- Amazon.co.jp ・本 (365ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121018366
作品紹介・あらすじ
明治維新後、旧公卿・大名、維新功労者などから選ばれた華族。「皇族の藩屏」として、貴族院議員選出など多くの特権を享受した彼らは、近代日本の政治、経済、生活様式をリードした「恵まれた」階級のはずだった。日清・日露戦争後、膨大な軍人や財界人を組み込み拡大を続けたが、多様な出自ゆえ基盤は脆く、敗戦とともに消滅する。本書は、七八年間に一〇一一家存在したその実像を明らかにする。巻末に詳細な「華族一覧」付。
感想・レビュー・書評
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華族を知ることは、近代日本を知ることだ、との言葉通り、まったく全容を把握してなかった華族について知れた。
華族は、徳川の支配階級である武と、天皇を中心とする貴族階級である官とを統一するための新たな身分制度とのこと。それまでずっと分離していた朝廷と幕府を一つに繋げる偉業であったとも言える。
あくまでも中心は天皇であり、華族は「天皇の藩屏」であった、と。
72年に渡り、華族は存在し、そして最後は自らを解体していった。それは、まさに藩屏として、戦後の日本に天皇家だけはなんとか残して役割を果たしたと言えないだろうか、という著者の最後の結びも良い。
つい70年前まであった身分制度、というタブー視された(?)トピックでもあり、なかなか注目されてない華族。しかし、椿山荘や有馬記念、学習院、国鉄。現代でもその遺産は我々の目に見えるところに在る。本書はその全貌がよくわかる良書だと感じた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
皇室の藩屏として、明治入り後に造られた特権階級。ただし、その出自は公家、大名、維新功労者、資産家、軍功者と多様で一体性を欠いていた。
例えば、資産においても大大名と公家では大きな格差があったというのは興味深かった。
昭和前期は、政党が力を失う中で軍部以外に華族も政治の中心におり、「貴族政治」ともいえたというのは自分にとって新しい視点だった。 -
第二期華族ブーム到来か?!
「花子とアン」でモデルとなった白蓮さんの小説を読んだら、華族ブームが再燃しました。あと、歴史好きの私の弱点、近現代史をクリアするためにも別方向から光を当ててみようかと思っております。 -
華族に関する入門書として最適だと思います。
華族関連書籍は概ね気合が入りすぎているからか、やたらと資料や込み入った解説が多く
結局なんだったのか分からないといってことに陥りがちだったと思います。
しかしこの本は裏づけとなる数字や資料、またその解説の程度が
華族に対する特別な知識のない人間にとってまさに絶妙の配分、難易度なのです。
華族ってどんな人たちがなったの?
華族ってお金持ちだったの?
華族って何人いたの?
公爵・侯爵・伯爵・子爵・男爵の違いってなに?
↑それぞれ何人くらいいたの?
華族のその後ってどうなったの?
などなどの疑問に答えてくれるニュース解説の池上さんみたいに親切な一冊です。 -
明治から始まった華族制度。
そして、太平洋戦争終結後に廃止。
その全貌が網羅されている。
遅れてきた貴族たち・・・という感じがする。
しかし、考えてみれば、各地のお殿様や、公家たちが、明治維新と同時に平民になる・・・というのも抵抗があったのかなぁ。。。
そういうワンクッションを置かなければまた、近代化も進まなかったのかもしれませんね。
それにしても、経済難などで苦しんだ華族の歴史を見ると、なんともあわれですね。 -
日本にかつて存在した特権階級華族の解説書。
一言に華族と言っても、その出身は武家・公家・軍人・朝鮮王族と様々で、
また地位も最高位の公爵は10家あまりしかないが、
男爵や子爵はたくさんあった。
出身が様々なように、
解体にあたってもやはり様々な終わりが華族の数だけ存在する。 -
やっぱりこれは金子絡みで読んでおかないとね、と思って買った一冊。華族の成り立ちから政治、経済、家と体面の維持などなど参考になります。サブタイトルにも在るとおり、案外華族って大変。商人から成功して財閥とか作った人達の方がよほど良い生活してる感じです。
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いろいろ新鮮でした。