- Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121017826
感想・レビュー・書評
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題名の通り織田信長の軍隊編成と各司令官について記載した書。信長の基本的な戦歴を知っていることが前提だが、信長の軍隊の編成思想、司令官の任命思想が分かり面白い。戦国時代において、これだけ能力主義で人事を考えたというのは驚きであり、かつ現在の組織論にも通じるものを感じる。特に武力だけではなく統治能力も能力として重視しており、そのお眼鏡にかからないと各方面軍の司令官にはなれない。明智光秀はそのお眼鏡にかかるような非常に優れた武将であったのだが、その光秀がなぜ信長を裏切ったのかはやはり興味が湧く。信長は本能寺前に信忠に天下を任せる構想を持っており、急逝しなければどのような天下になったのだろうか?
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信長が領土拡大するに伴って設置した方面軍や、そこまで至らないいわば遊撃軍について。例えば柴田と前田、佐々の関係がどう変化したかとか、織田家の体制の移り変わりがよくわかる。
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信長の領土拡大と、それぞれの時期に活躍した家臣団の有様がわかる。意外な人物が活躍していたり、それ程重要視されてなかったり。初期の森可成、坂井政尚、丹羽長秀、中川重政らの活躍。中期の明智光秀、羽柴秀吉、滝川一益、原田直政らの台頭。隠れ軍団長の織田信張。信忠軍団の森長可、川尻秀隆らの活躍。蜂屋頼隆と同程度の中堅クラスに留まっといた丹羽長秀。佐久間信盛の家臣団最大の七カ国に跨がる軍団など面白かった。
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戦国時代に尾張の一勢力から瞬く間に領土を広げていった織田信長。
この本はその彼の軍隊が初期の編成から彼の勢力の伸長と共にどのように変化していったかを具体的な例をあげながら克明に記してあります。
戦国時代の力の根源である軍隊の構成を読み解いていけば、そのとき何を考えていたのかが透けて見えてくることがよくわかります。
尾張統一から美濃を勢力下におき、近江・京都へと勢力を伸ばしてさらに全国を支配下に置こうとする間に、彼はその時に合わせて軍隊内の構成と武将の知行地を再構成することで戦略目標に対して効率的に武力を発動できる様にしていく様子は、それまでの土地と深く結びついていた大名と武将の関係では実現できず、まさに新時代の軍隊とも呼べる物なんだと改めて思いました。
土地に根ざさない軍隊は、降伏した勢力や新たに仕官してきた武将への知行地の給付を楽にする面もあり、それが活躍したらきちんと評価できる体制となり家中での活発な競争につながり、それがまた有能な人材を引きつけるポイントになって、戦国の覇者にふさわしい有能な家臣団が作り上げられたのかなと思いました。
戦国時代に興味のある方は一度読んでみるといいですよ。
文中に出てくる人名は見たことのある名前が多いので、その人物が織田軍内ではどのような役割があり、どのように扱われていたのかがよくわかると思います。