都知事: 権力と都政 (中公新書 2090)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121020901

感想・レビュー・書評

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  • 表題のとおり、歴代の都知事の政策についての記述が軸となっているが、都財政や特別区制度などにも触れられており、読み応えがあった。都採用試験の対策にも使えるだろう。

  • 題目が「都知事」であるが、「都知事と都政」という題目にした方がよいと感じた。都知事と都政について包括的に扱った本。
    公務員を目指す者として参考になった部分が多い。特に大都市制度に関して日本は立ち遅れているというところは気づかなかった点である。これからグローバル化が進み、さらなる激しい都市間競争が見られることとなろうが、その中で東京がどのようにプレゼンスを発揮すべきか考えないといけない。そう思った。

  • 都知事にとどまらず、地方自治に関する内容までを含んだ本。内容はかなり濃い。
    最近、こういう新書が減っている気がしている。

    革新であれ保守であれ、東龍太郎~美濃部亮吉~鈴木俊一~青島幸男~石原慎太郎と、個性の強い政治家が都知事となっている。議会に重きを置かない国政の内閣総理大臣より、公選の都知事の任期は総じて長い4年間、韓国やフィンランドの予算に匹敵する12兆円の予算を左右し、世界の国々と比べても世界第十位のGDPを誇る東京都に君臨する都知事という存在。

    読んでいて思ったのは、美濃部亮吉知事が今の東京の基礎を築いたのではないかと思ったことだ。が政府の許可を必要としていた東京都の地方債を、これは違法であるとして訴訟を起こそうとした。結果は失敗に終わったが、これは自治省が、革新自治体が地方債を発行して福祉政策を行うことを妨害する意図があったとも云われる。結局議会の反対を受けて頓挫するが、地方自治を行おうとしたことは、特筆に値するのではないか。また現在行われている法人二税(法人事業税と法人都民税)の導入を決定したのも、美濃部知事の時代である。
    また鈴木俊一知事になり、行革の結果財政赤字を脱却したと言うが、オイルショック後の景気回復で収入が増加したこと、法人二税のおかげとも云われる。

    また地方分権の一環として、道州制の是非が問われるが、戦時中の遺産として残っているのが東京特別区である。これは戦時中の二重行政を解消するために導入された。これは特別地方公共団体であり、一般的な市町村とは異なる。
    また道州制を導入するに当たっても、今の政令指定都市は諸外国の都市州として別枠にすべきであろうと述べている。これは諸外国にも事例があるし、単純に分割したのでは権力が偏るであろうという配慮である。

    以上のように、都知事の解説にとどまらず、地方自治とはなんぞやという話もできる。

  • 都知事選近くなってから、出版されたので話題先行の薄っぺらい本かなぁと思いながら読んだが、都知事のことだけでなく、特殊な行政単位である都の歴史や現状、地方自治体としての東京都をデータや歴史に基づいた非常に丁寧かつ、平易な文章で書かれており、都知事、そして都政の概要をつかむことができる、オススメの一冊です。

    投票する前に是非。

著者プロフィール

中央大学教授 法学博士

「2013年 『大都市行政とガバナンス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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