ロシアの論理―復活した大国は何を目指すか (中公新書)

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著者 : 武田善憲
  • 中央公論新社 (2010年8月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (188ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121020680

ロシアの論理―復活した大国は何を目指すか (中公新書)の感想・レビュー・書評

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  • 本書は外交官である著者が現在のロシア、特にプーチン・メドヴェージェフ期のロシアを観察した物である。現在のロシアに置いて重要なものはプーチンのプランと独特な「ゲームのルール」である。特にユコス事件は「正しく納税せよ」「国家の発展に貢献せよ」の不文律を定着させ、プーチンは「ルールを守る限りにおいて(ビジネス関係者は)神のご加護を受けられる」と述べたと言う。外交に置いては「多極主義世界の追求」であり、これは典型的なバランス・オブ・パワーの発想であり、徹底的なリアリズムの観点から出発している。その「ゲームのルール」を理解する事が日本の外務省の課題だと私は思う。

  • [まずは、ルールから]天然ガスや石油といった豊富な資源を背景として、主としてプーチン大統領の指揮下の元、政治的にも経済的にも影響力を強めてきたロシア。そんなロシアが、近年の成長の背景で確立しつつある自国の論理と長期的な戦略を読み解いた作品です。著者は、モスクワ国立国際関係大学院で修士課程を修了された外交官、武田善憲。


    主に90年代後半からのロシアの動きがまとめられると同時に、その動きの軸を作り上げる大本の考え方が示されているため、近年のロシアについて知りたい方にはぜひオススメの作品。昨今のウクライナ情勢の悪化前に執筆された一冊ではありますが、その情勢に対するロシアの行動を考察する上でも、本書で指摘されるルールは有用なのではないかと思います。


    大国として振る舞うことができる「実力」のみならず、それに伴う「意志」が確固としていることにも注目する必要があるなと実感。また、ロシア政府から眺める景色はずいぶんと日本が見慣れている景色と異なるんだなという点にも気づかされました。

    〜ロシアは存在感を増し、地政学の中心的存在になった。そして、何よりも重要なのは、この国がプランと、それを実現するためのゲームのルールを持っているということである。〜

    わかりやすい記述もイイ☆5つ

  • 現役外交官が、ロシアの政治・経済・外交を動かす基本ルールを分かり易く読み解き、解説している。
    ロシアを分析する手法は、ソ連時代から、公式式典の並び順からその時点の力関係を把握するという「クレムリノロジ―(クレムリン学)」が中心であり、この方法は、今でも北朝鮮のような内部の権力構造の見えにくい国においては一定の効果を持っている。しかし、著者は本書で、政治・経済の世界で実際に起こっている事象の背景にあるゲームのルールを読み解くという手法をとっており、それは、現在政権の中核にいるメンバーの共有する中長期的なプランが変わらない限り、唯一の中長期的分析を可能とする手法であると言う。
    そして、そのルールとは、
    ◆政治・経済では、アクターは政治的野心を抱かず、実務的に職務をこなすべきであり、ビジネスの世界では、「正しく納税する」という基本ルールに加えて、事実上全く明文化されていない国家権力側の意図を読みながら経済活動を進めていく必要があるというもの。
    ◆外交では、米国の標榜する「一極主義」に対抗し、世界は、米、欧、亜など複数の極から構成され、ロシアはそれらの極のひとつとしての機能を果たすべきという「多極主義」を追求すること。
    ◆国家の一体性という観点では、天然資源の活用で富を確保し、グローバル・スタンダードの経済を追及して、国民の生活を向上させること、及び「ロシア正教」の復権。
    である。
    こうしたロシアと日本は今後どのように付き合っていくべきかについては、プーチンの下でプラグマティックなロシアの判断基準は、「自らの中長期的目標を達成するうえでパートナーになるにふさわしいアイディアとリソースを提供してくれるかどうか」にあり、今後経済面を中心に成功例を積み上げていくことであろうと語る。
    本書が刊行された2010年8月以降を見ると、ウクライナを巡る情勢の大きな変化があるが、著者は当時、ウクライナ国民は、EU加盟やNATO加盟のようなシンボリックな目標だけでは生活は良くならず、実際に必要なパートナーとしてロシアを再認識している、と述べており、実際に起こったウクライナとロシアの対立を言い当てているわけではない。
    現実の国際情勢は、常に変化する様々なファクターを反映して動いており、予測することがいかに困難であるかを示しているとも言えるが、本書で著者が示すアプローチについては、佐藤優氏が本書発刊当時の『週刊東洋経済』でも評価しており、意味を見い出すことができよう。
    (2010年11月了)

  • 外務官僚らしい手堅い分析。変に扇情的ではなく、現在のウクライナのロシアのスタンスも納得ができる。

  • プーチンがどうやってロシアを復活させたかの本
    経済・競争のルールを定め、強いリーダーシップにより国家資本主義として成長したということ

  • ロシアのゲームのルールを理解する。結局は、プーチンを理解することなのかなと思った。ウクライナで起きたことは、この本の延長線上にあるね。ちょっと逸脱感はあるが、影響力のある国になりたいという意思は、感じる。

  • ロシアの外交の基礎知識を分かりやすく解説している。

  • 現代ロシアの基礎知識を学べる本。
    非常に分かりやすくまとめて書かれており、この本を読むだけで相当程度ロシアの知識が得られる。

  • 2011.12.18

  • 若手のキャリア外交官によるロシア論です。ロシアのことを知るには指導者層が物事を判断するときの背後にある彼ら独特の『ゲームのルール』を理解する必要があるという箇所に感銘を受けました。

    どうも筆者の経歴を見ていると、ロシアが専門のキャリア官僚で、職人のようなロシア分析をする佐藤優氏とはまた違った視点から語られるロシア論という意味で参考になった本でありました。

    旧ソ連が崩壊して混乱を極めた1990年代を経て、豊富な石油や天然ガスなどの資源を武器に強力なリーダーシップを発揮してロシアを立て直していったプーチン氏のもと、国際社会での発言力や力を増していく『近くて遠い隣人』はどういった存在であるのか?それを知るには『政治的エリート』がどのような『ゲームのルール』で動いているのか?そのロシア独特のルールというものを理解するべきであると筆者は説いております。

    佐藤優氏をはじめ、鈴木宗男氏などの著作を最近読む機会に恵まれ、ロシア側が北方領土の交渉について公式に発言するときに『鈴木宗雄。森善郎。佐藤優。そして前原誠司と話をさせろ』と何かでいっていた理由がこれを読んでわかりました。

    それはさておき、あの国では法律に記されていない独特のルールたとえば『ビジネスマンはきちんと税金を納め、政治的な野心を持たなければ後は自由だよ』などというのもオリガルヒヤと呼ばれる新興財閥がなぜあそこまでプーチンおよびロシア政府に目の敵にされたのかがよくわかりました。そして、『二重王朝』ととばれるプーチンとメドベージェフとの関係もここでは解説されており、2011年の後半では選挙をめぐる問題で大規模なデモなどが起こっていましたが、個人的にはロシアそのものの体制が大きく変わることはないと考えております。

    今後、日本とロシアとの関係がどうなっていくかはわかりませんが、ヨーロッパとも、アメリカとも異なる『ロシアの論理』を知りたいと思われる方は、手にとって読んでいただけると幸いです。

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ロシアの論理―復活した大国は何を目指すか (中公新書)の作品紹介

混乱を極めた一九九〇年代も今は昔。プーチンという強力なリーダーのもと、原油価格の高騰や国際情勢を追い風に、ロシアは復活した。国際社会と時に摩擦を起こすロシアは「脅威」なのか。その行方を分析するには、指導者たちの決断の背後にある、独特の「ゲームのルール」を見極めることが必要だ。若き現役外交官による冷静な観察は、偏見や怪しげな裏情報を排し、われわれの現代ロシア観を新たにする。

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