平城京遷都: 女帝・皇后と「ヤマトの時代」 (中公新書 1940)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (265ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121019400

作品紹介・あらすじ

七一〇年の平城京遷都は、飛鳥から奈良まで続いた「ヤマトの時代」のひとつのクライマックスだった。六世紀の仏教公伝にはじまり、天皇制の強化、隋唐・朝鮮との外交交渉をへて、のちの大仏造立まで続く、古代日本の国家戦略がなしとげた一大プロジェクトであった。激動の東アジア世界の中で、時々の政権はなにを考え、どう動いたのか。「ヤマトの時代」を象徴する女帝・皇后の動向に光を当てながら、古代史の壮大なドラマを描く。

感想・レビュー・書評

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  • 2008年刊行。著者は国際日本文化研究センター教授。欽明朝から長岡京遷都まで(ただし、主に聖武朝終焉まで)を「ヤマトの時代」と見て、その政治・外交状況を、仏教・道教や、隋唐関係とそれによる内政への影響、外交政策の具体的内容から伺える各種為政者の国家意思の体現如何を中心に検討する。極端に新奇な内容はないが、舒明朝から文武朝までの八角形墳とその根本にある道教・北極星中心の世界観はなかなか興味をそそるところ。また、吉野の持つ意義、複数出現した女帝の巫女的性格の分析は、個人的には興味を引いた。
    藤原京廃都の原因について、かつては地下水の湧く水の処理の困難さと言われてきた。しかし、「藤原京」その他の書籍によれば、長安の実態に関する遣唐使の情報、高低差に問題あるや周囲の地形、さらには、水運などの河川・海上交通網から隔絶した地にある点など、とされている。また、汚水処理の不全のための疫病流行源(当時は不吉な都とされただろう)なども挙げられる。本書も後者の立場。

  • 奈良県立図書館館長による力作。史実を追いながら、文学的表現で伝える筆はすばらしい。この手の本でNo.1

  • 平安京に至るまで、というのは何度となくテーマとして見たような気がしたが、平城京への遷都、というテーマ自体が面白かった。
    しかし、かなり不安定な時代だったのだなぁ。

  • [ 内容 ]
    七一〇年の平城京遷都は、飛鳥から奈良まで続いた「ヤマトの時代」のひとつのクライマックスだった。
    六世紀の仏教公伝にはじまり、天皇制の強化、隋唐・朝鮮との外交交渉をへて、のちの大仏造立まで続く、古代日本の国家戦略がなしとげた一大プロジェクトであった。
    激動の東アジア世界の中で、時々の政権はなにを考え、どう動いたのか。
    「ヤマトの時代」を象徴する女帝・皇后の動向に光を当てながら、古代史の壮大なドラマを描く。

    [ 目次 ]
    序 磯城嶋の大和-平城への長い旅路
    第1章 推古天皇-転回する国家
    第2章 斉明(皇極)天皇-中華帝国へのあこがれ
    第3章 持統天皇-国家の構図を描く
    第4章 元明・元正天皇-血統と遷都
    第5章 光明皇后-国家理念と現実
    終章 称徳(孝謙)天皇-「ヤマトの時代」の終焉へ。素描風に

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    [ 参考となる書評 ]

  • 完全に流された旅の中で、
    素敵な古書店で買った1冊。

    読みきれるかわからない。笑

    奈良から京都へ帰る電車で少し読んだけど、
    もう一回その辺の歴史を勉強してから再読しようと思います。笑

  • 図版の多いことに惹かれるも、この無知な自分が読みとおせたことに驚く。本書の価値は博学な自分にはかたれないが、遷都への大きな流れは掴めたように思う。
    万葉集、万葉歌の引用、言及多し。約12箇所程か。
    興味いよいよ募る。
    「あもりつく あまのかぐやま かすみたつ・・・」のかぐやまには香具山ではなく芳来山が当てられているのは道教の要素の一つである神仙思想の三神山の一つ蓬萊山になぞらえているのではないかと・・・。
    うむむ、面白い。

  • 2008/4/16

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著者プロフィール

1942年奈良県生まれ。
京都大学大学院文学研究科博士課程修了。追手門学院大学文学部助教授、奈良女子
大学文学部教授を経て、1995年4月、国際日本文化研究センター教授(2008年定年
退任)。現在、国際日本文化研究センター名誉教授・奈良県立図書情報館館長。
博士(文学・京都大学)。
受賞=濱田青陵賞、日本地理学会優秀賞、奈良新聞文化賞、古事記出版大賞。
著書=『地名の巨人 吉田東伍―大日本地名辞書の誕生―』(角川書店)、『古代
の風景へ』『古事記の奈良大和路』『古代天皇誌』(東方出版)、『平城京遷都』
『古事記の宇宙(コスモス)』『古代飛鳥を歩く』(中央公論新社)、『古代日本の
王権空間』『聖徳太子と斑鳩三寺』(吉川弘文館)、『こまやかな文明・日本』(N
TT出版)、『京都まちかど遺産めぐり』(ナカニシヤ出版)、『まほろばの国か
らⅠ』(豊住書店)、近著に『飛鳥の覇者』(文英堂)、など。

「2017年 『奈良・大和を愛したあなたへ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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