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- Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121018533
感想・レビュー・書評
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基礎知識がないとなかなか難しいなあ。
物語ではなくて、経済学体系の歴史書だな、これは。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
いわゆる”異端派”から見た現代経済学の多様性。本書は、今日の「主流派経済学」とは一線を画した、いわゆる”異端派”経済学者たちの思想を改めて振り返ることで、現代経済学の意義と限界を考察した一冊である。
本書で取り上げられている”異端派”経済学者の思想を見ると、その根底にあるのは、現代経済学が「科学」であろうとするが故に見逃してきた「非経済的価値」や「人間の非合理性」に対する注目である。例えば「第5章◎異端派ガルブレイスの挑戦」では、現代経済学の「通念」でもある「消費者主権」や「市場に従属する企業」といった概念への根本的な批判が紹介されている。このように、自らのキャリアを賭けて経済学の新知見を切り開こうとする、経済学者の「生き様」が描かれているのも本書の魅力と言える。
一方で、”異端”を知る上での前提となる「主流派経済学」に関する解説はほとんどないため、経済学に不慣れな者にとっては難しく感じる記述も少なくない。やはり、本書の内容を理解するには、経済学の基礎知識をあらかじめ勉強しておくことが必要だろう。