日本語作文術 (中公新書 2056)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (239ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121020567

作品紹介・あらすじ

読みにくい日本語では、誰にも読んでもらえない。説得力のある、わかりやすい文章をどう書くか。短文を意識すること、語順や読点に敏感になること、段落の構成や論証の仕方に気を配ること。そして、起承転結ではなく、「結」起承「展」。これだけで、文章の説得力はぐんとアップする。本書では、作文に役立つ「使える定型表現」のリストも大々的に披露。日本語力を、生きていく上での強力な武器とするための指南書。

感想・レビュー・書評

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  • まず、本の構成は学びやすさが意識されていると思いました。

    短文道場と題して短い文章の組み立て方から始めて文をまとめ、段落を組み立てる作法までステップアップしていくように順を追って説明しています。

    外国語と日本語を対比して説明を試みるなど文化の違いにも目を配りながら、起承転結は良くない書き方である点についてもフォローされています。ここは良し(というのは、未だに文章といえば起承転結を挙げてくるアホがいるからです。ダメ、ゼッタイ)。

    読者層を幅広く狙ったせいか、巻末に付した殺し文句集が余計だと思いました。
    美文調でかっこつけている割に中身がすっからかんの言説が蔓延しているのだから、たとえ説得力を持たせたくともこうした手管に頼らず、能率的に伝える努力に徹するべきだと僕は考えるからです。
    ビギナーのうちは特に基本に忠実にあるべきと僕は思います。
    この一点で大幅に減点となりました。

  • 非常にわかりやすく論理的な内容でした。

    本書の対象は、実用文
    英語が話せないと嘆く前に、まず、日本語力の修練を
    日本語の学校教育の時間が少なすぎる 「国語」教育はもっと、技術的に、もっと、実用的に
    達意の文章とは ①読みやすい ②わかりやすい ③説得力がある

    文から文章へ、文章から段落へ、段落から文章全体へ

    気になったのは、以下です。

    <文>
    ・日本語を外国語として捉え返してみること。外の視点を通してみると初めて見えてくるものがある
    ・書くと話すは違う。書くとは、情報をなるべく言語化することだ
    ・レトリックとは、知性と感情の両面に訴えかける総合的な説得術である。
     ①発想法、②構成法、③表現術、④記憶術、⑤演技術 の5つからなる
    ・作文で大切なのは、①なにを書くべきか、②どういう順序で書くべきか、③どのような表現で書くべきか、の3点である
    ・作文に独創は不要。必要なのは、これまでの表現を借りてきて、上手に使いこなすこと。文を作るのではなく、文を借りる。文を盗む。
    ・文は、わかりやすく書け、短く書け。考えがしっかりまとまっていないから、文が長くなる。
    ・下書きでは長い文でもかまわない。推敲の過程で、短くすればいいことである。
    ・実用文に品位は不要。一文一意、短文=単文
    ・書き終えたら音読して確認する習慣をつけよ。
    ・修飾語は曲者、長い修飾語は文の見通しを悪くする。
    ・読点は文をわかりやすくするためのもの。文の単位を区別し、文の構造をはっきりさせるためのもの。わかりやすさが狙い目である。
     ①逆接の読点、②強調の読点、③あいまいさを避ける読点
    ・ハとガ
     私は学生です。選択的主題化 選択・対比
     私が学生です。排他的主題化 排除・特定
    ・ガとヲ
     私は、コーヒーが飲みたい  状態=欲求
     私は、コーヒーを飲む    行為

    <文章・段落>
    ・文章とは、「人を説得するために書くもの/書かれたもの」
     ①あいまいでないこと、②難解でないこと、③独りよがりでないこと
    ・文章は相手の立場に立って書くこと、読み手の身になって書くこと
    ・主張には、かならず、論拠を
    ・段落とは、大きな切れ目。
    ・段落には、中核文と、補強文がある。
    ・中核文とは、段落の内容を要約した文
     ①段落の内容を要約、②段落の流れを予告、③読者の関心を引く
    ・結論は先にかけ
    ・一段落、一論点

    <段落の組み立て>
    ・段落のつなぎ、問題となるのは論証
     強い論証 法則的なもの 演繹法 与えられた前提から出発して、結論を引き出す
     弱い論証 経験的なもの 帰納法 一般から特殊に向かう、共通性を見出す

    <最後に>
    ・文章を読みやすくするためのちょっとした気配り

     ①文末に気を付ける 「と思う」「と考える」を頻用しない。「だろう」「何々だ」「にちがいない」「かもしれない」「ではないか」などと表現を言い換える
      ・質問形に、・否定形に、・文を一旦切って付け加える(~である。しかし 等) ・倒置法 ・体言止め

     ②ひらがなを多くする 読みやすさを優先する

     ③文体を統一する です・ます 敬体 だ・である 常体

    おまけに定型表現が、巻末についています。

    目次

    はじめに

    1 作文術の心得 短文道場
     §1 書き言葉は「外国語」
     §2 書くとは「引用」
     §3 文章指南書の教えを鵜呑みにするな
     §4 定型表現のリサイクル
     §5 短文でわかりやすく
     §6 文の単位は長い順に並べる
     §7 修飾語は曲者
     §8 読点の打ち方に決まりはあるか
     §9 ハとガの使い分けのポイント
     §10 ハとガの微妙な関係
     §11 ハは変幻自在
     §12 日本語は主観的言語
     §13 日本語の論理、ヨーロッパ語の論理
     §14 「和文和訳」で表現力を高める

    2 文をまとめる 段落道場
     §15 文から文章へ
     §16 段落とはなんだろう
     §17 結論を先に
     §18 段落の流れ
     §19 段落の分割

    3 段落を組み立てる 論証道場
     §20 「強い」論証と「弱い」論証
     §21 人は「権威」に弱い
     §22 演繹論証
     §23 帰納論証
     §24 演繹法か帰納法か
     §25 起承転結は実用文向きではない
     §26 仕上げの注意点

    4 定型表現を使いこなす 日本語語彙道場
     §27 オノマトペを見直す
     §28 慣用句の見直す
     §29 説得力を増す殺し文句 名言・格言・諺
     §30 舵取り表現を使いこなす

    ISBN:9784121020567
    出版社:中央公論新社
    判型:新書
    ページ数:256ページ
    定価:740円(本体)
    発売日:2010年05月25日

  • 10月23日 NHK週刊ブックレビューで鈴木一誌さんがお薦めの一冊で紹介しました。

    同席した中沢けいさんや今村楯夫さんの反応はイマイチだったかな。
    旅番組で芸能人がお口に合わないものを食べた時に見せる「でもけなすわけにはいかないし…」みたいな表情!

    でも私にはずいぶん参考になりました。
    このレビューにしても、我ながら前書いた物を見ると下手でわけわからない。
    でも成長記録としていいかもって、放っておいているのです。

    難しいところもあるので、自分にできそうなところを
    ここにメモして、この先に生かしていきたいです。




    ☆短い文を書く

    ☆こみ入った複雑な内容を記述する時
    1予告する
    2箇条書きにする
    3まとめる(「要するに」「つまり」「以上のことをまとめれば」「大事なことは」など

    ☆文節(ここでは文の単位)は長い順にまとめる

    ☆読点はなるべく打たない(打つポイントがある)

    ☆定型表現をうまく使う

    ☆結論を先に

    ☆200字以内に段落を入れる

    ☆中核文とは
    1段落の内容を要約する
    2段落の流れを予告する
    3読者の関心を引く

    ☆中核文を段落の最初にもってくるのがおすすめ

    ☆さらにちょっとした気配りとして
    1文末に気をつける
     (~と思うは不要。単調にならない工夫として、疑問形、否定形、いったん終えてから言い足す、倒置法、体言止め)

    2平仮名を多くする(平仮名と漢字が6-4あるいは7-3)
    3文体を統一する

  • 読点の打ち方が参考になった。

  • 面白かった。
    「達意」の文章を書く方法…書き言葉の日本語は「外国語」
    ・定型表現を暗記する
    ・一文を短文にする
    ・文章を書いたら音読する
    ・文章は意味だけでなく音も大切
    ・長い文を切ろうとすればおのずと文の要素の論理関係をきっちりと考えなければならない
    ・文章作成テクニック
    ①予告する
    ②箇条書きにづる
    ③まとめる
    ・文節の単位は長い順に並べる
    ・まず大枠を提示する。ついで細部の説明にとりかかる
    ・修飾語はなるべく被修飾語の近くに置く
    ・日本語は基本的には主観的判断(と思う)と事実の記述(雨が降る)しかできない
    ・名詞を削れば削るほどこなれた日本語になる
    ・抽象的な文章を書くためには翻訳調(名詞中心構文)で考える。名詞を削るか増やすかが書き換えのポイント

  • たぶんこの本が文章の書き方がバランスよくまとめてある。いわゆるこの分野の名著をすべてまとめているので、すべてを読んだ上で、まとめとして家に保管している。

  • 実用文にあっては、起承転結ならぬ「結」起承「転」が読みやすく分かりやすい達意の文章。これまでにない斬新な手法で作文術を展開。巻末の日本語語彙道場などはかなりのスグレモノ。

  • 内容的には目新しいものはなく、日本語の作文の技術(本田勝一)の流れを踏襲しているように思いました。(本文でも記載されていますが。)巻末の定型表現を使いこなすの部分は秀逸でした。コピーしていつでも見れるようにしたいです。「括目に値する」使ってみたいですね

  • ビジネスメール、報告書、ブログやツイッター等、文章で相手に何か伝えたい事がある、または伝える機会がある人は必読。小学生の時に国語が苦手だった自分も、大人になった今だからこそ納得でき理解できる内容も数多くあった。特にビジネスマンとして押さえておきたい文章術の基本が本書の中にある!

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著者プロフィール

1944年生まれ、東京教育大学仏文科卒業。フランス語、フランス文学専攻。現在関西外国語大学教授。
主な著書として『イラスト・フランス語入門』(第三書房)、『フランス語ひとくちコミュニケーション』(白水社)他。

「1999年 『パルロン・フランセ CD付』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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