屋根の日本史: 職人が案内する古建築の魅力 (中公新書 1777)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121017772

作品紹介・あらすじ

城郭や寺社を訪れるとき、まず目に入るのは屋根である。遠くからでもキラキラと光って目立つ屋根は、権威や崇高ささえ感じさせる。このような日本の屋根は、どのようにして発達してきたのだろうか。葺材の重さに耐え、雨漏りと戦いながら、職人たちの創意と工夫によって素材や構造を進化させ、独自の美を生みだしてきた。国宝等の修復を数多く手がけてきた檜皮葺職人が、自らの経験をふまえて語る屋根の通史。

感想・レビュー・書評

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  • 読了以来寺社での滞在時間が一層増えた気がします。

  • 20190426
    修行といってもそれほどの悲壮感はなく、年輩の人もけっこういたという。
    仕事のほうも腕はそれなりによかったようだが、万事ゆったりとしていて、近くの社寺参りに行ったり、職人衆や近所の人たちを相手に博打まがいのことをしたかと思うと、囲碁や謡を教えたり、器用に墨絵や書を書いて、ちゃっかりと小遣い稼ぎをしたりと、なかなかに趣味人の職人もいたようだ。
    ただ、武家の出だった曾祖母だけは「あの人らは、どこへ行ってもあんなことしとるんやろ」と 終始冷淡だったという。
    (p.213 西行の渡り職人について)

  • 140222 中央図書館
    竪穴式住居の藁ぶきから神社仏閣まで、日本の歴史を追って「屋根」にフォーカスした建築史の本。実際に職人的仕事をしながら、これだけ広い内容を史料資料を交えてカバーするのは凄い。(スタッフがたくさんいるのかもしれないが)

  • 屋根はよく見かけるものだけれども
    本当に詳しいことはあまり知らないものだな、
    というのをこの本を読んで感じました。

    葺くものにも結構多くの種類がありますので。
    それと、屋根を1つとっても
    日本の歴史を垣間見ることができるのは
    すごいな、とも感じ。

    驚かされたのは日本の法律が
    伝統的な事柄にまったくやさしくないということ。
    本当に恐ろしい法律がまかり通っていたものです。
    (つい15年ぐらい前まで)

  • 職人さんによる著書。絵図の勉強をしていた際、屋根の描写等についてなにか歴史的背景や、ネタを勉強したいなぁ…と思って読んだ一冊。職人さんならではのお話がいっぱいで普通に面白かったです。でも結構マニアックな内容なので、普通に読むには途中で飽きてしまうかも。

  • 古代の竪穴住居から江戸の長屋まで、さらには海外に建立された神社仏閣まで、建築技術と審美的魅力の両面から、日本建築における屋根を語る。屋根の話以外にも、各時代の世相や職人事情にも詳しく、著者の職人としての教養が顕れている。
    神社仏閣の屋根といえば、反り上がった軒先のカーブが美しい。あの曲線は作り込まれた形ではない。垂木の下側に置かれた桔木(はねき)という部材が、梃子の原理で屋根を支え、その反動で軒先が跳ね上がるという。動的でしなやかな造形だ。瓦以外は、ほとんど植物性の材料で耐久性に乏しいようだか、逆に部分的に修繕・交換が可能なるが故に、1000年以上昔の建築が現存するともいえる。手間をかけられて月日を乗り越えた社寺建築は多いが、民家で中世に遡ることのできるのは4棟のみという。しかし、4棟も残っているのが奇跡かもしれない。

  • 神社仏閣の屋根の構造の歴史から見た日本史

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