企業福祉の終焉 - 格差の時代にどう対応すべきか (中公新書)

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著者 : 橘木俊詔
  • 中央公論新社 (2005年4月25日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (202ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121017956

企業福祉の終焉 - 格差の時代にどう対応すべきか (中公新書)の感想・レビュー・書評

  •  企業福祉を廃止すべきと公共経済学者が主張する。

     世界と日本の企業福祉の歴史から始まり、なぜ企業が福祉を請け負ったのかを説明していく。さらに企業福祉は本当に役に立っているかをデータによって示し、寿命が短い企業は福祉を担うことに向いておらず、福祉から撤退して賃金で社員に払うべきと作者は主張する。
     読み物としては固い印象を受けるが、その内容は非常に重要であると思う。特に今の日本にこの議論は必要だ。

  • 非常に読みやすく、面白かった。
    社会保障、社会福祉に対する筆者の徹底した普遍主義的立場からの諸々の主張にとても共感した。
    社会保障の財源を保険方式ではなく累進消費税や法人税など税方式にしていき、それに伴い企業が負担していた社会保険料の事業主負担を廃止する。ここで浮いた事業主負担分のお金を企業は従業員の賃金支払いに回したり、設備投資や内部留保に回すなどの選択肢が与えられる。

    とても面白い提案だと思う。
    社会保障の財源を税方式で賄うことで、国民一人一人に最低限の生活を保障する。それが本来あるべき福祉の姿なのではと思った。良著。

  • 企業が法定&法定外福利の負担に苦を感じ、受益の格差が益々拡大している昨今。そんな企業福利の全廃と新たな制度として税方式の徴収による基礎年金の導入ならびに福利費の賃金化を提唱しています。これまでにあったようでなかった主張なので、サプライズ自体はそれほどなかったのですが、主張の展開が理路整然としているので、非常に読みやすい構成となっています。これまでの日本や欧米の福利構成の起源史、日本での実際の福利厚生の実態とその機能の分析などもしっかり触れられているので、主張への賛否はともかく(私個人的には大いに賛成)として企業福利を考える際の手引書としても有益な良書だと思います。

  • [ 内容 ]
    日本の企業は、退職金、社宅、企業年金、医療保険や公的年金といった社会保険料の負担など、従業員にさまざまな福祉を提供してきた。
    しかし、会社の規模によって従実度が異なったり、正社員と非正社員で利用資格に差があるなど、企業福祉が国民の不平等感を高めているのも事実である。
    本書では、企業が福祉から撤退してよいと主張し、企業福祉に代わり、国民全員が充実した福祉を享受するための方策を提言する。

    [ 目次 ]
    第1章 企業福祉はなぜ発展したか(企業福祉の歴史 先進資本主義国での歩み ほか)
    第2章 企業福祉の現状(企業は何を提供してきたか 世界各国との比較からみた日本の特色 ほか)
    第3章 企業福祉は役立っているか(企業福祉の効果 企業福祉制度は役割を終えた ほか)
    第4章 これからの企業福祉(労働者と企業はベネフィットを受けているか 誰が福祉を提供すべきか ほか)
    第5章 企業が撤退した後の福祉社会(それでも企業が福祉に関与すべきなのか 新しい時代の福祉の下での社会・経済)

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 非常に興味深く読ませていただきました。
    「格差の時代にどう対応すべきか」という副題ですが、それよりも中身が非常に興味深い。格差論ではなく、企業福祉に対する実験的な提言という印象です。

    福利厚生を現金化することについては、確かにうなづく点が多くありました。好みが多様化していく中で、保養施設のような福利厚生はもうウケが悪い。その福利厚生の部分を全額現金化するというのは、決して夢物語ではなく、現実的なような気がします。

    社会保障の消費税化については多方面から異論もあるでしょうし、逆進性という問題もはらみますが、そうしていかざるをえないのかな、という気もします。

    退職金や年金については、以下の引用を参照。

    「企業がそもそも年金、医療、介護といった給付の財源を負担する根拠があるのか、という本質的な疑問が残る。(中略)考えてみればこれらの福祉給付はすべての国民が遭遇するかもしれないリスクに備えたものである。医療はまだしも、年金や介護は労働者が労働市場から引退した時に給付されるものである。そこまでの所得保障をなぜ企業がせねばならないのか、という疑問が残る。企業が関与せねばならないのは、労働者が働いているときに発生するリスクに備えたものだけで十分ではないか、という言葉に言い換えてもよい」(p195)

  • 分類=企業福祉。05年4月。

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企業福祉の終焉 - 格差の時代にどう対応すべきか (中公新書)の作品紹介

日本の企業は、退職金、社宅、企業年金、医療保険や公的年金といった社会保険料の負担など、従業員にさまざまな福祉を提供してきた。しかし、会社の規模によって従実度が異なったり、正社員と非正社員で利用資格に差があるなど、企業福祉が国民の不平等感を高めているのも事実である。本書では、企業が福祉から撤退してよいと主張し、企業福祉に代わり、国民全員が充実した福祉を享受するための方策を提言する。

企業福祉の終焉 - 格差の時代にどう対応すべきか (中公新書)はこんな本です

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