孫の力: 誰もしたことのない観察の記録 (中公新書 2039)

著者 :
  • 中央公論新社
3.61
  • (8)
  • (11)
  • (8)
  • (5)
  • (1)
本棚登録 : 110
感想 : 27
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121020390

作品紹介・あらすじ

ニホンザルにも孫がいる。しかし、サルのおばあさんは孫を特別な存在としてとくに意識することはない。だが、ヒトはちがう。孫と祖父母とのつながりには、単なる生物的な関係をはるかに超えた、社会的・文化的な意味が隠されている。本書は、ニホンザルやアイアイの生態を研究してきた研究者が、その手法でみずからとその孫を観察した貴重な記録である。かつて孫だった人、これから孫を持つことになるすべての人へ。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 霊長類学者による孫娘の観察日記。
    不思議な魅力を持つ本。
    心があたたかくなる。
    孫っていいな。

  • 霊長類の研究者が孫の成長観察記録をまとめたもの。
    霊長類学者が書いたとあったので、学術的なヒト科の動物の孫とのかかわり方を書いたものかと思ったら、
    もっと孫への愛にあふれた観察日記だった。

    そしてその観察の内容も、
    肉体的な観察ではなく、「こころ」の成長を観察したもので
    とてもおもしろい。
    うれしい、かなしい、たのしい
    といった単純な感情の表現から、
    頑張りたい、励ましたい、ひみつにしたい
    などの豊かな感情をあらわすようになっていく。

    そういう心の成長を観察するのは、
    なるほど、他人ではなく親でもない祖父という立場はもってこいだ。
    愛情たっぷりの目線で、孫娘のこころがつぼみから花開くまで
    研究者の忍耐と細やかさをもって観察してまとめた本。

  • ほんとに淡々と孫娘の観察がつづられています。
    著者はサルの研究をされており、所々、猿の行動との比較が入りますが、思った程、多くなくて残念でした。
    湯川秀樹氏が小さい頃、祖父から中国古典の素読の手ほどきを受けていたのは初めて知りました。

  • サルの学者が孫の観察。でもどうしても孫が可愛いという気持ちがあふれていました。

  • 2010年刊。著者はNGO日本アイアイファンド代表(元財団法人日本野生生物研究センター設立者)。◆霊長類学者が自身の孫の幼児期までの観察を通じ、人間の成長のありようをビビッドに描こうとする。といいつつ、好々爺たる著者が孫を心底かわいがる生活記録だ。その意味でとても微笑ましく、祖父の孫に対するいわく言いがたい暖かい目線を感じる。勿論、観察記録としては細かく、著者のフィールドワークの経験を上手に反映してはいる。が、ニホンザル・チンパンジー等との比較の視点は余りなく、霊長類学者らしさは僅少である。
    ◆逆に、言語で関係を切り開くヒトと、それが不可能な他の霊長類とは相当異質ではないか、という感想を抱いてしまうほどだ。

  • 「親ばか」ならぬ「ジジばか」の本である。孫への溢れる愛情がすべての行間から滲み出ていて、思わず微笑みながら読了した。
    ただ、この「ジジ」は普通のジジではない。若き日より野生のニホンザルやアイアイなどのフィールドワークで世界を駆け回った研究者の「ジジ」である。孫娘の観察(?)には、「サル」で積み重ねられた興味深い知見がほの見える。
    さらにこの「ジジ」の著作を読むと、彼はかつて東大闘争において安田講堂落城を学生隊長として戦い抜き、逮捕起訴され2年間の獄中生活すら経験しているという。
    著作で、彼のその後の充実した学究人生と幸せな孫との生活をうかがい知ると、著者の人間性に触れるような暖かい感情を抱いた。

  • 三葛館新書 376.11||SH

    「孫は人にとってだけ、ことさらに意味を持つ子孫なのかもしれない。」ではじまる本書。
    ニホンザルやアイアイの研究者が、一人のおじいちゃんとして、客観的かつ主観的に、孫との6年間を記録した観察記録です。
    孫が祖父母と関わるとき、孫に、祖父母に、家族全体にほんわりした心地よい影響を及ぼしていることが、理論的な語りとともに伝わってきます。

    (もも)

    和医大図書館ではココ → http://opac.wakayama-med.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=56436

  • 読了。人間は反抗する事で人格を形成する生き物だ。だからこそ子育ては大変だし、ジジババの役割は大きい。ニホンザルなどの生態を研究している学者さんがご自身のお孫さんを愛情ベースの観察記録として本にした。読書に非日常を求める僕としては、余りにも共感できる部分が多すぎて。。

  • ニホンザル研究の第一人者である島先生の孫観察日記。
    親ではつい怒ってしまうことや相手しきれないことも、じいじ・ばぁばはこんなにも暖かく受け止められるのかぁ・・・と半ば呆れ気味?に、楽しく読んだ。
    孫の心の発達や、孫の中で世界が構築されていく様子が大変興味深く、私も育児日記を書いてみたいと強く思った。会話も残しておきたいなぁ。ビデオを撮りながらなどして、具体的に残すと面白いなと思った。
    ・・・なるべく長い期間で。

    同時に、この本、私にとっては、じいさんばあさんの、孫に対する行動の観察記としても読める。
    明らかに、親とも、保育園の先生とも違う役割を担っている。
    子供からすると、時には何でも受け入れてくれる"はけ口"?であり、ほかの人にはできないとわかっていることをじいじに仕掛けてきたりする。
    それをわかった上で、さらに暖かく見守れる、親の愛情とはまた異なった、愛情の話でもあった。

  • 賛同できるところと、違和感を覚えるところが それぞれあった。何故か?観察眼や期間は良いが、対象がたった一人で、観察結果の検証や、その先が無いからかな。
    果たして、お孫さんは、この本を喜んでくれるか否か。

全27件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1946年下関市彦島生まれ。東京大学理学部卒。理学博士(京都大学)、マダガスカル国五等勲位シュヴァリエ、雑誌『孫の力』監修。1978年(財)日本野生生物研究センターを創設、主任研究員を経て、国際協力事業団(JICA)派遣専門家として2001年までマダガスカルに6年3か月滞在。アイアイなどを上野動物園に送り、2002年より日本アイアイ・ファンド代表としてマダガスカル北西部アンジアマンギラーナ監視森林の保護管理を行って、現在にいたる。2012年、ルワンダ共和国でマウンテンゴリラの名付け親となる(日本人初)。ANAグループ機内誌『翼の王国』にて阿部雄介氏とともに『日本水族館紀行』(2007~2012年)、『どうぶつ島国紀行』(2012年~)を連載。『はだかの起原』(木楽舎)、『親指はなぜ太いのか』、『戦う動物園』(編)、『孫の力』(3冊とも中央公論新社)ほか、著書、論文・報告書多数。

「2004年 『はだかの起原 不適者は生き延びる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

島泰三の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×