かたき討ち: 復讐の作法 (中公新書 1883)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (276ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121018830

作品紹介・あらすじ

みずから腹を割き、遺書で相手に切腹を迫る「さし腹」。仇敵の死刑執行人を願い出る「太刀取」。女たちの討入り「うわなり打」。男色の愛と絆の証「衆道敵討」…。著者は豊富な史料に基づいて、忘れられた多彩な復讐の習俗を照らし出す。近世の人々はどのように怨みを晴らし、幕府は復讐の情をいかに管理し手なずけようとしたか。うつろう武士道、演劇化する「かたき討ち」。日本の復讐の歴史がよみがえる。

感想・レビュー・書評

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  • 復讐の方法様々。
    特に恐ろしいのはさし腹。
    これいくらでも悪用ができちゃうのです。
    だから気に入らないものを命と引き換えに…
    ああ恐ろしい。

    敵持ちも本当に大変なもの。
    特に不条理な理由があった場合は
    本当に隠れていないと大変なのです。
    (中にはうっかり打ち明け話をして
    討たれてしまうというおまぬけさんもいますが)

    結局これらかたき討ちというのは
    時代が下るにつれてそのものの行為が
    よいものとは言えなくなってしまい
    すたれていくこととなります。

    男色系のかたき討ちは
    おっかないよー
    男の嫉妬も本当に怖い…

  • 差し腹など知らないことを知れたのは大きい
    吉宗が暴れん坊将軍なだけじゃないことも知れた
    中国から敵討ちに関することを聞いているのは
    興味深く、今の中国とは違い、随分と理論的で
    進んでいる考えを持っていたのも興味深い

    著者の文章がたまに面白い

    「ゴング。~」のところは噴いた

  • 武士の死生観がわかって勉強になった。武道家必読の書。

  • かたき討ち(仇討)というと、「お覚悟!」と言ってハチマキ締めた女の人が短刀持って相手をブスリ。そんな時代劇のワンシーンを思い浮かべる方も多いかと思うが、同じかたき討ちにも色々な種類があるものだなとこの本を読んでわかった。
    特にかたき討ちが盛んだった江戸時代初期を主に紹介しているが、なんかもう「さし腹」という仇討方法には切腹切腹また切腹で、読んでいるこっちもお腹が痛い。
    いつの世も大切な人を無くしてしまった感情は同じなのである。しかし、討った肉親が今度は自分をかたき討ち、そしてさらに自分の肉親が相手を討つ、というように復讐の連鎖が始まってしまうのもまた「かたき討ち」。
    大変興味深かった。

  • [ 内容 ]
    みずから腹を割き、遺書で相手に切腹を迫る「さし腹」。
    仇敵の死刑執行人を願い出る「太刀取」。
    女たちの討入り「うわなり打」。
    男色の愛と絆の証「衆道敵討」…。
    著者は豊富な史料に基づいて、忘れられた多彩な復讐の習俗を照らし出す。
    近世の人々はどのように怨みを晴らし、幕府は復讐の情をいかに管理し手なずけようとしたか。
    うつろう武士道、演劇化する「かたき討ち」。
    日本の復讐の歴史がよみがえる。

    [ 目次 ]
    うわなり打
    さし腹
    太刀取
    衆道敵討
    おんな敵討
    敵持
    囲者
    もうひとつの武士道
    法と情
    将軍の質問
    妻敵討
    演劇的な、あまりに演劇的な
    帳付
    敵討の原像

    [ POP ]


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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 日本の古くからのかたき討ちについて近世を中心の論考。
    毎回、氏家氏の語り口が面白く、読みやすい。

  • 日本の古くからの文化として語られる敵討ち。それに関して、本当に細かい事例から書かれている一冊。
    時代劇などで知っている敵討ちと本来あったものの違いなど、細かい知的好奇心が微妙にくすぐられる。ここまで日のあたらない分野をよく研究されたと感服する一冊。

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著者プロフィール

氏家 幹人(うじいえ・みきと)
1954年福島県生まれ。東京教育大学文学部卒業。歴史学者(日本近世史)。江戸時代の性、老い、家族を中心テーマに、独自の切り口で研究を続けている。著書に『大名家の秘密』(草思社)、『かたき討ち』『江戸人の老い』『江戸人の性』(いずれも草思社文庫)、『増補版 江戸藩邸物語』(角川ソフィア文庫)、『武士道とエロス』(講談社現代新書)、『江戸の少年』『増補 大江戸死体考』(いずれも平凡社ライブラリー)、『不義密通』(洋泉社MC新書)、『サムライとヤクザ』(ちくま文庫)などがある。

「2021年 『文庫 江戸時代の罪と罰』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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