感性の起源―ヒトはなぜ苦いものが好きになったか (中公新書)

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著者 : 都甲潔
  • 中央公論新社 (2004年11月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121017727

感性の起源―ヒトはなぜ苦いものが好きになったか (中公新書)の感想・レビュー・書評

  • 自分の研究テーマ( 味覚を数値的に測定する)を、生物の進化の視点から
    解明しようという意欲作とも言える。

    ちょっと、手ごわい 本だった。
    各論というより、総論的だった。
    その中で、日本的な感性で、テーマをとらえかえそうとしている。
    ちょっと、日本と京都に肩入れしている感じだけど。
    まるで、都甲潔の研究生活の卒論みたいだった。
    自分の仕事を、マクロの視点で、みようとしていることに、
    拍手を送りたい。

    まず、感性の定義から始める。
    感性、悟性、理性、知性。
    感性という言葉を、多角的に考察する
    哲学的な用語、認識論、心理学、工学的、カントの定義。
    ここいらの説明は、むつかしくて、ついていけない。
    感性と感覚。感性と感情。

    視覚、聴覚、触覚。
    光、音、圧力、温度は、物理量である。物理量を受けとって生じる。
    これらは、大脳新皮質で、知覚される。
    味覚と臭覚は、化学物質を受容することによって生じる。
    古い脳である扁桃体や島皮質 が使われる。

    視覚は、空間に関する情報を得ることであり、光を波長ごとに知覚する
    手段を選ばなかった。三つの色視で光を受け取ると、光の波長に関する情報は失われる。

    それにしても、なぜ 紫が高貴な色なんだろうね。
    日本は、紫根、地中海沿岸は、ムレックス貝。ペルーの貝紫。
    波長が、短いので、エネルギーがあるのかな。
    赤と紫は、遠いのに近いとはねぇ。

    味覚、嗅覚が、原始的な感性ということだ。
    古い脳で処理される。
    微生物に、味覚という感性があるとしたら、
    多分、嗅覚は、陸上に生物が進出してから、形成されたとおもえる。
    味細胞、嗅細胞は、10日間で新しい細胞と入れかわる。
    粘菌の行動はおもしろいね。迷路を最短で行くというのがすごい。

    ヒトは、感覚➡知覚➡認知➡感情と心象・イメージ➡表現というプロセスで生きている。

    自己組織化というのが、まだ良く理解できない。
    人間の身体は、60兆個。
    ヒトは、脳全体では、ニューロンの総数は、一兆個。
    タコは、1.7億個、ゴキブリで1200万個、ハエで34万個、ザリガニ14万個、
    センチュウ300個。

    味覚と快楽は結びついている。
    扁桃体、島皮質が、好き、嫌い。快・不快。を判断する。
    嗅細胞は、ウシガエルで780万個、スッポンで1700万個、ジュウシマツで22万個、
    ハト600万個、カモ1200万個、ウサギ1億個、ヒト1500万個。
    スッポンはなぜ多いのだろう。
    センチュウは、細胞が約1000個で、嗅細胞が、3個。

    おいしさは、エンドルフィン、ドーパミン、アセチルコリン、オレキシンが、関与している。

    色、味には、言葉があるが、匂いには、言葉がない。
    匂いには、軽い、さわやかな、甘い、甘酸っぱい、濃厚な、上品な、
    リンゴの匂い、ココアの匂い、木の匂い、森の匂い、バラの香り、
    シクラメンの香り、という言葉で、借り物である。
    嗅覚が古い脳の感覚であるためである。
    嗅覚は、言語を操る大脳新皮質とは結びつかない。
    それが、匂いの表現を乏しくしている。

    動物にとって、食べる時に、安全であることが基本。
    苦味は、毒の味である。
    しかし、農薬などは、ほとんど無味となっている。
    安全が、見えない。

    言語の発達と感性のひろがり。
    そして、都甲潔は、間と場を語る。

    センティオ・エルゴ・スム。我 感ずる、ゆえに我あり。

    おもろかった。

  • 理数系の話ばかりで、途中で挫折。
    細胞とか、そういう話を読みたかったのじゃないのよ・・・。

  • 五感のうち、生きることに直接かかわる味覚と嗅覚を手掛かりに、生物が外界の情報を認知し、イメージを形成する過程を追って、ヒトとは何かを問い直す。

  • 味覚センサーで有名な都甲教授の著書.単に味覚センサーを作ったというだけでなく,その背景,さらには背後にある思想まで知ることにより,なるほど,都甲先生だ,ということが良く分かる.
    「日本人はエントロピー文化,西洋人はエネルギー文化」等,切り口が面白い.

  • 視覚・嗅覚・味覚が、単細胞生物がヒトに至るまでどのように/どんな理由で進化してきのかを推理し、感覚が感性に昇華する仕組みを議論する。特に最も原始的な感覚である味覚には、多くの頁を割いている。美味しい(甘い)ものには引きつけられ、不味い(苦い)ものは避けるという行動は、ヒトも粘菌も同じというから、生物として本質的に持っている仕様だろう。この反応動作メカニズムはかなりは違うにせよ、センシング機構は質的にはたいして違いが無いように思えた。高等下等で論ずれば、視覚>嗅覚>味覚という序列らしいが、生物としての原始性(生死に直結するか)という意味では、味覚が最重要という事になる。こうした優れたセンサーに科学技術で挑戦する話も紹介されていて、これもまた非常に興味深い。あとがきの冒頭の一文が秀逸。

  • 感性を磨くの"感性“って?感覚や感受性との違いは?なんかの疑問に対する答えがある程度分かった。
    感性を磨くには外部刺激を受信するセンサーとしての感覚器官を鍛えるのと同様に、生体内の反応性の訓練、反応した信号を受信する神経感覚野への豊富な経験の蓄積なんかが必要なんだなぁ。(やっぱりあまり分かってない...)

  • 感性とは、生物的、論理的、直感的な静かな感情であり、気持ち良い社会や思いやりの精神に通じる。感性の起源として、単細胞生物の感性を感じることを紹介している。
    この本の中では、特に味覚と嗅覚を科学的に解明して、数値で評価していることが面白い。
    味覚は、主に甘み、塩味、酸味、苦味、うま味、辛味、渋みがある。それぞれに対応する主な物質がある。

  • [ 内容 ]
    バクテリアなど単細胞生物は苦いものから逃げる。
    なぜなら毒だからである。
    ヒトの赤ちゃんも苦いものを避けるが、成長にしたがって好むようになる。
    違いはどのように生まれ、どれほど違うのか。
    そして、私たちがふだん認識している「感性」は何にもとづくものだろうか。
    五感のうち、生きることに直接かかわる味覚と嗅覚を手掛かりに、生物が外界の情報を認知し、イメージを形成する過程を追って、ヒトとは何かを問い直す。

    [ 目次 ]
    第1章 「感性」とは何か
    第2章 単細胞生物の知恵
    第3章 生物の自己組織化と「場」
    第4章 「おいしさ」が脳に認知されるまで
    第5章 味覚を表現する
    第6章 嗅覚を表現する
    エピローグ ミクロとグローバルの狭間で

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 文章の質が低いのが気になって仕方がない。この本は全体の流れはこうなってしまうのだろうけれど、細部にはがんがん手を入れたい。
    その上、著者の日本至上、欧米最低主義にはつくづく呆れてしまう。欧米をきちんと見ていないから、日本の感性は優れている、という書き方になっている。(本人にはその自覚はなく、欧米は別の感覚が強い、と表現しているつもりになっている。しかしどう考えても偏見に満ちている。)
    細部が面白いのだ。感覚器官がいかにして現在の人間のものになったのか、遺伝子と感覚器官の関係、粘菌の持つ指向性と人間を含めた動物の持つ感性とのつながり。実に面白い。我田引水のような味覚センサーの話も面白い。面白いのだ。それだけに全体の構成と偏見を見直して戴きたい。なまずは全身に味覚を感じる器官を持っているなんて想像も出来ない。実に細部が面白いのだ。
    とはいえ、人にはあまり勧める気にはなれない。文章がよくないのだ。残念ながら。

  • 赤ん坊は糞便の臭いのなかでも平気で遊ぶ。(本質的に「臭い」わけではない)
    聴覚と視覚。視覚は音階をききわけられず混ざった色を識別できない。味覚と嗅覚は対象を体にとりこまざるをえず、快・不快に結びつきやすい。脳のニューロンと異なり、味細胞と嗅細胞は10日程度で入れ替わる。なぜなら外界の化学物質と結合するといった荒っぽい環境にいるから。
    相転移:ある現象が急激にどこかを境にして起こる。社会学的にもつかえる概念。
    「場を自ら作り上げ、場で自己を取り巻く既存の環境を探り、環境に応じて場に修正を加える。その場は自己を変える」複雑系の現象(人間こそ究極の複雑系)
    ヒトの嗅覚が鈍いのはメスの排卵を他のオスがかぎつけないように。排卵を隠すようになったため。
    匂いは経験と学習、状況によって快・不快が決まってくる。
    食譜をつくる試み!

  • 感性といっても芸術的な感受性のことではなく、人間の味覚や臭覚といった受容感覚の仕組みについて述べている。中盤の分子細胞学分野の記述(粘菌がどうとか)が主題とどうつながるのかわかりにくい部分もあったが、著者の研究の中途報告という趣。
    今や味覚や臭覚の数値化、データ化の研究が進んでいるらしい。人類は視覚や聴覚はすでに媒体化して他人と共有することに成功している。また、コンピュータ、デジタルデータといった外部記憶装置も手に入れた。味覚・臭覚が数値化されれば人類はもっと固体の限界を超えて自由になれる、という視点は面白い。【2005.10.16読了】

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感性の起源―ヒトはなぜ苦いものが好きになったか (中公新書)の作品紹介

バクテリアなど単細胞生物は苦いものから逃げる。なぜなら毒だからである。ヒトの赤ちゃんも苦いものを避けるが、成長にしたがって好むようになる。違いはどのように生まれ、どれほど違うのか。そして、私たちがふだん認識している「感性」は何にもとづくものだろうか。五感のうち、生きることに直接かかわる味覚と嗅覚を手掛かりに、生物が外界の情報を認知し、イメージを形成する過程を追って、ヒトとは何かを問い直す。

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