映画館と観客の文化史 (中公新書)

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著者 : 加藤幹郎
  • 中央公論新社 (2006年7月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121018540

映画館と観客の文化史 (中公新書)の感想・レビュー・書評

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  • ちょっと冗長だけどアメリカの部分における映画の体験の変化が面白かった。一貫したデザインを考えるという意味で面白い本。

  • 貸し出し状況等、詳細情報の確認は下記URLへ
    http://libsrv02.iamas.ac.jp/jhkweb_JPN/service/open_search_ex.asp?ISBN=9784121018540

  •  加藤幹郎『映画館と観客の文化史』読了。1年弱ほどかかった。
     情報量もパースペクティブも、通史としての全体像に関してのフェアな姿勢も、学ぶことのとんでもなく多い労作。そんな本書にあって、重要だと思える箇所はそれこそ山のようにあったけれど、終盤ちかくに挿入される、試写会で筆者が体験したエピソードについてのくだりは、そこを引用したくなる理由が、ほかとちょっと違っているように思えた。
     「憤然と席を立ち、鼾をかく「眠る男」の肩を揺する不寛容な新聞記者は、試写室のモラルを他人に強制することは知っていても、映画作品を批評(批判)するという肝心要のことを忘れているように思われる」。
     この、『眠る男』の試写会室での出来事に関する述懐は、基本的に著者の主観がせり出てくるような記述のすくない本書にあって、数少ない「著者個人の動機」が出ているところのように思われた。もしかしたら本書の文章を前に進めているエネルギーは、このあたりに発生しているのかもしれない。

  • 「日本語で書かれた初めての包括的な映画館(観客)論」(あとがきより)。
    映画館の文化史論であり、と同時に観客の文化史論。映画館における観客の構成、態度、考え方について、興味深く論じられている。映画好きで、かつ映画館好きの私にとっては、読書中幸福感を得ることができた。


    本書はアメリカ篇と日本篇の2部に分かれる。
    アメリカ篇では、移民が映画を通じていかに同化されていったか、観客がいかに静粛性を尊重するようになったか、また観客が徐々に均質化されていった過程も詳細に説明される。初期のニッケルオデオン(常設映画館)で、観客はフィルムの入れ替え時間に合唱するというエピソードは楽しい。

    日本篇では、弁士の活躍、トーキーの黎明期、映画以外に観客が映画館に行く理由(例えば映画館は涼しいから)、京都市における映画館と市民の交流が論じられる。
    ポルノ映画館の観客についても論じられている。なぜ「都市部の片隅でごくわずかのポルノ映画館がひっそりと営業をつづけている」のかの解答が提示されているが、少しがっかりした解答だった。

    でも、映画館について、これほど論じられた本は出合ったことがなく、映画好きにはお勧めの★5つ。

    なお、本書にもあるように、映画館とは、観客が「異世界に遊ぶ」ために入場した「外界から遮断された視覚的公共施設」。
    異世界で遊ぶ人々(観客)が感動や驚きを共有できるのが望ましい。

    個人的なことで恐縮だが、学生の頃は、映画館に良く通った。今はない「三鷹オスカー」は洋画3本立て。「罪と罰」「白痴」「戦争と平和」の3本立てを600円で見たことがある。全部見たら10時間を超えたが、ほぼ満員の状態だった。映画が終わった後、観客のほとんどから「あぁ、終わった」という悲鳴が聞こえた。何となく嬉しかった。
    昭和の頃は、映画館は学生にとって大きな存在だったような気がする。

    ちなみにジャカルタにも、ショッピングモールに併設されたシネマコンプレックスが多数ある。冷蔵庫のような冷房が完備され、椅子の座り心地もよいが、いまひとつ好きになれない。観客が少なすぎる。先月、「ゴジラ」を見たが、日曜日の午後にも関わらず観客は数名だった。これでは、他の観客との共有感は持てない。

  • アメリカと日本における映画館の歴史を見ると、文化の違いが良く理解できます。

  • 映画と人をつなぐ、ハコの話。

  •  映画創世記から現在までの映画館の成り立ちと発展、それに伴う観客の観る姿勢の移り変わりを書いた、表題どおりの文化史。

     映画史というのはさまざまな形で読んだことがあるが、映画館について書かれものを読んだのは初めてで、興味深かった。

     アメリカと日本の映画館の発展の仕方の違い、生活環境や社会状況に合わせて変化した、映画館のニーズなど映画好きなら違う意味で知っていて損はない話だと思います。

  • とても面白かったです。先日まで映画についての論文を書いていて、ちょうど映画史についてインプットしたばっかりだったので特におもしろかった。ドライブインシアターの話が衝撃でした。聞いたことなかった。やっぱり映画館での静粛性って日本の国民性がだいぶ関係あるんじゃないかと思いました。

  • 非常に面白かった。映画を語る上で欠かせない要素であるにも関わらず、まとまった文章として出版されていなかった映画館論・観客論を映画初期からシネコン時代まで提示しているので、かなり勉強になった。新書サイズなので当然物足りないと感じる部分はあったが、日本初の映画館論・観客論の本であると思えば入門編として最適だと言えるだろう。サイレントからトーキーへの移行を、逆説的に喧噪から静粛への移行であると解説している部分など、引き込まれる論が多かった。もしかしたら、若干格式張った文章なので好き嫌いは分かれるかもしれないが、それも良い味を出していた。

  • 思いに日米の映画について。
    特にアメリカの映画の歴史は面白く、自動車を駐車しながら映画を見るなど、とても日本人には思いもつかないことをやっていて面白かった。
    日本人とアメリカ人の相違が光り、実に興味深かった。

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映画館と観客の文化史 (中公新書)の作品紹介

映画はいったいどこで見るべきものなのだろうか。ホームヴィデオの普及以降一般的になった、個人的な鑑賞は、果たして映画の本来的な姿から遠ざかってしまったものなのだろうか。本書は、黎明期から今日までの一一〇年間の上映形態を入念にたどりながら、映画の見かたが、じつは本来、きわめて多様なものだったことを明らかにする。作品論、監督論、俳優論からは到達し得ない映画の本質に迫る試みである。

映画館と観客の文化史 (中公新書)はこんな本です

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