信長と消えた家臣たち: 失脚・粛清・謀反 (中公新書 1907)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121019073

作品紹介・あらすじ

信長は天下統一の過程で多くの配下の者を粛清した。反逆が疑われる者は無論のこと、抜擢に応えられなかった者も容赦なく切り捨てた。なぜ信長は周囲の理解を超えた過酷な処分を行ったのか。一方、趨勢が明らかにもかかわらず、結果的に少なくない数の武将が反旗を翻したのはなぜなのか。着々と進む天下統一の裏で続いていた信長と家臣、そして恭順した大名たちとの駆け引き。その生々しい局面から、信長の戦略と素顔に迫る。

感想・レビュー・書評

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  • 織田信長は何故多くの配下を失ったのか。その歩みを辿る。
    序章 粛清の城 佐和山城
    第一部 挫折
      第一章 元亀騒乱の中に消えた武将たち
      第二章 越前の騒乱の中で
      第三章 抜擢に応えられなかった者たち
    第二部 粛清
      第四章 伊勢における粛清  第五章 近江における粛清
      第六章 天正八年の老臣追放 第七章 北陸国衆の粛清
    第三部 反逆
      第八章 反逆の中での尾張統一 第九章 将軍との対立の中で
      第十章 水野信元と松平信康の切腹
      第十一章 信長を見限った外様大名
      第十二章 反逆による信長の最期
      終章 反逆されやすかった信長
    信長家臣人名索引有り。
    織田信長の天下布武の行程の裏の、黒歴史というか、
    見出しを見ただけでも、いかに多くの人材を失っているかが、
    分かるという、消えた家臣たちの悲劇がどっさりな内容です。
    反信長包囲網、将軍・義昭の暗躍、一揆、本願寺、離反、
    国人衆等々、信長自身が多忙過ぎての目配り不足も。
    成功と失敗は隣合わせで、武将の配置が少なかったり、
    援軍を送れなかったりで、討ち死。一族郎党滅亡も。
    抜擢されても失脚。出世しても失敗すれば追求されて没落。
    降参しても処刑。招かれて謀殺。
    家中で実績があっても追放、それも昔の事を蒸し返して・・・。
    猜疑心が深く、執念深かったという信長自身の性格もあるから、
    仕える武将たちの日々は大変だったと、考えてしまいます。
    反乱や逃亡を考えるのも、なんか納得。
    とにかく、消えた家臣の数の多さにはゾッとしました。

  • 栄光に包まれた将がいれば、その途中で失敗して没落した将も居る。かと思えば用済みで消された将もいれば、座して死を待つよりはと謀叛に走る将も居る。戦国時代において最大の急拡張を遂げた織田家というのは人そのものがドラマであり、この本はその織田家において失敗した人たちにスポットを当てている。成功した人の影にはこのように消えた人たちがいるのだ。

  • 期待してたよりはるかにごく普通の歴史書だった

  • 谷口さんの信長の家臣シリーズ。今回は失脚、粛清、謀反に焦点を当てている。今までの著作の内容に加えて、伊勢や北陸なんかの国人衆の粛清についてや、信長が反逆されやすかったのかは猜疑心が強すぎることや執念深いことなどの性格が理由であることなどが書かれてる。

  • タイトルが示すように、織田信長から粛正・リストラされた武将たち。
    彼らの眼を通して見えてくる、織田信長像。

    独善的・不寛容・執念深さ、などなど期待を裏切らない性格の悪さ。
    それと過酷さを極める信長の独善的要求のオンパレード。

    我々は400年の時間を隔てて信長を見つめるから、英雄視するのであって、リアルタイムにいたら、とても近づきたくない人間であることは確か。

    同時代に生きた武将達に対する威圧的な振る舞いは多くの反発を招き、一度根に持ったら決して許さない執念深さからは、信長家中に疑心暗鬼が生またのが、多くのエピソードからわかります。

    信長は生涯を通して様々な武将から裏切りつづけられ、最後は部下の裏切りにより、その一生を閉じるわけですが、その顛末をリアルに納得できました。

    信長のような、ある種の天才は複雑な性格を持っていると思うので
    此の本に描かれている信長像も、その一部ではあるものの、信長と家臣たちの関係を分析することによって見えてくるのは、

    「信長と時代とのギャップ」です。

    よく、政治家や経営者が理想のリーダーとして、織田信長を挙げる事がありますが、その方々には是非とも此の本を読んでいただきたいです。

    信長のように、多くの犠牲を払ってまで国を変えるというのが、どれだけの価値があるのかを考察するのには、かなりイイ本だと思います。

  • 信長さんの天下統一事業中に排斥されていった悲しい人たちの紹介本。

    ただ、今まで知らなかったような、、、ゲームやってても全く気にしなかった武将達の事が色々書かれてるので、歴史好きな人だったらたまらないと思う。

  • 挫折したり、粛清したり、反逆したりという家臣達の記録を読むと、本能寺の変は、起こるべくして起こったという事がよくわかる。

  • 多くの武将を取り立ててきた信長ですが、その一方リストラされた武将も数多くいます。

  • 「上司にしたくない歴史上の人物」なんてアンケートがあったら、間違いなく第一位になるとおもわれる織田信長。

    評価の高い信長の別の一面がよく描かれてます。
    まー実際に使えたら最悪の人物だよなー。

    短気・猜疑心が強い・執念深い・気まぐれ・残酷・酷薄等々、まーこれだけの要素がこの人には全て詰まってる。

    その被害を受けた人の悲惨な話を集めたのがこの本です。

  • いままで散々語られた信長に関する本だが、これは天下統一事業のさなかに消え去った家臣について書かれている。
    基本的に資料の中から描かれたものだが、今までスポットを浴びてこなかったニッチな部分が描かれているのは興味深い。ただ、有名な武将に関しては、正直言って読み飛ばしても問題ない記述。

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著者プロフィール

1943年北海道室蘭市生まれ。1966年横浜国立大学教育学部卒業。東京都中学校教諭をへて、現在戦国史研究家 ※2019年11月現在
【主要編著書】『織田信長家臣人名辞典』第2版(吉川弘文館、2010年)『信長の天下布武』(戦争の日本史13、吉川弘文館、2006年)『検証本能寺の変』(吉川弘文館、2007年)『信長の政略』(学研パブリッシング、2013年)

「2019年 『信長と家康の軍事同盟』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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