- Amazon.co.jp ・本 (327ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121020079
感想・レビュー・書評
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古代から現代に至るまでの数学の通史を一気に読み通しました。数や図形から始まった数学の始まりから、現代までの捉え方とその間にあった出来事などが簡潔にまとめられていると思います。より詳しいことを知ろうと思えば、個別の数学的事象について学び続けることが必要ですね。それと同時に、この物語を読むと、普段使っている数学が数世紀前の数学だなということを実感します。今の数学を知り、使えるようになればできることも増えてくるのだろうと思います。やはりいろいろなことを知り、手を動かすことは大切だなと考えます。
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古代中国やメソポタミア、ギリシャの高度な文化から始まり、フェルマーの最終定理や現代の集合論に至るまでの、数学の「思想的な」歴史をたどる壮大な物語。数とは何か、数学する(数学を数学的に考える)とはどういうことかを、深く深く考えさせられる本です。
読んでいて最初にぶつかるのが、そもそも数とは何かという、基本的でありながら容易に答えを出せない問いです。海外ではどうか知りませんが、日本語の「数」は音訓2通りの読みによって、数字や具象物に付随する計算などでは「かず」、抽象的に数学する場合には「すう」と読む。と、そんなことを、確か中学の数学で習った気がします。茲で問題になるのは、人間にとって数はいったいいつから「すう」たる存在と成りえたか、ということでしょう。個人の発達では、「すう」のような概念を扱えるのは、形式的操作という認知処理を行えるようになる10歳以降と思われます。個人がその際に体験するコペルニクス的な大変化を考えるとき、歴史の中で人間の思考が具象を離れるのは、とても重大な事件だったように思えるのです。
現在世界を席巻している西洋数学が、古代ギリシャの数学を起源としているということは周知のことですが、筆者は本書で、そのために数学自身が抱えることになった根本的矛盾を何度も指摘しています。それは代数と幾何との間にある、計算することと図を描くこと、もっと言えば、ルーティン化された解決法と直感による解決という2つの間にある齟齬にほかなりません。私たちは教育課程で数学を習う中で、数によって図を表し、図から数を返すという行為を当たり前のことだと考えてしまいがちです。しかし、そこには凡人では分からないような大問題が隠れているようです(数と図との関係ですら、中学生には理解しづらいことだというのに!)。図という連続と数という離散、あるいは、線という連続と点という離散。心理学領域での「スペクトラム仮説」を巡る議論をはじめとして、自然科学的アプローチでは必ず問題になるこの2つの捉え方は、西洋的、あるいはギリシャ的なものの考え方に孕む宿題を、今の私たちに残しているのかもしれません。
本書は初心者向けに書かれたものかと思いきや、要所要所でかなり高度な数学理論が紹介されています。それは限りなく平易に記述されていますが、残念ながら私は、筆者がもっとも取り上げたかったというリーマンの業績を、あまり理解することができませんでした。1+2+3+4+…と、自然数を「無限に」足した解がなぜかマイナスになるという定理でつまずいているようでは、まだまだ数学を理解する道は遠いということでしょうか。
(2009年7月入手・11月読了) -
第一章「数学の芽」、第二章「数学の始まり」、第三章「西洋数学らしさ」、第四章「古代から中世へ」、第五章「カメに追いつくとき」、第六章「計算する魂」、第七章「曲がった彫刻」、第八章「見えない対称性」、第九章「形に対する悦び」、第十章「感性の統合」、第十一章「フェルマーの最終定理」、第十二章「空間と構造」。西洋、東洋を含めて、数学の歴史を物語る。現代に近づくほど、説明される数学の内容が難しい。より抽象度が高くなるからか。
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古代からの東西の数学の歴史を、「体型構築」や「感性」の観点で解説する。非ユークリッド幾何学の意義に関する理解が深まったし、リーマンのことを学びたくなる。日本の数学のことも少し知れた。もっと勉強すればさらに意味がわかると思う。
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途中から分からない専門用語が多くなり、終始置いておかれないように食いついていくのがやっとだったが、へー、そういうことだったのかという部分は多々あった。
・ユークリッドの互除法
・中国と日本の数学
・ピタゴラスの三つ組
・ニュートンとライプニッツの微分積分のアプローチの違い
・不足角、ユークリッドの第5公準
・プラトンの三つ組と正多面体
・ガロア理論と対称性と表現論
・射影幾何学
・レム二スケート曲線は楕円関数の一つ
・素数の性質の二段階
・理想数からイデアルヘ -
東洋数学についても論じられているのが新鮮。著者が言うように確かにガロアは群論とか、フィボナッチは数列、とか薄ぼんやりと西洋数学者については知っているけど関孝和については何も知らないな…。和算の本も読もうかなぁ。