男が女を盗む話―紫の上は「幸せ」だったのか (中公新書)

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著者 : 立石和弘
  • 中央公論新社 (2008年9月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (227ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121019653

男が女を盗む話―紫の上は「幸せ」だったのか (中公新書)の感想・レビュー・書評

  • 源氏物語において「光源氏が幼い紫の上を略奪するように連れて来た」というプロットは有名だが、同様の略奪婚は他の物語にも多い。元来、略奪婚は男性的ロマン(熱愛等)で粉飾されがちだが、この視点を反転させ、略奪される女性から見た場合は異なる解釈が可能になる。以上の観点から本書は叙述されている。◆かかる反転したモノの見方は興味深く、現実に起こる事象(著者は新潟女子監禁事件を引き合いに出すが)の解釈にも有益。また、源氏物語のテクストだけでなく、映画等の二次創作から説明する本書の手法は、判り易さという意味で有効だ。
    もっとも、ラカン(?)の精神分析の道具だて(象徴界や現実界など)での説明・解釈は、その有効性がわからず、説得力を持つかどうかも不明。そもそも精神分析の手法を知らない者(まさに私)にとっては意味不明だし、その手法の有効性に依存するような説明はあまりいい方法とは思えないのだが…。
    2008年刊行。著者は青山学院大学等非常勤講師。

  • 就職活動をする女子学生の多くがいま、専業主婦という夢を抱いているらしい。彼女たちはある意味社会の厳しさを知っているのかもしれないが、逆に男の収入に頼らざるを得ない不安定な職に憧れている。言いようによってはシンデレラ・ストーリーが好きなのだろう。少女漫画にもしばしば登場する「男が女を盗む」話型。いつまでも女性の一部に好ましく迎えられる。

    この話型で有名なのは、誰もが名前だけでも知っている『源氏物語』。もしかしたら友達と「ねえねえ、誰が好き?」なんて会話をしたこともあるかもしれない。
    わたしは『好きなタイプは六条御息所と葵の上。男はみんなすきでもないが、とにかく源氏だけは絶対に勘弁』派である。
    そう。自己主張がはっきりしている(していた)人が好きなのである。その点、紫の上や浮舟には苛立ってしまうのだがそれはておき。

    この本は珍しくも男性が『男が女を盗む話を好んできたお国柄は、実に男尊女卑思想にまみれていて、それに気付いてすらいない現代の人々もアカン!』というような
    主張をしている。だいたい一言におさまってしまったが、まあ、引用している昔話も面白いので、ぜひ読んであげて欲しい。

  • 高1の定番教材である「芥川」(伊勢物語)。
    授業では男性視点で読み進め、悲恋としてまとめるわけだけど、さらわれた女性の立場からするとどうか?
    非常に興味深い観点で、特に挿絵に触れて二人の関係を考察しているところはへ~とうなるものがあった。(時代によって挿絵が変わっていくのが面白い)

  • [ 内容 ]
    『源氏物語』の主人公光源氏と紫の上は正式な婚姻関係を結んでいない。
    光源氏による強引な掠奪によって二人の関係は始まり、このことは物語のその後の展開に大きな影をおとしている。
    平安物語文学は『源氏物語』のみならず、『伊勢物語』『更級日記』などでも掠奪婚=「男が女を盗む話」を繰り返し描いてきた。
    男はなぜ女を盗むのか、女はそれにどう対処したのか。
    新たな切り口で千年前の物語が甦る。

    [ 目次 ]
    第1章 『伊勢物語』の嫁盗み(芥川段はどう描かれたか 芥川段はどう語られたか 背負われる女 男女のコミュニケーション 鬼と女 嫁盗みの失敗)
    第2章 『大和物語』の嫁盗み(拒む女 身分違いの恋 女性拉致監禁事件 安積山段を読み直す)
    第3章 『源氏物語』の嫁盗み(映画の中の描かれ方 若紫掠奪 紫の上は「幸せ」だったのか 移動させられる女たち 柏木と女三の宮)
    第4章 嫁盗みの反転(『更級日記』竹芝寺縁起 笑話としての嫁盗み)

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    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
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    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 略奪婚は男の幻想。
    「伊勢物語」「源氏物語」などの平安王朝ラブロマンスを男の幻想だと言い切る作者の説明はかなり痛快。しかも作者が男性というのも面白い。
    紫の上の心情を原文から丁寧に読み解く姿勢には好感を得た。
    そして、男女の考え方のすれ違いを描いた「源氏物語」の作者である紫式部の才能に改めて感服するばかりである。

  • 内容紹介:「源氏物語」など平安物語文学は、掠奪婚=「男が女を盗む話」を繰り返し描いてきた。男はなぜ女を盗むのか、女はそれにどう対処したのか。新たな切り口で千年前の物語を読み解く。(TRC MARCより)

    資料番号:011059631
    請求記号:913.3/ タ
    資料区分:文庫・新書

  • 副題に惹かれて手に取った本だが、解釈の視点が新しくて、為になった。
    特に『大和物語』の安積山の女の自死をめぐる従来の古典解釈に疑問を投げかけている。提示されている解釈には納得した。

    本書の投げかけは、今後さまざまな議論を引き起こすことになるだろう。

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男が女を盗む話―紫の上は「幸せ」だったのか (中公新書)の作品紹介

『源氏物語』の主人公光源氏と紫の上は正式な婚姻関係を結んでいない。光源氏による強引な掠奪によって二人の関係は始まり、このことは物語のその後の展開に大きな影をおとしている。平安物語文学は『源氏物語』のみならず、『伊勢物語』『更級日記』などでも掠奪婚=「男が女を盗む話」を繰り返し描いてきた。男はなぜ女を盗むのか、女はそれにどう対処したのか。新たな切り口で千年前の物語が甦る。

男が女を盗む話―紫の上は「幸せ」だったのか (中公新書)はこんな本です

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