韓国現代史―大統領たちの栄光と蹉跌 (中公新書)

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著者 : 木村幹
  • 中央公論新社 (2008年8月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121019592

韓国現代史―大統領たちの栄光と蹉跌 (中公新書)の感想・レビュー・書評

  • ドラマチックでとてもわかりやすい人物史。多様な出自の大統領を切り口にして政治史を語ることで社会にも一定の目配せをするという筆者の思惑は成功してると思う。経済・文化・国際性という視点は弱いがある程度仕方ない。積まれた新書を消化するキャンペーン⑧。

  •  最近韓国政治が騒がしいので再読。一般人は、首脳以外の他国の政治家には詳しくないのが普通だろう。しかし、どんな首脳にもそこに至るまでの政治キャリアがある。本書では、1945年以降の各時期を、時の又は後の大統領がその時何をしていたかという視点から取り上げている。
     崔圭夏・盧泰愚・全斗煥は省かれているし、存在感があった金鍾泌も、大統領になれなかった以上単なる脇役扱いである。しかし、一つの時期を様々な人物の立場から見るという、通史にも人物史にもない不思議な感覚に襲われる。たとえば朴正煕による1961年の5.16軍事クーデタの頃、尹潽善は当初協力、後に決別。金泳三・金大中は野党政治家として一定期間政治活動を禁止された後に解禁。1980年以降の第五共和国時代、盧武鉉は民主化運動を契機に人権派弁護士へ。李明博は現代建設社長として政権に圧迫される。金大中は光州事件後に亡命せざるを得なくなり、金泳三は国内での民主化運動。
     軍事政権対民主化運動、という対立軸はもちろん正しいだろうが、実際には朴正煕時代、特に維新クーデタ前には野党側にもそれなりに政治活動の空間はあった。また民主化後も、金泳三は盧泰愚と、金大中は金鍾泌と手を組んでもいる。韓国政治はもちろん今後も続いていくが、民主化・制度化された現在では、これほどのドラマにはならないだろう。
     巻末に掲載された政党・憲法の変遷と年表は大変ありがたかった。本文を読み進む中で何度参照したことか。朴槿恵大統領が突如大統領の任期・再選を定める憲法の改正に言及したのも、このような歴史を知ると一層理解できる。

  • 韓国の歴史を大統領の生涯を通じて紹介する形式。かなり濃密にキャラが立ってるけど、韓国は総じてそうなのか、占領下から朝鮮戦争軍政の激動がそうさせたのか。1人に絞ってじっくり書かれた評伝があれば読みたい。

  • 戦後の韓国史をあまり知らない人にとっては、通史がコンパクトにわかり便利。各時代を、7人の大統領それぞれの状況の視点から書かれており、それぞれの階層からみたい時代背景のイメージがつかめる。韓国の戦後は、政党が次々と誕生しては消えていくのだけれど、巻末に変遷図も収録されていて、その複雑さが理解しやすい。物足りないのは、政党政治に主眼が置かれていて、経済や社会の変遷の説明が極めて少ない点。それは他の本で補うしかないだろう。

  • 韓国現代史を大統領の人生から読み解く一冊。
    イ・ミョンバクは成り上がりですごいなーという感じ。金大中とか金泳三とかは完全に政治屋なんだなと初めて知った。

  • 李承晩から李明博まで、彼らがいかにして韓国政治の頂点に登りつめたか、わかりやすく一般向けに書かれています
    韓国現代政治を知る上できっかけの一冊としてよい本です

  • 独立後から現代までの歴史を大統領のエピソードを中心に描く

    李承晩から李明博に至るまで、興国というか、大きな変化を遂げた国の権力者の話はおもしろいなぁ。最近でこそ大きく注目されてるが、ちょっと前まで軍事独裁の国で、大戦前の実力者やその時に青春を過ごした人達が国の中心にいたんだよなぁ。日本だと、大戦前と後で繋がりがわかりづらい、もしくは語られないけど。かの国では大戦の記憶が残っていた、またはいる、んだなと実感。そりゃ親日とかで騒がれるのもわかる。

  • ○この本を一言で表すと?
     韓国歴代大統領の各歴史的ポイントの立場や行動について書かれた本


    ○この本を読んで面白かった点
    ・最初から最後まで様々な人間ドラマが展開されていて面白かったです。

    ・1945年8月15日を各歴代大統領がいろいろな立場(日系企業、亡命政治家、日本軍など)で迎え、その日を境に人生が大きく変わっていったことが、環境変化の人生への影響の大きさを物語っていて面白いなと思いました。建国の父と呼ばれる李承晩がこの時点で70歳と高齢で、オーストリア人と結婚していたのは驚きました。(序章)

    ・終戦後に様々な「自称政府」が乱立したのは面白いなと思いました。独立運動などを経て独立した国であれば、現政府が1つ、反政府が1つというのがほとんどですが、外的要因で突如独立となるとこのような事態になることが興味深かったです。(第1章)

    ・後に軍事政権を築いた朴正煕が師範学校で落第生ながら卒業し、一度先生になりながらも元々憧れていた軍人になったという経歴だったのは面白いなと思いました。(第1章)

    ・金大中が20代の時に日系企業で日本人がみな帰国した中で成り行きのままその経営者となり、さらに独立して手腕を発揮していったというのはすごいなと思いました。(第1章)

    ・朝鮮戦争で韓国自体はほとんど戦えず、「北朝鮮軍にやられまくり⇒アメリカ軍が押し返す⇒中国義勇軍が押し戻す」というプロセスになったことは知っていましたが、その頃の韓国政府の動きなどは初めて知りました(ソウルにいた李承晩がこっそり脱出していたり、その後何度も処刑されかける金大中が処刑場に送られていたり。)。(第2章)

    ・金泳三が自分の部屋に「未来の大統領金泳三」という張り紙を中学の頃にしていたというのは後に実現することになることを考えるとすごい実現力だなと思いました。(第2章)

    ・独裁政治を行っていた李承晩が憲法を改正して直接選挙制に替え、対立候補が相次いで亡くなる暗殺疑惑などの元で四月革命のデモ等に圧されて辞任し、戦前と同じくまた亡命することになり、二度と韓国の地を踏むことがなかったというのは、老子の「功成り身退くは、天の道なり」という言葉を思い出しました。老いて権力にしがみついた人の末路は「晩節を汚す」ことになりやすいのだなと思いました。(第3章)

    ・20世紀後半ずっと競争相手となり続ける金大中と金泳三が、前者は朝鮮戦争の時に母親が餓死寸前となり、後者は母親が北朝鮮のスパイに殺されるなど、相反する点と共通する点があって興味深いなと思いました。(第3章)

    ・朴正煕が軍で不遇な立場の中でクーデターを起こし、単独では成立しえない規模ながら陸軍参謀総長を甘言で利用し、大統領の尹潽善の協力を得て成立し、「政治活動浄化法」で4373名の政治家が活動を禁止されたという流れは非常にスムーズにいったなと思いました。朴正煕がその後の開発独裁でうまく舵を取ったことを考えると、根回しなどの政治工作もかなりうまかったのかなと思いました。(第4章)

    ・現大統領の李明博が日韓国交正常化への反対運動に参加して当時の朴正煕に睨まれ、政治活動に参加しないように現代財閥の会長に面倒を見るように伝えたというエピソードは、その後の流れを考えると面白いなと思いました。李明博が大阪で生まれ、貧乏な中で優秀な兄の李相得を家族全体で支える生活の中で、個人の努力で学費免除などを勝ち取って進学し、高麗大学で学生会長になった、というのはとてつもない努力の人だなと思いました。(第5章)

    ・朴正煕が李承晩政権時に日本に請求した額を10分の1にして日本との国交正常化に踏み切り、外資導入を狙ったというのはすごい政治力だと思いました。(第5章)

    ・この時代に金大中、金泳三... 続きを読む

  • 第二次世界大戦以後の韓国政治史を
    「大統領に登りつめる人びとの視点を通じて」描いた書。
    計7人の伝記を凝縮したような内容で、
    展開は早くスリリングですらあり、非常に面白い。
    その反面、韓国の国としてとられた政策や外交については
    ほとんど触れられておらず、特に後半は政治劇に終始している。
    群像劇とも言えるスタイルが秀逸だっただけに、
    もっとボリュームのある内容で読んでみたかった。

  • 【72冊目】最近、自分の中で遅ればせながら韓流ブームが来たので読んでみました。「解放」後の歴代大統領の視点を通じて学ぶ韓国史。

    非常に興味深かった。
    最初は、個々人ごとに章立てするのではなく、年代ごとに章立てして個々の大統領を並行して取り上げていく書き方は分かりづらそうだなって思ったけど、これが結構良かった。大統領の並べ方も前後とつながりのある合理的な並べ方で、この章立ては成功だと思う。

    ただ、なにより、この本が面白かったのは。韓国現代史という観察対象の面白さによるところが大きい。
    「韓国は最近まで政情不安定な国で、今では韓流ブームとか言っているのが信じられない」とはここ最近の韓国しか知らなかった僕に対する母の言葉だけど、本当にそうだった。大統領が暗殺されたり、デモが頻発したり・・・。

    単純に読みものとしての面白さがある。たとえば、北朝鮮軍が攻め込んできた時に大統領が国民を置き去りにして逃げ出すシーン。そして、それに続く「釜山政治波動」。ここなんかは、かなりお気に入り。
    それと、現代の韓国は「改革の神話」と「経済成長の神話」にとらわれているっていう分析も興味深い。これなんかは、現代日本はちょっと前に捨て去った神話だけど、結局どこの国も同じようなもんなのね

  • 韓国の歴代大統領の視点から見た現代史。ある程度の年代の人から見た韓国(いわゆる近くて遠い隣国)のイメージってまさにこれだけど、
    韓流とかになじみの世代の人から見たらどこか全然違う国の話みたいに見えるんだろうなと。

    でもこの歴史を踏まえたうえで韓流コンテンツをみると世界が広がって面白いとも思うんだけどね。

  • 戦争や軍事クーデター、73年には金大中が東京で拉致され、79年には朴大統領の暗殺、80年代後半までは軍事政権が支配、その後の民主化と急な経済成長、う~ん韓国って激しいですね。今まで関心が薄くて知りませんでした。先月韓国に行ったことを機会にこの本を読んでみたんですが、歴代大統領を生い立ちから追いかけていてタイムラインがわかりやすく、関心が深まりました。

  • 歴代大統領の生い立ち・経歴を追うことで歴史を明らかにしていく手法は分かり易かった。それは、韓国にとって大統領という存在が大きなものだったと言うことの表れでもあるのだろう。政治に関与するってのは、文字通り命がけだという、韓国の厳しい歴史もよく理解できた。今の日本、この緊張感は見習わねばならないだろう。

  • 一般的な通史ではなく、歴代大統領の伝記をインシデントごとに整理。例えば1950年6月25日に各々どのような境遇にあり、どのような行動をとったかなど。現職政権が前職大統領を断罪するのが恒例行事の韓国政治史において、日本人による俯瞰は有用だ

  • [ 内容 ]
    一九四八年、日本の植民地から米国の占領を経て、建国した大韓民国。
    六〇年の間に、独裁国家から民主国家、途上国から先進国へと大きく変貌した。
    本書は、歴代大統領の「眼」と「体験」を通し、激変した韓国を描くものである。
    「建国の父」李承晩、軍事クーデタで政権を奪った朴正煕、民主化に大きな役割を果たした金泳三、金大中、そして「ポスト民主化」時代の盧武鉉、李明博。
    大統領たちの証言で織りなす現代史の意欲作。

    [ 目次 ]
    序章 それぞれの「暑い夏」
    第1章 大韓民国建国―一九四五~四九年
    第2章 朝鮮戦争勃発―一九五〇~五三年
    第3章 四月革命への道―一九五四~六〇年
    第4章 五・一六軍事クーデタ―一九六一~六三年
    第5章 日韓国交正常化―一九六四~七〇年
    第6章 維新クーデタ―一九七一~七二年
    第7章 朴正煕暗殺―一九七三~七九年
    第8章 「新軍部」による支配―一九八〇~八六年
    第9章 「第六共和国」の興亡―一九八七~二〇〇二年
    終章 「レイムダック現象」の韓国政治―二〇〇二年~

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

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    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
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    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 韓国現代史を主題とした本は他にも多々あるが、その中でもユニークな一書。
    歴代大統領の視点から彼らがその時代をどのように生きたかを入れ替わり立ち替わり見ていく韓国現代史。
    なかなか面白いが、彼らが大統領に登りつめた後、どのような政策を展開したかについては触れられていない点が少し残念である。

  • 現代韓国史のターニングポイントで、時の大統領や後の大統領がそこで何を考え行動したかという形でまとめられている。その性格上、学習用と言うよりはノンフィクション文学として読まれるべきだろう。

    個人的に一番印象に残ったのは、時の大統領:朴正煕と後の大統領:李明博が面会するシーン。茶番を知りながらも独裁者を演じ続けた朴正煕の心の内を垣間見せるような趣がある。

  • 韓国現代史の通史というより、韓国現代史のターニングポイント(光復時、朝鮮戦争、四月革命、光州事件etc)に当時の大統領やのちに大統領となった人物たちがどのような動きを見せたのか、という記述になっています。今までの韓国現代史が書かれた本とは違った見方ですので、新たな発見があります。例えば、李承晩後の大統領尹●(さんずいに普)善と首相張勉との関係などはこの本を読んですっきりしました。ただ、後書きにも書いてあるとおり朴正煕以後の軍事政権を担った崔圭夏、全斗喚、盧泰愚の3人は当人たちが死刑判決を受けていたということもあり史料の制約があって書かれていません。このあたりの流れも知りたかったのですが・・・。あと、ところどころに大統領たちの自叙伝が引用されているのですが、本当かと思うような“きれい事\"が書かれてあるのは少し辟易しますね。例えば日本ではすこぶる評判の悪い前大統領盧武鉉ですが、彼が弁護士として民主化運動の弁護に入った心境を「そのときになっても、私は事件の内容や性格を把握するための、最小限の認識さえなかった。にもかかわらず、弁護に立ち上がったのは、何事も恐れず、避けずに行こうという考えのためだった。」ということだそうです。こういう表現は彼だけでなくおおよその人がしています(もちろん作者はこれらの言葉をそのまま鵜呑みにするようなことはしないが)。しかしこの本を読んで、何で盧武鉉があれだけブレながらナショナリズムに訴えたのかを理解することもできました。

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韓国現代史―大統領たちの栄光と蹉跌 (中公新書)の作品紹介

一九四八年、日本の植民地から米国の占領を経て、建国した大韓民国。六〇年の間に、独裁国家から民主国家、途上国から先進国へと大きく変貌した。本書は、歴代大統領の「眼」と「体験」を通し、激変した韓国を描くものである。「建国の父」李承晩、軍事クーデタで政権を奪った朴正煕、民主化に大きな役割を果たした金泳三、金大中、そして「ポスト民主化」時代の盧武鉉、李明博。大統領たちの証言で織りなす現代史の意欲作。

韓国現代史―大統領たちの栄光と蹉跌 (中公新書)のKindle版

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