日本の統治構造―官僚内閣制から議院内閣制へ (中公新書)

  • 750人登録
  • 3.83評価
    • (60)
    • (86)
    • (89)
    • (6)
    • (0)
  • 70レビュー
著者 : 飯尾潤
  • 中央公論新社 (2007年7月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121019059

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
フランツ・カフカ
宮部 みゆき
ヘミングウェイ
三島 由紀夫
マックス ヴェー...
遠藤 周作
有効な右矢印 無効な右矢印

日本の統治構造―官僚内閣制から議院内閣制へ (中公新書)の感想・レビュー・書評

  • 民主党政権以前に書かれた本なので現状に即していない部分もあるが,それまでの政治機構改革の流れを中立的に大きく捉えることのできる良書。積まれた新書を消化するキャンペーン⑨。

  • 憲法の本では、議院内閣制は行政と立法の共働が予定=権力が一元集中化され、機動的政策決定が可能とある。ところが、日本の現実では、議院内閣制が政策機動性のなさの要因に転化(故に、直接民主制的な大統領制への憲法改正が論点に)。こんな理念と現実の乖離が生じた理由は何?。本書は①戦前から続く国務大臣の強い行政分担管理原則(内閣法)、②統一性を欠いた各省設置法、③人事・予算獲得等で、各省庁割拠と呼ぶにふさわしく、国務大臣はこれら省庁の代弁者に過ぎぬ、その他に由来すると調理してみせる。一方、民意反映の実現如何?。
    これら議院内閣制の諸問題を、主に55年体制における国会・内閣の模様から解読して見せる(与党・政府間の政策調整、野党に花を持たせられた国会運営←国会の会期制の反映、中選挙区制など)。さらに、国会・内閣の関係に関する英米など諸外国の紹介と史的変遷を踏まえ、将来像も開陳。良書とは、鋭い問題提起、丁寧な説明と比較分析、そして未来への展望のリアリティにある。最後の点を多少甘く見れば、本書も十分高得点をつけ得る書といってよいかと。著者は政策研究大学院大学教授。2007年刊。
    議院内閣制だから政策決定の機動性が欠ける等といった稚拙な議論の良いカウンターか。大統領制をとろうと行政・立法間の捻れがあれば、政策実行の機動性が失われ、討論と妥協、再修正が必要なのは、米国オバマ政権・大阪市橋下市長を見れば明らか。

  • 議院内閣制の詳しい仕組みの理解に。

    今から目指すべきは

  • 1990年代の政治改革以前の日本政治が、官僚の力が強い官僚内閣制、各省庁の利権 を代表するような政治家・官僚がいる省庁代表制であり、自民党の一党体制が長らく続いたことにより、政権交代が起こらない特異な議院内閣制だったことについて論じた本。
    そういった中で、同じ自民党なのに、内閣と与党を巧みに使い分けて責任逃れするような体制となっていたこと、選挙で敗北したはずの野党が政策に対する影響力を持つことで利益の再配分が行われ、それが自民党の政権を長期化することに一役買っていたことなど、なるほどど思う視点満載。
    そういった中で、より実質的な議院内閣制を実現するために、1990年代以降一連の政治改革が行われ、首相の権限が強化されたことが分かった。
    ただ、この首相権限に対する民主的統制として、総選挙において、政党・首相候補・政策の3点がセットで選ばれることが望ましいことなどについて論じられていた。
    てか、現実生活にも応用出来そう。
    改めて、政治学って、面白い!
    ちなみに、文章はペダンチックです。

  • ■省庁の枠組みは人事をベースとしながら予算や組織運営手法でも,それぞれ自律性を主張する単位となる。そのため公共事業の分野別予算比率が長らく一定であったように,局ごとの予算枠や,局ごとの運営手法などを守ろうとする強い力が働く。
    ■予算に関しては,毎年,わずかな増減を付けて調整する「漸変主義的」編成が基本。
    ■予算を確保することが次へとつながるため,自らの予算を減らさず,少しでも増やすことを第一目的とする行動を生む。これは官僚制の一般的特質で,どこの国でもあること。
    ■日本の省庁では所轄権限が極めて重要な意味を持つため,いわゆる「権限争議」という,自ら所轄権限を確保しようという省庁間の争いが一層激しくなる傾向がある。
    ■こうなると仕事の中身よりも,予算枠や権限を確保することに関心が集中し,獲得した予算の使い道や権限の行使には,あまり関心がないという倒錯的な現象すら起こる。
    ■日本政府は省庁連邦国家として把握することができる。
    ■とりわけイギリス,アメリカなどの国は「後法は前法を破る」「特殊法は一般法に優先する」といった概念をもとに法令の有効性を判断して,法令相互に矛盾を気にせず,最終的には裁判による判例の蓄積で問題が解決される。日本は条文に異様なほど細かいチェックがなされ現行法令全体の整合性が保たれている。
    ■もともと中央省庁のキャリア官僚は短い期間で官職を渡り歩くため,その間に新規施策を作ることに関心を集中することが多い。言い換えれば既存の政策の管理に情熱を傾ける官僚は少ない。
    ■財政における国民負担率からすれば,日本の政府規模は先進諸国の中で,かなり低い水準にある。
    ■欧米国家は社会における市場の失敗の除去を図る「規制指向型国家」であり,日本など東アジアでは国家が「発展指向型国家」として,社会の発展を目指し,社会諸集団と協力関係に立ちながら,社会を指導していくところに特徴があるとした。(チャーマーズ・ジョンソン)
    ■イギリスなどでは,官僚が大臣など上司にあたる政治家以外の国会議員と直接接触することが禁じられている。「与党」で官僚が政策を説明するのはどこの国にもみられることではない。
    ■政官関係の3つの規範
    ・統制の規範
    ・分離の規範
    ・協働の規範

  • 良書。現在読書中ですが、書いちゃいます。

    第二次大戦中なぜあのような責任体系が不明確なまま、戦争に至ったかの1つの原因が、1885年に取り入れ明治憲法にもその存在が明記されないまま続けられた、戦前の内閣制度にある、とした点は明瞭でした。

    志向していたイギリス流の議院内閣制の基礎となる、政党内閣がその権限が非常に弱められ、本来とるべき責任の所在の取り方 ”有権者→国会議員→内閣総理大臣→大臣→官僚(任命責任は大臣にあるとする考え方)” という体系が、議院内閣制であったにもかかわらず取られなかった。
    体制上では東条英機内閣でさえも、各大臣という「指導者」の意思をも集約できず、しかし責任はあいまいなまま決断が遅れ、残された選択肢では対米開戦等の決定しか選べなかった。

    戦時中またはその前からも、どうして責任のあいまいな政治体制が続いたのか、第1章を読んだだけで目からウロコでした。昭和初期の犬養内閣が五一五事件で倒れるまで続いた、「政党内閣風」を表面上吹かせ続けてきた議院内閣制、ひいてはとことんまで議院(議会)という責任委託先に拠れなかった内閣制度というのが、とても新鮮でした。

    とはいえまだ途中なので、また読んだらアップしようーっと。完全に現時点での備忘録になってまつ。。。

  • 非常にわかりやすく勉強になった。さくっと集中読み

  • 初版は2007年、議院内閣制確立のために「政権担当政党が時により交代する事態が起こり、その期待が定着するのが最も有効である。だが、それはなかなか実現しない。」(p209)と言われた時代である。国民は、自民党内における擬似政権交代によって、劇の観客としてカタルシスを味わっていたにすぎず、民主的統制を行うことはできなかった。(p112、179)一方、小選挙区制度下の小泉政権は、従来の派閥政治を破壊し、政治と国民との距離を近づけた。特に首相選びは派閥のパワーゲームでしかなかったが、小選挙区制で初めて国民は政権選択の権利を得たのである。
    この後、マニフェストによる政権選択選挙によって民主党政権が誕生、選挙による政権交代が起きた。 残念ながら民主党政権による政治は、そのような「期待」を定着させるには至らなかった。現在でも安全保障政策における意見集約が始まったばかりで、「期待」には程遠い状況であると言える。
    一方、官邸の権限強化は大胆な「改革」を可能にした。従来は官僚内閣制下の各省庁積み上げ方式のため、機動的な政策決定が不十分であったが、柔軟な方針転換、分野横断的な政策が可能になったのである。(p178)その中で安倍政権は金融緩和、農協改革、TPP、保守信条において強力なリーダーシップを発揮している。まさに、選挙結果がダイレクトに政策に反映されるようになった。これはある意味政権選択選挙の裏返しとしての、国民の「リスク」とも言える。
    本書では衆議院選挙による政権選択選挙の実現と、内閣総理大臣(首相)の強化を説いているが(p182)、そのいずれも実現された。一方、首相の強化に見合う権力監視装置があるとは言い難い。現在民主党への根強い不信があるなか、国会にそのような機能は求められない。また、監視機能を弱めようとする政権側の動きもでてきている。政権選択選挙の担保のためにも、監視機能の充実が以前にも増して求められるだろう。

  • 政治学の基本の必読書一覧の一冊に本書が記載されており、本書をとった。政治学の基本的なことを非常にわかりやすく記述しており、日本の戦前戦後の政治の歴史を俯瞰しながら概要をすんなりと理解することができた。

  • イギリスという国が生み出した議院内閣制を最も上手く成功させた国は日本だが、その実情は官僚内閣制であって…。という部分までは理解できた。政治家とか高級官僚を目指す人は読んだ方がいいんじゃないかなー。

  • なかなか基礎知識を押させることができてよかった。

  • 後半の筆者の主張(「決める」政治への転換こそが必要)はイマイチ納得できなかったが、統治構造の解説はとても勉強になった。初めて政治関係の話題で興味を持てた。
    術語の作り方・章立ての仕方など、参考にしたい。

  • 官僚が力を握り、政治家が力を発揮できない国、日本。

    議会、内閣、首相、政治家、官僚、政党を通じ日本の統治構造を明らかにする。

  • 「官僚内閣制」「省庁代表制」「政府与党二元制」から「普遍的な議院内閣制」へ。
    総理への権力の集中、議院内閣制の貫徹が必要だという。戦後統治機構の問題点とその原因分析が非常に鋭く、素直に勉強になった。
    現在批判される日本的な政治慣行も、かつてはそれによって上手くいっていたという事情もあった。しかし今、それらは限界を迎えている。
    第7章の今後への改革提案は、具体的現実的であり、感心した。

    党派性への拒否感が強いことが政治教育が深化しない原因である。
    憲法・外交・財政などの長期的で超党派的な問題への特別に強い機能を、参議院に与える(改憲発議、裁判官の人事権など)。これは「当事者の自覚的行動による慣例の積み重ねによって形成される」。
    官僚に要求される「統制・分離・協働の規範」。

  • 今まで読んだ新書の中で最も中身が濃かった。一時期、首相公選制が話題になっていたが、その是非はともかく、この本の内容を理解した上で議論に臨むことが国民の責務かも知れない。

  • まとめかたがちょっとなあ。。。

  • 著者は、日本政治専攻の先生です。期待の高い本でしたが、残念ながら、面白い本ではありませんでした。テーマは、「議院内閣制」です。日本の首相が指導力を発揮できない理由として、「議院内閣制」であることを指摘する人がいます。飯尾先生は、これは間違いだと指摘しています。「大統領制」は、権力抑制的な制度だと指摘しています。むしろ、「議院内閣制」は、指導者が権力を発揮しやすい制度だと指摘しています。では、「議院内閣制」を採用する日本において、首相が指導力を発揮できないのは何故でしょう。明治憲法下では、首相は閣僚の同輩中の首座であり、閣議は全会一致が原則だった。この制度の下では、首相の各省庁への指導力は限定的にならざる得ない。現憲法では、形式的には、首相の各省庁への指導力を発揮できるようになった。ただし、実質的に、その指導力が発揮されたことはありません。つまり、この問題は、憲法や法律等の「制度」の問題ではなく、それ以外の要素に由来すると考えた方がいいだろう。「正統性」という言葉が、キーワードになる。明治の元勲や原敬には、各省庁への指導力がありました。明治の元勲は明治維新をなしとげたという「正統性」があります。また、原敬は、政党政治を確立したという「正統性」がありました。それに対して、1党優位下の自民党の首相には、「正統性」がありません。自民党が政権を握ることには、「正統性」があります。しかし、首相には、「正統性」がありません。なぜならば、他の自民党の有力政治家と首相を分けるものがないからです。誰が自民党の総裁になっても、首相になれるのですから、これは当然です。

  • 官僚内閣制、世界でもっとも成功した社会主義国家などと揶揄される、日本の統治構造について、その歴史的経緯から解説した本。なかなか難解な言い回しが並んでいるが、概要を理解するためには非常によくまとまっている。

    よく床屋談義においては、日本の政治家や官僚が悪企みをして云々、、といった陰謀論が好まれる傾向にあるが、憎むべきは人ではなくてその構造だろう。現状維持バイアスのかかる官僚機構、ポピュリズムが横行する政治、これらの相矛盾する権力構造が制度疲労を起こし、何の生産性もない調整業務に忙殺されているというのが根本原因なのである。

    そして、三権のうちのもう1つ、司法というほとんど忘れられている権力と、第四の権力と言われるマスコミについても、より統治構造という観点から考察を深めていかなければならない。

  • 制度の外面的説明に終始して、問題意識がどこにあるのかわからない。
    海外の制度との比較は各論的に並列して説明せずに、日本の制度を説明するために海外の制度を紹介するにとどめ、日本の制度のどこをどう改善すべきかを示すべきである。

  • 日本政治の仕組みを、議院内閣制の原理に立ち戻って理解できます。
    最後まで軸のぶれない論で、難しい話の割にはスムースに理解できました。

    現在、「日本の統治構造を変えないとだめ云々~」という意見が多くなっていますが、
    その是非について考える上でも本書は役に立つと思います。
    日本の政治が進まないのは本当に仕組みの問題なのか?
    統治構造を雰囲気で変えないための骨太な知識が、本書で身に付くと思います。

  •  本書は「日本の統治構造の過去・現在を構造的に解き明かすこと」を目指したものであるが、それなりに緻密な考察を行っているが、なかなか知りたいことがわからない本に思えた。
     日本の最近の総理大臣の任期は1年前後が当たり前と異常な状況が続いており、小泉総理以降すでに5人の総理が1年前後で退任している。これが一人二人ぐらいならば「下痢が止まらない」とか「漢字が読めない」とかの理由でも、ありえるかもしれないが、5人ともなると構造的な問題であるだろうと容易に想像できる。そのわけが、本書を読んでわかるかと期待したのだが、ちょっと期待はずれの思いがした。
     本書では、「大統領制」と「議院内閣制」とを比較して、「議員内閣制」のほうが権力集中的であるとする。これは、一般的な理解とは真逆だが、本書の考察は論理的であると感じた。
     また、日本の官僚制度や自民党政権下の政策決定のシステムについては、もちろんある程度の興味はあるが、その後の民主党政権下で、政策決定システムがどのように変化し、それがなぜ行き詰ったのかのほうが興味があるが、本書では、それには触れていない。本書の内容は古いのではないのかとも思った。
     しかし、本書での「戦後日本の政治構造の問題点はどこにあるのか。…政治の方向性を決める『権力核』の不在である」との指摘は、的を得ていると感じた。リーダーシップの欠如を指摘する声は大きいが、リーダー個人の資質の問題ではなく、システムとしての「権力核」の考察をもっと掘り下げて欲しかったと思った。また、官僚制度とともに、中央と地方の権力分散の問題なども、是非わかりやすく解明して欲しいとも思った。
     本書は、課題の設定は良いと思うが、内容には不満が残るものだと感じた。

  • 民主主義や議院内閣制という用語で普遍的に解説される枠組みがまずあり、それが日本での政治的風土文化と時代に合わせて「解釈」される程度のものを「構造」と呼ぶのは過ぎるのではないかとタイトルを見て思った。
    しかし、本書は与党(自民党)・政府の二元体制の下、"政治的"官僚と"行政的"政治家が練り上げてきた「構造」は如何に責任と権力の主体を不可視なものにしたかを教えてくれる。また、単なる政治制度の「解釈」ではすまされない「構造」の根深さが今(H24現在)の政権交代の失敗に現れていることもまたよく理解できた。

  • 【MM239 mylibrary マイライブラリ・アウォード!2008 2009/1/21】


    《次点2》『日本の統治構造~官僚内閣制から議院内閣制へ』(飯尾潤著、中公新書、2007年)
         http://tinyurl.com/6qwjbh

     (コメント)いわゆる「ねじれ国会」の中で停滞する行政・立法の世界を解説した1冊。日本特有の政治システムに警鐘を鳴らします。日本政治への警告という意味では、かなり前の作品である『人間を幸福にしない日本というシステム』も参考になりますし、国家予算編成において嫌と言うほど聞かされた「埋蔵金」を提唱したこの書籍も関連すると思います。


      参考:『人間を幸福にしない日本というシステム』http://tinyurl.com/5gojgv
         『霞が関埋蔵金男が明かす「お国の経済」』http://tinyurl.com/6xsua5

全70件中 1 - 25件を表示

日本の統治構造―官僚内閣制から議院内閣制へ (中公新書)に関連するまとめ

日本の統治構造―官僚内閣制から議院内閣制へ (中公新書)を本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

日本の統治構造―官僚内閣制から議院内閣制へ (中公新書)の作品紹介

独特の官僚内閣制のもと、政治家が大胆な指導力を発揮できず、大統領制の導入さえ主張されてきた戦後日本政治。しかし一九九〇年代以降の一連の改革は、首相に対してアメリカ大統領以上の権能を与えるなど、日本国憲法が意図した議院内閣制に変えた。本書は、議会、内閣、首相、政治家、官僚、政党など議院内閣制の基盤を通し、その歴史的・国際的比較から、日本という国家の統治システムを明らかにするものである。

日本の統治構造―官僚内閣制から議院内閣制へ (中公新書)はこんな本です

日本の統治構造―官僚内閣制から議院内閣制へ (中公新書)のKindle版

ツイートする