信長軍の司令官: 部将たちの出世競争 (中公新書 1782)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121017826

作品紹介・あらすじ

武田・上杉・本願寺・毛利などの強敵と領土を接した織田信長は、一万を超える大軍団を柴田勝家・明智光秀・羽柴秀吉・滝川一益らに預け、四方の平定に当たらせた。この「方面軍」司令官こそ、信長麾下の部将たちにとって究極の地位であった。尾張一国から畿内平定、天下統一へと驀進する信長軍にあって、彼らはどのように出世を遂げたのか。時代を追い、並み居る名将たちの顔ぶれと与えられた権限、具体的な活躍をたどる。

感想・レビュー・書評

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  • 信長の軍編成とその指揮官について。

    信長の研究は近年急速な動きがなされて、従来の革命児の印象は薄れてきている。

    しかしながら、信長の地方司令官構想は目を見張るものがある。

    それが、信長敗死後の有力な大名になったのだが…

    中央集権を進めると、それが崩壊した後が怖い。

    今の日本も…と考えると怖い。

  • 織田信長の軍編制を年を逐って著述。
    最終的には信忠軍、連枝衆、部将=方面軍司令官・遊撃軍司令官、旗本、吏僚、外様衆を収める。
    方面軍は東美濃・尾張の信忠軍、滝川一益の関東方面軍、佐久間信盛の大坂方面軍、柴田勝家の北陸方面軍、羽柴秀吉の中国方面軍、神戸信孝の四国方面軍、明智光秀の畿内方面軍。
    信長最初期の筆頭家老林秀貞は武略に通じないためか権威さけある信忠家督相続後家宰とされ最後には追放されたこと、丹羽長秀は方面軍にはなれず遊撃軍のままで頭打ちしたこと、荒木村重が外様ながら摂津一国大名となったのは器量を見込まれてのこと、畿内方面軍は丹波丹後を領有しての成立後は各方面への援軍に終止していた、と従来より引っかかっていた事柄に明確に回答が書かれていた。
    蜂屋頼隆や簗田広正は同じく出世頭となったときもあったがその後埋もれてしまった。

  • 題名の通り織田信長の軍隊編成と各司令官について記載した書。信長の基本的な戦歴を知っていることが前提だが、信長の軍隊の編成思想、司令官の任命思想が分かり面白い。戦国時代において、これだけ能力主義で人事を考えたというのは驚きであり、かつ現在の組織論にも通じるものを感じる。特に武力だけではなく統治能力も能力として重視しており、そのお眼鏡にかからないと各方面軍の司令官にはなれない。明智光秀はそのお眼鏡にかかるような非常に優れた武将であったのだが、その光秀がなぜ信長を裏切ったのかはやはり興味が湧く。信長は本能寺前に信忠に天下を任せる構想を持っており、急逝しなければどのような天下になったのだろうか?

  • TK4a

  • 信長の研究では名高いという谷口氏の著作。個人的には長年信長に仕えながら、折檻状であえなく追放されてしまった佐久間信盛のことを知りたいなあと思って興味を持った次第。本書は信長の名高い武将たちについて詳しく書いているのかなと思ったが、信長軍の編成についてかなり詳しく書かれるなど、まあなんというか真面目なんですよ。もう少しナラティブな記載が多いと面白かったけどな。
    私のように聴き読みしていると正直退屈でした。今度ちゃんと著者の作った表とか読んでみないとちゃんと評価できないな。

  • 2005年刊行。タイトルどおりであるが、信長・秀吉関連の小説などを読んでいれば、内容に特異な点はなさそうだし、見知ったことも多そうだが、細かく時期が分けられて新書としてはうまく整理している感じ。本書で言う「司令官」は、家臣(羽柴秀吉や明智光秀など)に対して近江国を分封したあたりから具体化してくるが、とりわけ、明智光秀の丹波平定戦の開始が、地域担当の方面軍軍団設定の嚆矢らしい。また、方面軍として明確に位置づけられたのは柴田北陸方面軍が最初。個人的には、信忠軍団形成が新奇な点か。

  • 戦国

  • 信長が領土拡大するに伴って設置した方面軍や、そこまで至らないいわば遊撃軍について。例えば柴田と前田、佐々の関係がどう変化したかとか、織田家の体制の移り変わりがよくわかる。

  • 今となっては無名に近いような武将達の活躍を紹介していて新鮮。
    著者の信長モノを合わせて読むことで、
    信長軍の構成がより幅広く立体的に見えてくる。

  • 梁田は加賀を与えられたるという大きなチャンスを得たが、実力に対して大きすぎる役目であったためものに出来なかった。準備していてどうにかなるものだったのか?任務を与えた信長のミスか?
    荒木村重は外様ながら摂津一国を任されるなど重用されていたが、大阪方面は佐久間信盛の、播磨方面は秀吉の手伝いになってしまって、モチベーションがさがった?それで謀反をおこした?

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著者プロフィール

1943年北海道室蘭市生まれ。1966年横浜国立大学教育学部卒業。東京都中学校教諭をへて、現在戦国史研究家 ※2019年11月現在
【主要編著書】『織田信長家臣人名辞典』第2版(吉川弘文館、2010年)『信長の天下布武』(戦争の日本史13、吉川弘文館、2006年)『検証本能寺の変』(吉川弘文館、2007年)『信長の政略』(学研パブリッシング、2013年)

「2019年 『信長と家康の軍事同盟』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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