核爆発災害―そのとき何が起こるのか (中公新書)

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著者 : 高田純
  • 中央公論新社 (2007年4月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (274ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121018953

核爆発災害―そのとき何が起こるのか (中公新書)の感想・レビュー・書評

  • 2007刊。著者は札幌医科大学教授。

     主に核兵器爆発による被害予測を、過去の例、例えば、ヒロシマ、米によるビキニ核兵器実験、旧ソ連(カザフスタン)クルチャトフ市核実験場などの調査結果から行っていく。
     核兵器の被害の中核とは、近接地域での放射線・熱線、そして何よりも衝撃波の影響の大きさである。かような観点は、大分前のNHKスぺで語られていた記憶もあり、個人的に取り立てて新味はなかった。

     ただ、本書記述で問題に感じるのは内部被爆の点だ。著者は、この点について、自らを実験台にして結果を開陳しようとする。この蛮勇は否定しないが、これを科学的根拠とするには躊躇を覚える(誰かがカイワレを食す姿を見せるレベルとさして代わりがない)。
     勿論、著者自身も内部被爆の問題を軽視しているわけではなさそうであるが、余り不明なものについて、軽々に安心させるような誤導・断定は慎む必要があろう。
     また、これ以外にも、そういう断定的物言いをする箇所がないではない。


     むしろ、著者など専門家に求められるのは、今後、どのような実験や検証過程、研究方法によれば内部被爆問題にアプローチできるか、これを新規に検討し、その方法論を発見することではないだろうか。


     あと、些か門外漢の原発問題に言及するのはどうなのか?(チェルノブイリに若干)。
     この問題は、フクシマで見られたように、①事故が人為的か否かを問わず、事故後の処理解決に、極めて困難な作業が、極めて長期間に亘る点(高濃度放射性瓦礫などの除去が困難なため)。また、原発一般論として②廃炉過程の長期化と実現への経済的負担が巨大な点、③一万年スパンで考えなければならない、超長期間の半減期を持つ高濃度放射性廃棄物の処理の不可能さと非現実性にある。
     ②③だけで見ても、放射線の人体その他への影響如何を問題にすることとは次元が異なり、著者の専門外なのではという疑義が拭い去れない。

  • 核、爆発現象、防護方法、放射線障害、核ハザードについて詳しく解説されていて、そういうのがまったくわからない人でも理解することができ、スムーズに読み進めることが出来ました。

    広島・長崎の原爆投下のことや、第五福竜丸での生存者の証言なども書いてあり核兵器の恐ろしさが伝わってきました。

  • 広島への原爆投下、ビキニ水爆実験などの実例から始まり、
    核爆発によって生じる被害を科学的に説明し、
    現在の技術と東京が被災した際のシミュレーションを行う。
    科学的な内容は少し難しいが、
    よく練られた構成でわかりやすい。
    惜しむらくは執筆時期が東北地震以前であるがために、
    福島原発事故に関する記載が一切ないことか。
    本書の趣旨とはやや外れるが、
    いずれはこの点を補筆頂ければとも思う。

  • 1-1-2 科学技術社会論

  • 原子爆弾や原発事故の事実などから放射能が人間や環境に与える影響などを考察した本。
    やや難しいところもあるが、知らないことが沢山ある。
    福島原発事故や、万が一の今後の原発事故に際しても少しは知っておくと役に立つかもしれない。

  • 本書で提案されている放射線被爆の基準からすると,マスコミはかなり過敏過ぎる感じだ.年間1シーベルトでも顕著な被害は皆無だそうだ.

  • もし起きてしまったら?そんな疑問に答えてくれる新書。
    (ただし、最近話題の原発事故の対応とはまた少々違う。)

    最終章の東京中心部への核ミサイル攻撃のシュミレーション。
    そして「爆発直後の初期生存率を高めたら最終的に生存できる可能性が高い」という研究結果が印象的。

  • 2011/04/01 ボツネタ経由で知る

  • 核爆発を純粋に科学的な見地から、分析した読み物。過去の核爆発事例を検証することで、熱線と爆風、放射能がどのように周辺地域や人体に被害をもたらすかを明らかにし、実際爆発に遭遇したらどのように対処すればよいかを記している。
    政治的な話は一切無い。なのでいわゆる『反核』的なメッセージは一字も書いてない。このあたりはこの本の大きな特徴であろう。
    また、単に「放射能の恐怖」にフォーカスを当てて煽り立てるのではなく、むしろどこまでが本当に危険でどこまでが安全なのかを科学的に立証することで、放射能に対する正しい認識を持って欲しいという著者のメッセージがこの本には込められている。
    余談だが、この著者は自分のそういった信念に対してはどこまでも正直なようで、チェルノブイリの事故で放射能汚染されたキノコをなんと食べたりしている。安全と科学的には判ってはいても、ここまで出来るのは科学者ならではか。

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核爆発災害―そのとき何が起こるのか (中公新書)の作品紹介

第二次世界大戦末期、広島に投下された核爆弾が爆発した直下でも、生き延びられた人がいた。また、ビキニ環礁での実験でも島民たちは放射線を被曝したが生存している。不幸にも核爆発の影響下にいた場合、生死を分けるものは何なのだろうか。本書は、政治的な視点を一切除外し、純粋に科学的な見地から、過去の核爆発事例を検証し、現在判明しているかぎりでの最新兵器による被害と生存可能性とを推測する試みである。

核爆発災害―そのとき何が起こるのか (中公新書)はこんな本です

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