通貨で読み解く世界経済: ドル、ユーロ、人民元、そして円 (中公新書 2064)
- 中央公論新社 (2010年7月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (279ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121020642
感想・レビュー・書評
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『通貨で読み解く世界経済―ドル、ユーロ、人民元、そして円』(小林正宏、中林伸一、2010年、中公新書)
本書は、円、ドル、ユーロ、人民元といった主要国の通貨について、国際経済の潮流を踏まえながら解説したものである。それぞれの通貨はつながっているから(たとえば円高になればすなわちドル安)、相互の関連がわかっておもしろい。加えて、2010年現在の世界経済の時事ネタも豊富で本当に勉強になる。ただ、国際経済、国際金融の専門用語(たとえば、クレジット・デフォルト・スワップとか、インフレ・ターゲットというようにカタカナのものが多い)がたくさん出てきて、しかも解説があまりないという構成になっている。そのため、初学者は他の国際経済の入門書を読んでから本書を読むか、あるいはそのつどでてきた専門用語を調べながら本書を読み進めるという方法をとるのがよい。後者がおすすめである。
(2010年9月19日 大学院生)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「資金の自由な移動」「為替の安定」「国内金融政策の自由度確保」の三つを同時に満たすことは困難であることを、国際金融のトリレンマと言うらしい。ユーロ統合とギリシャ破綻を見るとよく分かる。本書では、従来個別に議論されてきた国際金融と国内経済を、地域通貨(ドル・ユーロ・円・元)別に、課題と見通しも含めた俯瞰的解説を行っている。経済に関わるすべてのひとは、読んで損のない1冊だと思う。
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松岡正剛1381夜
区立図書館にあり -
印象として文章の一文一文が長いなあと、従って読みにくさって言うのは否めないわけで。
ただ、書いてあることは最近の経済を把握する上で充分な内容であり、これくらいのことを把握しないで金のことを語るのは如何かとも思えるくらい。おれ自身知らない言葉も出てきて、もっと勉強しないといけないなあと思った。
何より今は、経済というより通貨そのものに興味を持っている。株やその他の派生商品と違って通貨だけは絶対にどれかはもたなければいけないし、その価値についても興味深いところが多い。
株や国債よりも先に、通貨や為替の知識がないことに何の疑問ももたなかったのがちょっと危ないと思える今日この頃。何気に身近にあるからこそその理解というのは疎かになっていたのかもしれない。
それは特に俺の中でそうで、近い友達やなんかの方が今何をしているとかどうしているとかが気にならなかったりする。まあ遠くのはもっと興味がないけれど、それは今はおいておく。
何にしても今の日本のこれだけ高い円をもって政府が無策なのはもはや政府の所為だけではない。国民も外国の通貨や株式に知識がなく、根本的に外国に対しての見識が欠けているように思える。
世界に出た多くの日本人をもって日本がいい国だからという情報だけで日本に住み続けていては柱をかじるシロアリと変わらない。
通貨というクラスだけではなくそれ以外の点でも、もう国内だけの感覚では自国を維持出来ない状態になっていることを自覚しなければいけない。
その意味で一番動きの早い通貨を扱った本書で何を感じるのか、読むだけ読んでみていいかも