島原の乱: キリシタン信仰と武装蜂起 (中公新書 1817)

著者 :
  • 中央公論新社
3.67
  • (7)
  • (10)
  • (19)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 130
感想 : 11
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121018175

作品紹介・あらすじ

大坂の陣から二十年余りを経た一六三七年、天草四郎を擁するキリシタンが九州の一角で突如蜂起し、徳川幕府に強い衝撃を与えた。飢饉と重税、信仰への迫害が乱の原因とされるが、キリシタンが「異教徒」に武力で改宗を強制した例もあり、実情は単純ではない。本書は、戦乱に直面した民衆の多様で生々しい行動を描き、敬虔な信者による殉教戦争というイメージを一新。民衆にとって宗教や信仰とは何であったかを明らかにする。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • <目次>

    第1章  立ち帰るキリシタン
    第2章  宗教一揆の実像 
    第3章  蜂起への道程 
    第4章  一揆と城方の抗争
    第6章  原城籠城 
    第7章  一揆と信仰のつながり  

    <内容>
    島原の乱の詳細を分析し、転んだキリシタンが、飢饉の中、宗教の奇跡を頼りに、再びキリシタンとなり、一揆を起こしたのする。当時の日本は、キリスト教の深い教義など分からず、仏教でもキリスト教でも、自分たちが生き永らえればそれでよかったようだ。これを授業に落とし込むのは難しいが、頑張って見よう。

  • 大分前に読んだ者の再読だが非常に深く勉強になる。宗教一揆なのかそうでないのか、これは色々解釈させて面白いと思う。再読したい。宣教師も一筋縄でいかない。大友宗麟は結構ひどいことをしているがこのあたりからある意味中世日本を宗教的に克服していく核としてキリスト教が果たした役割は大きかったのではないかなどとやや俗説めいたことをおもってしまった。

  • 天草四郎のカリスマ性と島原の乱を知りたくて読んだが、籠城に至るまでの平民の信仰心(身を守るための改宗)や大名の利益にページが割かれていたため自分の目的とは主題が違った。

  • 2018年には原城(天草四郎たちが籠城した場所)も世界文化遺産に指定されるのではないかと期待して読了。島原と天草に土地勘が無くても(私は長崎県南島原市出身ですが)、地図が冒頭についているのでそこは親切。
     島原の乱が蜂起した理由が通説とは一致しないことを、多くの文献により立証しようとしており丁寧な仕事の本です。
     ただ島原の乱の初心者が読むには大変ですね。天草四郎がなぜ首魁に持ち上げられたのかという理由が全く触れられていないのは残念

  • 2005年刊行。著者は東洋大学文学部教授。キリスト教徒の迫害殉教・為政者の苛斂誅求に島原の乱の発生根拠を求める通説に対する批判的見地から論を展開する。しかしながら、?は多い。著者がC教への反駁思想としてあげる「日本宗」だが、これを慶長19年の伊勢踊りにその民衆意識発生の根拠とするが、些か牽強付会に過ぎないか。仏教の宗派が神道や他の宗派と先鋭な対立関係は少なかったというのは理解できるし、乱時に仏教各派信徒が島原・天草に在住し、時に反C教主義であった点は否定しないが、余りに大掴みすぎないか。
    また、天道=神道かの如き理解・解説もそれを所与の前提として論を展開している感なきにしもあらず。本地垂迹の解説を丁寧にしないと説得力を欠く。さらに、乱主導側が南蛮と連絡し後詰で期待していたというのはいかなる根拠でいうのか不明。一方、詳細な島原の乱の経緯と、同乱におけるC教殉教一辺倒への批判(もっとも、乱ないし一揆における宗教的紐帯の軽視という疑問は残る)、乱の動員が戦国期との類似性を持つ点、乱の推移にてC教信徒が仏教徒などを迫害した事実適示は興味深い。
    また、秀吉・家康政権下のC教禁教令は、個別領国内において、為政者や地域により徹底度合が違う(為政者の個人的属性のみならず、住民統治にC教弾圧が得策でない場合も)点も同様。

  • 伴天連追放令の理由…1.宣教師による信仰の強制、2.キリシタンの行う寺社の破壊と僧侶への迫害、3.宣教師の習慣である牛馬の肉食、4.ポルトガル人による奴隷売買。

    キリシタン弾圧の激化と乱の発生までの時間差の考察とか、当時の宗教観とか、キリシタン一揆に巻き込まれた住民とか、興味深く読んだ。

  • 一つにはこの歴史的事件の概略を知るに手頃な著作ということ。それ以上に、最後部で記される、近世初期の民衆の宗教意識について気づかされた。また勉強したいテーマがひとつ増えた。

  • キリシタン=民衆で、支配者層はキリシタンに反対するものという構図だと思っていたが、実は違ったようだ。

    キリシタンではない民も多くいたし、強制的に改宗させられた人びとも多いとか。

    宗教のこわさを感じるとともに、まだ戦国気質が残り、飢饉や重税にくるしんだこの時代の人びとを思う。

    キリシタンではない民は、「日本宗」をよすがにして、このつらい時代を耐えようとしたとか。

    結局、キリシタンと非キリシタンは双子のように似ているのだ、という神田氏の言葉が印象に残る。

  • 島原などを舞台とした作品です。

  • [ 内容 ]
    大坂の陣から二十年余りを経た一六三七年、天草四郎を擁するキリシタンが九州の一角で突如蜂起し、徳川幕府に強い衝撃を与えた。
    飢饉と重税、信仰への迫害が乱の原因とされるが、キリシタンが「異教徒」に武力で改宗を強制した例もあり、実情は単純ではない。
    本書は、戦乱に直面した民衆の多様で生々しい行動を描き、敬虔な信者による殉教戦争というイメージを一新。
    民衆にとって宗教や信仰とは何であったかを明らかにする。

    [ 目次 ]
    民衆を動かす宗教―序にかえて
    第1章 立ち帰るキリシタン
    第2章 宗教一揆の実像
    第3章 蜂起への道程
    第4章 一揆と城方との抗争
    第5章 原城籠城
    第6章 一揆と信仰とのつながり

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

全11件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

神田千里(かんだ・ちさと)
1949年東京都生まれ。東京大学文学部卒、1983年同大学院博士課程単位取得退学。博士(文学)。日本中世史専攻。高知大学人文学部教授、東洋大学文学部教授を経て東洋大学名誉教授。主な著書に『織田信長』(ちくま新書)、『島原の乱――キリシタン信仰と武装蜂起』(講談社学術文庫)、『一向一揆と石山合戦』(吉川弘文館)、『宗教で読む戦国時代』(講談社選書メチエ)、『戦国と宗教』(岩波新書)、『顕如』(ミネルヴァ日本評伝選)など多数がある。

「2021年 『戦国乱世を生きる力』 で使われていた紹介文から引用しています。」

神田千里の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×