物語イタリアの歴史 (2) (中公新書 1771)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121017710

作品紹介・あらすじ

ローマ、テーヴェレ河畔に威容を誇るカステル・サンタンジェロ(聖天使城)は、紀元二世紀に皇帝ハドリアヌス自らの陵墓として築かれて以来、数々の歴史的事件に立ち会ってきた。本書はハドリアヌス帝、大教皇グレゴリウス、ロレンツオ・デ・メディチ、画家カラヴァッジョら八人をとおして、古代ローマ帝国の最盛期からバロック文化が咲き誇った十七世紀までの千五百年を描く、もうひとつの「歴史=物語」である。

感想・レビュー・書評

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  • EU企画展2022「Ciao!イタリア」で展示していた図書です。

    ▼金沢大学附属図書館の所蔵情報
    http://www1.lib.kanazawa-u.ac.jp/recordID/catalog.bib/BA69652250

  • オムニバスのように時代を異にする複数の人物の物語を収める。
    同じ建物が別の物語で再登場したりとつくりがうまい。
    前作同様、個人の物語でありながら歴史的転換点を押さえている。
    ローマ帝政の皇帝専制から制度化された官僚制への転換、ローマ教会の世俗への進出、教会の腐敗、ヨーロッパの巻き返しと教会の腐敗への挑戦と失敗、とイタリアだけでなくヨーロッパ規模の大きな流れを踏まえているところがとても秀逸。

  • 前巻に引き続き「新書で1500年通史」という大胆な内容。
    適切な人選により、時代を追体験できるのは前巻と変わらない。
    本巻ではカステル サンタンジェロを中心軸に、時代ごとに1人をピックアップしてstoria が語られる。
    ただし、本巻では再統一までは語られず、混沌とした状況のまま最終章を終えるので、前巻と比べて読後に希望がない。
    最も好きなローマ皇帝ハドリアヌスの孤軍奮闘で始まるため、余計にそう感じる。

  • 聖天使城(カステル・サンタンジェロ)の物語(イタリア語でstoria=歴史)
    1997年4月~99年3月までNHKテレビイタリア語講座テキストに「人物で語るイタリアの歴史」として掲載されたものが、著者の死後一冊に新書として出版されました。
    皇帝ハドリアヌス・大教皇グレゴリウス・マローツィア夫人とその息子たち・異端者アルナルド・教皇ボニファティウス八世・ロレンツォデメディチ・航海者コロンボ・画家カラバッジョ

    あとがきにかえてーは武谷なおみさん。
    この連載の始まる半年前に、岡山のイタリア学会の翌朝新幹線で須賀敦子さんと一緒に藤沢氏に遭遇し会話を交わしています。
    その五日前に須賀敦子さんは「ユルスナールの靴」を出版されたばかりとのこと。
    須賀さんと藤沢氏は同じころにハドリアヌスとカステルサンタンジェロについて想いを馳せていたんだなぁ…と。

  • 人物伝を中心にイタリア史を語る本の第二巻。本書ではローマ皇帝ハドリアヌス(76-138)、教皇グレゴリウス(540?-604)、マローツィア夫人(890-932/937)、異端者アルナルド(?-1155)、教皇ボニファティウス8世(c.1235年-1303)、ロレンツォ・デ・メディチ(1449-1492)、航海者コロンボ(c.1451-1506)、画家カラヴァッジョ(1571-1610)が扱われる。

    取り上げる人物がこちらはなかなか渋い。面白さで言えば前巻の方に軍配は上がる。それぞれの人物がイタリア史のその時代の特徴をなし、また転換点となっている。ハドリアヌス帝はローマを人治から法治に転換させた(p.14f)。教皇グレゴリウスによるキリスト教的清廉性、その精神性の整備は、最後まで残っていたローマ古代文化の消滅を意味する(p.44f)。教皇庁を舞台にしたマローツィア夫人の権力欲丸出しの跋扈は、カトリック教会が世俗権力も担ったとき、すでに予定されていた腐敗と抗争が、骨肉の争いとなって具現化したことだ(p.67)。

    他にはコロンボ(コロンブス)を取り上げるのに、彼がアメリカ大陸の到達の航海に出るにあたっての資金繰りに焦点を当てているのが面白い。これは一見、どちらかというとスペインの話に見えるのだが、コロンボのジェノバ出自、資金の最終的な出元(ジェノバの銀行やフィレンツェの商人)、航海の根拠となる天文学的知識(トスカネッリ)からして、イタリアがほぼ主役とも言えることを示しているのだろう。

  • 1ほどの面白さは感じなかった 著者ではなくほかの人の手による再編集的なものだからか?

  • まさに「物語」。現在の歴史的理解とは異なる部分もあるが、読み物として面白い。サンタンジェロの歴史を知らず、ただ観光して景色の良さを楽しんでいたが、今後は違う。古代ローマより、この永遠の都の歴史を見続けてきたのだと思うと、その歴史的重みが違う。

  • 1991年の『物語イタリアの歴史』に比べ、単純化・図式化してるような気がしたが、元々第2弾として書かれたものではなく、別媒体に連載していたエッセイを著者没後『Ⅱ』として出したものだとか。きっと本人が健在なら、本にまとめる時点でいろいろ練り直したことだろう。
    また、前作に比べローマに偏っていると思ったが、それも元来違うものをまとめたためという事情によるようだ。
    この本が編まれるに至った経緯を述べた武谷なおみのあとがきが、故人への尊敬の念にあふれていてよい感じ。

    ハドリアヌスとかグレゴリウス1世とか、エネルギーも能力も常人の何倍も持ってる人なんだなーと思った。
    ダンテに地獄に落とされたボニファティウス8世、教皇でありながら「イエスもただの人なのじゃ。しかも自分の身さえ救えなかっただめな人なのじゃ。そんな男が、どうしてお前を助けてくれようぞ」と言っていたとは、なんて面白いヤツなんだ!

  • [ 内容 ]
    ローマ、テーヴェレ河畔に威容を誇るカステル・サンタンジェロ(聖天使城)は、紀元二世紀に皇帝ハドリアヌス自らの陵墓として築かれて以来、数々の歴史的事件に立ち会ってきた。
    本書はハドリアヌス帝、大教皇グレゴリウス、ロレンツオ・デ・メディチ、画家カラヴァッジョら八人をとおして、古代ローマ帝国の最盛期からバロック文化が咲き誇った十七世紀までの千五百年を描く、もうひとつの「歴史=物語」である。

    [ 目次 ]
    第1話 皇帝ハドリアヌスの物語
    第2話 大教皇グレゴリウスの物語
    第3話 マローツィア夫人とその息子たちの物語
    第4話 異端者アルナルドの物語
    第5話 教皇ボニファティウス八世の物語
    第6話 ロレンツィオ・デ・メディチの物語
    第7話 航海者コロンボの物語
    第8話 画家カラヴァッジョの物語

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 古代ローマから17世紀まで前作と同様時代ごとに人物をピックアップして語られるイタリアの歴史物語です。
    今回の舞台はローマの聖天使城(カステル・サンタンジェロ)です。超イタリア行きたい。

    前作『物語 イタリアの歴史(1)』も良作でしたが、これも凄く良い本でした。
    読みやすい文章と程よい情報量で歴史が苦手でも飽きずに最後まで読めます。
    もちろん(1)から読むのがお勧めですが、これ一冊でも十分興味深くて面白いです。
    (1)に比べて今回取り上げられている人たちはあまりメジャーではない人が多かったのも良かった。
    カラヴァッジョについては実はこの本を読むまで知らなかったのですが、読後にテレビで取り上げられているの
    を何度か見て思わずにやりとしました。
    オススメ!!

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