白かったです☆

  • 「ひとり旅が自由気ままと思うのは早計というもの。ハードな旅の「お伴」は、厳選された品々でなければならない。旅の名人はみな、独自のスタイルをもっている。山下清の下駄や寅さんの革トランクにしても、愛用するには立派なワケがあるのだ。疲れにくい歩き方や良い宿を見つけるコツから、温泉を楽しむ秘訣、さらには土産選びのヒントまで、達人ならではのノウハウが満載。こころの準備ができたら、さあ旅に出かけよう。」

  • 標題に惹かれ、なんとなしに購入。徒然な紀行文、エッセイ。筆者の旅への思いが伝わり、自分の旅心もくすぐられる。思い切って、家族に「ひとり旅をしてきてもいいか」と切り出してみようか。

  • 旅の究極の愉悦は、やはりひとり旅に収斂されるのであろうか。一人で旅することが、旅というものの本質を最もよく実感できるのかもしれない。

  • 写真も地図も絵すらない旅の本。文しかないのにまさに旅。最後の戻り道、旅もあまりしてないのにとても懐かしく共感しました。ガイドブックを見ないで一人旅に出たくなります。

  • 2021年1月期の展示本です。
    最新の所在はOPACを確認してください。

    TEA-OPACへのリンクはこちら↓
    https://opac.tenri-u.ac.jp/opac/opac_details/?bibid=BB00204200

  • ドイツ一人歩きの日本版である。みゃげは買わないがその土地での本は買う、というのはいいのかもしれない。
     最近はあげるための食べる土産物ばかりなので自分の楽しみがなくなってしまったような気がする。この原因は京都土産るいは京都おいしいものの本のせいかもしれない。
     論文には全く役立たず。

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著者プロフィール

1940年、兵庫県姫路市生まれ。
ドイツ文学者・エッセイスト。
主な著書に
『ゲーテさんこんばんは』(桑原武夫学芸賞)、
『海山のあいだ』(講談社エッセイ賞)、
『恩地孝四郎 一つの伝記』(読売文学賞)など。
訳書に
『カフカ小説全集』(全6巻、日本翻訳文化賞)、
『ファウスト』(毎日出版文化賞)など。

「2019年 『ことば事始め』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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