- Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121018175
作品紹介・あらすじ
大坂の陣から二十年余りを経た一六三七年、天草四郎を擁するキリシタンが九州の一角で突如蜂起し、徳川幕府に強い衝撃を与えた。飢饉と重税、信仰への迫害が乱の原因とされるが、キリシタンが「異教徒」に武力で改宗を強制した例もあり、実情は単純ではない。本書は、戦乱に直面した民衆の多様で生々しい行動を描き、敬虔な信者による殉教戦争というイメージを一新。民衆にとって宗教や信仰とは何であったかを明らかにする。
感想・レビュー・書評
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<目次>
序
第1章 立ち帰るキリシタン
第2章 宗教一揆の実像
第3章 蜂起への道程
第4章 一揆と城方の抗争
第6章 原城籠城
第7章 一揆と信仰のつながり
<内容>
島原の乱の詳細を分析し、転んだキリシタンが、飢饉の中、宗教の奇跡を頼りに、再びキリシタンとなり、一揆を起こしたのする。当時の日本は、キリスト教の深い教義など分からず、仏教でもキリスト教でも、自分たちが生き永らえればそれでよかったようだ。これを授業に落とし込むのは難しいが、頑張って見よう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
大分前に読んだ者の再読だが非常に深く勉強になる。宗教一揆なのかそうでないのか、これは色々解釈させて面白いと思う。再読したい。宣教師も一筋縄でいかない。大友宗麟は結構ひどいことをしているがこのあたりからある意味中世日本を宗教的に克服していく核としてキリスト教が果たした役割は大きかったのではないかなどとやや俗説めいたことをおもってしまった。
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天草四郎のカリスマ性と島原の乱を知りたくて読んだが、籠城に至るまでの平民の信仰心(身を守るための改宗)や大名の利益にページが割かれていたため自分の目的とは主題が違った。
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2018年には原城(天草四郎たちが籠城した場所)も世界文化遺産に指定されるのではないかと期待して読了。島原と天草に土地勘が無くても(私は長崎県南島原市出身ですが)、地図が冒頭についているのでそこは親切。
島原の乱が蜂起した理由が通説とは一致しないことを、多くの文献により立証しようとしており丁寧な仕事の本です。
ただ島原の乱の初心者が読むには大変ですね。天草四郎がなぜ首魁に持ち上げられたのかという理由が全く触れられていないのは残念 -
一つにはこの歴史的事件の概略を知るに手頃な著作ということ。それ以上に、最後部で記される、近世初期の民衆の宗教意識について気づかされた。また勉強したいテーマがひとつ増えた。
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キリシタン=民衆で、支配者層はキリシタンに反対するものという構図だと思っていたが、実は違ったようだ。
キリシタンではない民も多くいたし、強制的に改宗させられた人びとも多いとか。
宗教のこわさを感じるとともに、まだ戦国気質が残り、飢饉や重税にくるしんだこの時代の人びとを思う。
キリシタンではない民は、「日本宗」をよすがにして、このつらい時代を耐えようとしたとか。
結局、キリシタンと非キリシタンは双子のように似ているのだ、という神田氏の言葉が印象に残る。 -
島原などを舞台とした作品です。