空間の謎・時間の謎: 宇宙の始まりに迫る物理学と哲学 (中公新書 1829)
- 中央公論新社 (2006年1月25日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (261ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121018298
作品紹介・あらすじ
空間とは何か、時間とは何か。この最大級の謎の解明には物理学と哲学が取り組んできた。絶対空間と絶対時間を主張したニュートンと、それに対抗して「時空の関係説」を唱えたライプニッツから出発して、最新の宇宙論にいたる物理学の成果を哲学者の目から見ればどうなるか。宇宙の始まりに迫る量子宇宙論へといざない、物理学に隠されていた時空の哲学の潮流を解きほぐす、直観的な理解を助ける図表を多数収載。
感想・レビュー・書評
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哲学、物理学の双方に通じている著者ならではの独特の書物。ニュートン(実際にはその弟子クラーク)とライプニッツの絶対時間・絶対空間の有無をめぐる往復書簡論争は「宇宙・時間・空間とは何ぞや」というような哲学的なテーマでもあったが、それが現在の物理学(宇宙論)の進化により、明らかになってきている面も多い!こと2つが繋がってくるということは、宇宙と素粒子という大小の両極端が繋がることと似た話なのかも知れない。「カント流の考え方との統一はカント派の学者が物理学を学んで!」という著者の主張は挑発的でいい!
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時間空間についての、ニュートンとライプニッツの対立から説き起こされる。マッハ流関係説力学が解説されている。科学哲学者による著作。面白くて、ぐいぐい読める。
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読者を選ぶ本だ。
相対性理論、ゲージ理論の理解がないと味読は厳しいだろう。
数式はほぼ出てこないが、ニュートンとライプニッツをめぐる論争が現代の物理学研究に影響を及ぼしていることが、かなり突っ込んだところまで触れられている。
物理学をめぐるパラダイムが構築される様が体感できる、またとない機会であった。 -
大二で読んだときは難しくて殆ど折り目を入れた 再チャレンジしなくては
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おそらく内容は十分の一も理解していないだろうけれど、著者の説明のうまさと、節度とユーモアのある語り口に魅了された。それだけで最後まで読めた。
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読めるかな、と思って読んでみた。
昔から知りたかった時空の謎、
宇宙がいっぱいあるって?
てか生命ってどうやってできたの?
てか宇宙ってどっからきたの??
難しすぎて、でもふとわかるときが楽しくて。
うーん、わかったこと?
様々な事象は相対的なのか、絶対的なのか、をまず考えなくてはならない。
様々な事象は…波動方程式やらビブン方程式やら、とにかく数式で表される。ゼッタイ。
あとライプニッツは、なぜおそるべしかというと、私がよく考えてる、
「その理由は何で?そのまた理由は何で?」を問うた人だから、なのかな。 -
標準的な物理学は、ニュートンの絶対空間(とそれをちょっと弱めた慣性系)を前提に組み立てられていますが、本書では、ライプニッツ、マッハ、バーバーと連なる(ニュートン流とは違った系譜の)物理学を紹介しています。標準的なニュートン流の物理学(とカントの超越論的実在論)では、時間と空間は、物理的実体の「入れ物」として初めから与えられているのですが、本書の関係論的な物理学では、実体と実体の関係を表す概念でしかありません。つまり、実体がなければ時空もありません。このような哲学のもと、物理学を再構成しようとする試みは、それが成功するかともかく、興味深いものです。なお、「ブライアン・グリーン著 宇宙を織りなすもの. -- 草思社」にも、時間と空間の関係説を解説した一節があります。
本館5階新書 081/C64/S1829
http://www.lib.shizuoka.ac.jp/cgi-bin/opc/opaclinki.cgi?ncid=BA75209928 -
ニュートンからアインシュタインを経て量子論・統一論までの物理学史の凝縮。各理論の解説より、その理論が生み出された背景や論争に重きを置いている。ニュートンvsライプニッツの論争にはかなりの紙面を割いていて面白い。難解な数式は一切出さず、イメージ図版を豊富に掲載してくれているが、文系には難解で解らない部分も多かった。しかし、物理学史を一気読みすると、各時代の研究の意義が見えてくる。18世紀の科学は宗教との葛藤。19世紀は実験・観測結果との戦い。そして20世紀は、科学それ自体が内包する命題に挑んでいる気がする。