労働政治ー戦後政治のなかの労働組合 (中公新書 (1797))

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著者 : 久米郁男
  • 中央公論新社 (2005年5月26日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (271ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121017970

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労働政治ー戦後政治のなかの労働組合 (中公新書 (1797))の感想・レビュー・書評

  • 日本の労働政治を概観する

  • これで戦後の労働組合の変遷がよくわかった。

  • 早稲田大学法学部教授(政治学)の久米郁男による戦後日本労働政治史。

    【構成】
    Ⅰ 労働組合が経済合理性を持つとき
     第1章 利益団体としての労働組合
         利益団体とは何か
         労働組合が追求する利益とは何か
     第2章 政治経済と労働組合
    Ⅱ 連合誕生の光と影
     第3章 改革の90年代
         80年代の政策形成過程
         労働政策過程の政治化
          変化の原因-仮説的考察
         比較の中の日本
         連合は行政改革にどのように対応したか
     第4章 団体リーダーの見た労働政治
    Ⅲ 戦後史のなかの労働組合
     第5章 「統一と団結」を求めて-1945~60年代
         産別会議と総同盟の挫折
         総評路線と春闘の誕生
         IMF-JCの主導権確立
     第6章 第1次労働戦線統一運動の挫折-1970年代①
     第7章 民間労働組合の覇権-1970年代②
     第8章 中曽根行政改革と連合の誕生-1980年代
     終 章 利益団体政治と労働政治

    上に示す通り、本書は3部から成っており、その狙いは以下の通りである。

     「本書では、まず、経済合理主義的な労働政治について理論的な説明
      を行い、続いて組合リーダーへの体系的なインタビューや政策分析
      に基づいて、90年代の労働政治に何が起こったかを明らかにする。
      そして、経済合理主義的な路線の担い手であった民間の労働組合が、
      左翼的な労働運動を抑えて「労働戦線の統一」を成し遂げたにもか
      かわらず、なぜ経済合理主義路線からの逸脱が生じたのかというパ
      ズルに対する答えを「労働戦線統一」の歴史に探ることにする」(「はじめに」より)

    このパズルの答えとして、著者が提示したのは連合結成時の「拙速な統一」である。

     1960年代に国際金属労連(IMF-JC)の主導による春闘方式が導入されるなど、総評左派が主導する政治主義の路線は凋落の一途を辿ることになった。加えて、1970年代に鉄鋼業などの構造不況業種の民間労組が主体となって唱える経済合理化による企業業績の維持・回復の路線は、1980年代に推進された自民党政権の行政改革路線とも親和性を持つものであり、1987年には左派を排除した民間労組の連合が成った。
     しかしながら、民間労組の求める政策実現能力をより強めるために志向された「官民を合同した」労働戦線統一によるナショナルセンター設立を実行に移す段になって、公共セクター労組であり戦後一貫して政治主義を掲げてきた総評左派の主流派である官公労の路線を許容せざるを得なくなった。
     結局のところ、民間労組の「労働組合主義」「経済合理主義」は、公共セクター労組の「政治主義」との折り合いをつけられぬままに「日本労働組合総連合会」=連合の誕生を迎えることになり、これが以後1993年の非自民政権誕生以後の政治改革・行政改革路線に対して非協力的で柔軟性に欠ける連合の守旧的な姿勢の土壌となった。

     全体の構成といい、論旨の明快さといい、本書を読み進めるのに苦労はしないが、55年体制下の政治史を理解した上で読めば面白さはぐっと増すことだろう。戦後日本の社会民主主義を体現してきた「労働組合」をその歴史から解き明かすことで、この泥臭いアクターの可能性と限界を示している。

  • [ 内容 ]
    労働政治とは、労働者の利益が政治の世界で実現されるプロセスを意味する。
    日本の労働組合は、利益実現に際して経済合理性を有する路線を取ることで戦後の成長と安定に大きく貢献し、一九八九年には連合の結成によって悲願の「統一と団結」を実現した。
    しかしその後、その存在感は薄くなり、連合自体にも行政改革・構造改革への積極性が見えない。
    歴史を遡り、労働者と政治の関係を利益団体政治の視角から検証する。

    [ 目次 ]
    1 労働組合が経済合理性を持つとき(利益団体としての労働組合 政治経済と労働組合)
    2 連合誕生の光と影(改革の九〇年代 団体リーダーの見た労働政治)
    3 戦後史のなかの労働組合(「統一と団結」を求めて―一九四五~六〇年代 第一次労働戦線統一運動の挫折―一九七〇年代1 民間労働組合の覇権―一九七〇年代2 中曽根行政改革と連合の誕生―一九八〇年代 利益団体政治と労働政治)

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    [ 参考となる書評 ]

  • 戦後政治における労働組合について書かれた本である。
    序盤は労組に関わらない「圧力団体」としての労働組合に関する考察である。
    日本では労組が流行らないのは「なんか権利ばかりを主張している印象があるから入らない」という俗論があるが、労組に入っていない労働者の約7割が労組を必要と考えているのである。これは非常に興味深い。つまり、「あったら(誰かが作ったら)はいろう」というフリーライダー志向が強いということであろう。

    また後ろは戦後の労組について触れられている。総評と同盟の対立軸について触れられている。やはり「労使協調」か「政治主義」かの対立があったことは否めない。それは行革への対応にも現れている。

  • NTTの労働組合は政治力が凄いあると思う。政権転覆なんて簡単に出来るんじゃないかな。
    労働組合と政治の関わりは深いだろうが、なかなか末端の人までは見えてこないし、労組がない会社、団体も多いし未加入者も多い。

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労働政治ー戦後政治のなかの労働組合 (中公新書 (1797))の作品紹介

労働政治とは、労働者の利益が政治の世界で実現されるプロセスを意味する。日本の労働組合は、利益実現に際して経済合理性を有する路線を取ることで戦後の成長と安定に大きく貢献し、一九八九年には連合の結成によって悲願の「統一と団結」を実現した。しかしその後、その存在感は薄くなり、連合自体にも行政改革・構造改革への積極性が見えない。歴史を遡り、労働者と政治の関係を利益団体政治の視角から検証する。

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