老いてゆくアジア―繁栄の構図が変わるとき (中公新書 1914)

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著者 : 大泉啓一郎
  • 中央公論新社 (2007年9月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (204ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121019141

老いてゆくアジア―繁栄の構図が変わるとき (中公新書 1914)の感想・レビュー・書評

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  • 『老いてゆくアジア――繁栄の構図が変わるとき』
    著者:大泉啓一郎(1963-)

    初版刊行日 2007/9/25
    判型 新書判
    ページ数224ページ
    定価 本体760円(税別)
    ISBN 978-4-12-101914-1

    中国の経済成長率が11%を超えたと報道され、この勢いに引っ張られるかのように、アジア全体の経済も順調に推移している。だが、これはよく喧伝されるように「二一世紀はアジアの世紀」の証明だと考えてよいのだろうか。アジア全体の少子高齢化という現実を見れば、楽観は許されない。いまだ社会保障制度が整備されていないアジア各国の一〇年後、二〇年後を見据え、アジア全域で豊かな社会を構築するための方途を提言。
    http://www.chuko.co.jp/shinsho/2007/09/101914.html


    【目次】
    はじめに [i-x]
      少子高齢化の波
      「まぼろしのアジア経済」を超えて
    目次 [xi-xvi]

    第1章 アジアで進む少子高齢化 003
    1 世界人口とアジア 004
      「人口爆発の世紀」から「人口減少の世紀」へ
      世界レベルで加速する出生率の低下
      開発途上国の人口増加率の低下
      「雁行的人口変化」
    2 アジアにおける出生率低下の背景 014
      人口転換モデル
      「多産多死」から「多産少死」へ
      出生率の低下と一人っ子政策
      子供を持つことの効用と不効用
      「少産少死」そして「少子化」
      今後の出生率の推移
    3 高齢化地域としてのアジア 034
      四七〇〇万人から七億人超へ
      高齢化のスピード
      もはや先進国特有の問題ではない

    第2章 経済発展を支えた人口ボーナス 041
    1 「東アジアの奇跡」はなぜ生じたか 042
      経済発展は結果か原因か
      人口規模と経済発展
      人口構成の変化
    2 人口ボーナスとは何か 052
      ボーナスとしての経済発展
      ベビーブーム世代による労働投入量の増加
      国内貯蓄率の上昇による投資の促進
      初等教育の普及による生産性の向上
      人口ボーナスはいつまで続くのか
    3 アジア各国は人口ボーナスの効果を享受できたか 065
      人口ボーナス効果の変化
      日本――団塊の世代が支えた高度成長期
      韓国・台湾――人口ボーナスにフレンドリーな政策を展開
      中国――遅れた人口ボーナスの効果①
      タイ――遅れた人口ボーナスの効果②

    第3章 ポスト人口ボーナスの衝撃 091
    1 人口ボーナスから高齢化へ 092
    2 高齢化による成長要素の変化 094
      労働力人口の減少
      ライフサイクルにみる国内貯蓄率の低下
      求められる全要素生産性の向上
    3 中国、ASEAN 4 の高成長の壁 105
      偽装失業と労働移動
      「都市部の人口ボーナス論」
      高い国内貯蓄率
      中国経済はバブル化していないか?
    4 ベビーブーム世代の生産性 118
      農工転換と生産性
      ベビーブーム世代の高齢化
    5 ベトナムとインドの参入 126
      小型中国としての課題――ベトナム
      IT国家の課題――インド
      アジア経済の行方

    第4章 アジアの高齢者を誰が養うのか 135
    1 アジアの社会保障制度 138
      機運の高まり
      アジア各国の社会保障制度
      民主化運動のインパクト
      世界銀行のソーシャル・プロテクション
    2 社会保障制度構築の課題 149
      医療負担の増大
      疾病構造の変化と医療保険制度
      すでに賄いきれない年金負担
      世界銀行による五つの年金制度
      年金制度改革の政治学
      高齢化問題と人間の安全保障
    3 開発途上国が直面する困難 165
      タイの年金制度
      実現しなかった国民皆年金制度

    第5章 地域福祉と東アジア共同体 173
    1 福祉国家から福祉社会へ 174
      鍵を握る二つのコミュニティ
      福祉社会への移行
    2 日本の地域福祉の取り組みと教訓 178
      日本の地域福祉の歩み
      国と地方の役割分担
      担い手の連携と住民参加
    3 真の東アジア共同体形成に向けて 186
      アジア地域での協力体制
      東アジア共同体形成への課題
      アジア福祉ネットワーク

    あとがき(二〇〇七年八月 大泉啓一郎) [195-197]
    参考文献 [198-201]
    索引 [202-204]

  • ちきりん書籍

  • 人口ボーナスの経済へのインパクトと、適切な経済構造への変革の必要性の説明は非常に面白かった。ここまでは星5つ。最終章の東アジア共同体の説明が竜頭蛇尾で、マイナス0.5。

  • 少子高齢化の課題は日本だけでなくアジアにも同じ問題を抱えている。

    アジアは今まで人口ボーナスの効果で経済発展し繁栄できた。でも、高齢化が加速する現実に直面して今後は楽観視できない。という内容を各国の人口データと統計で解説した内容。

    漠然と好景気高成長のアジアと予想してたが、ことはそう単純ではない。とくに中国では少子高齢化(というか一人っ子政策の後遺症)に伴い社会保障費の増大も見込まれる。アジア各国の人口推移や世代間格差がどういった政治的経済的リスクをもたらしてこれから顕在化してくるのか。これらを見通す上で最適な内容。

  • 人口動態から経済をみる本が最近のお気に入り。日本は90年から95年に生産労働人口がピークアウトした(いわゆる「人口ボーナス」の終了)。韓国や中国、台湾など東アジア各国も2015年までには人口ボーナスの終りが来る。

    日本は「高齢化社会」はとっくに過ぎて、5人に1人が65歳以上という超高齢社会が目前だ。人口ボーナス期に一人当たりGDPを世界第2位まで上げた日本ですら、この超高齢社会には社会制度が対応できていない。

    人口ボーナス期が終わりに差し掛かっている東アジア各国は経済は、比較的堅調に伸びているとはいえ、1人当たりのGDPは日本に遠く及ばない。いずれも日本と同じく少子化傾向があるため遠からず少子高齢化社会になる。その時の備えは日本以上に難しそうだ。

    一つ気になったのはマレーシアだ。この国は人口ボーナス期の終わりが2035年頃と遅いのだ。一体なぜだか詳しい説明はなかったが、これから調べてみたい。


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    「高齢化社会」、「高齢社会」、「超高齢社会」について解説の引用

    65歳以上の人が総人口に占める割合のことを“高齢化率”という。この高齢化率が7%を超えると「高齢化社会」、14%を超えると「高齢社会」、21%を超えると「超高齢社会」ということになる。日本は1970年に高齢化率が7%を超え、1994年には14%を超えている。2005年10月1日の時点での高齢者人口は過去最高の2560万人で、高齢化率は20.04%と初めて20%を突破した。21%超えは時間の問題。日本はまさに今、超高齢社会の入り口に差しかかっているのである。
     国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、高齢者人口は今後も2020年まで急速に増え続ける。その後はやや安定するが、総人口が減少していくため高齢化率はさらに上昇し続けて、2015年には26.0%、2050年には35.7%に達すると見込まれている。日本人の3人に1人が65歳以上という“超超高齢社会”になるわけである(http://research.goo.ne.jp/database/data/000579/

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  • 今年くらいの中国を中心に意外と早く高齢化が進むアジア諸国の状況を再確認。同様の状況の80年代の日本ほど経済成長、と国経済に占める消費の割合や福祉が進展していないのが難点であるとする。

  • 引き続き、同じ著者の「老いてゆくアジア」を読む。
    アジアの差し迫る課題がわかった。同じ発展途上国といってもアフリカとは
    かなり様相が異なる。アジア特に東南アジアでは人口爆発の時代から高齢者人口爆発の時代へ移行している。
    急激な少子化の原因として4つあげている。
    1)核家族化
    2)結婚年齢の高齢化
    3)子供の養育費のコスト
    4)ライフスタイルの変化

    人口ボーナスという概念がポイント。ベビーブームの世代以降、出生率が下がり、「養うべき子供世代」が少なく、生産年齢人口がおおいため、負担が少なく経済発展が期待できる時代。ただ、ある程度年月が経つと、高齢化社会への入り口にさしかかる。

    経済発展はこの人口ボーナスによって支えられた。

    後半はかなり飛ばし読みをした。が、リマインドしておきたい事実として、下記をあげておきたい。
    1. 2005年現在での合計特殊出生率
    日本は1.3に対して、
      それよりも少ない、
    韓国・台湾・香港・シンガポール
    注)人口維持に必要な出生率は2.1
    2. 2025年にはNIESは高齢化率14%を超える高齢社会

    安定的にこの高齢化社会を迎えるためには域内における協力体制が必要となる。居住地域をベースにした福祉、地域福祉の必要性。(だだ、福祉の実践に関しては、最後の方を読飛ばしているので、理解しきれていないが)

  • 日本企業のアジア進出はアジア成長が前提になっているが、実はアジアは急速に少子高齢化が進んでいる。この現況をとらえ、アジア経済の活力は今後も持続するのか?アジアは10年20年後にどのような課題を持つのか?その時日本はどのような役割を果たすべきか?を書いた本。
    興味深いのは、先進国は将来発生する貯蓄不足に対して新興市場からの資金取り込みを期待しており、他方、新興国は先進国からの資金取り込みをこれまで同様に成長戦略の中心に捉えているという点です。先進国と新興国が将来的な成長の資金源を相互に期待しており、「誰が世界の資金不足を賄うのか」という問題が近い将来浮上してくるかもしれません。いや、もしかしたらもう来ているのかも?
    アジアビジネスに関わっている人、アジア進出を検討している人にお勧めします。
    ただし、最後の改善策に目新しさは特になく、読後のすっきり感はありませんでした。その点が残念でした。

  • 「消費するアジア」に先行して書かれた、アジアの少子高齢化問題​に焦点をあてた本。アジア新興国の少子高齢化はすでに始まってい​て、成長の果実を得る前(「人口ボーナス」と呼ぶそうです)に、​特に人口の大半を占める農村高齢化が大きな課題だということらし​い。それにしても、少子高齢化は経済発展に伴う必然であるため、​子育て支援などの政策がどうあっても、出産率が2人まで回復する​ことは相当無理があるという印象も持ちました。

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