三国志―演義から正史、そして史実へ (中公新書)

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著者 : 渡邉義浩
  • 中央公論新社 (2011年3月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (229ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121020994

三国志―演義から正史、そして史実へ (中公新書)の感想・レビュー・書評

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  • 三国志演義には小説としての虚構が含まれているそうで、演義にも色々な版があって、版によって違いがあるとのことでした。

  • 三国志・・・
    吉川英治の小説、三国志・・・
    横山光輝のマンガ、三国志・・・
    李學仁&王欣太のマンガ、蒼天航路・・・
    北方謙三の小説、三国志・・・
    三国志は読んだなぁ・・・
    歴史小説や歴史マンガで避けて通れないのが三国志であります・・・
    中国の話だけど、メジャー中のメジャー・・・
    蒼天已死、黄天当立の黄巾の乱から、曹魏・蜀漢・孫呉の三国が鼎立し、その三国が(西)晋に天下統一されるまでの約100年の物語・・・
    登場人物マジ多数マジ多彩・・・
    その多すぎる登場人物が、各人野望や理想を胸に、武や智や義をぶつけ合い火花を散らすわけです・・・
    人の世の浮き沈みってものを多士済々で豪快に彩って魅せて教えてくれるわけです・・・
    この点が三国志最大の魅力ですよね・・・
    熱い・・・
    そして儚い・・・
    三国志ヤバイぜ・・・
    その、とにかくヤバイ三国志ですが・・・
    現代日本で一般的に知られているのが吉川や横山の三国志・・・
    そのもとになっているのが三国志『演義』ってヤツです・・・
    三国志と三国志演義って何が違うのか?って言うと、演義の方は結構話を盛ったりされてる『お話』、歴史小説なわけです・・・
    有名な言われ方で、演義は『7割の事実に、3割の虚構』と評されております・・・
    三国志の方は『正史』・・・
    実際の正しい歴史と言いたいところだけど、必ずしもそうというわけではなくて、三国を統一した晋の正統性を宣伝するための歴史書というもの・・・
    正確な正しい事実だけが書いてあるというわけではない・・・
    晋は曹魏から皇統を受け継いだので、曹魏を正統として書かれている・・・
    演義は中国の歴史的な思想事情を背景に、蜀漢を正統として、かなーーーり蜀漢贔屓で書かれている・・・
    蜀漢の劉備こそ正義で・・・
    智のスーパースター諸葛亮・・・
    義のスーパースター関羽・・・
    悪者のスーパースター曹操・・・
    物語の道化役として孫呉の面々という感じ・・・
    では・・・
    史実は?いったいどうだったのか?
    本書は裴松之の注釈など、三国志に関する様々な史料を基に・・・
    演義ではこうだけど、正史ではこうで、さらに史実ではこうだった、とそれぞれの違いをクッキリ浮かび上がらせてくれる・・・
    浮かび上がってくるのは・・・
    曹操の抜きん出た果断さと異能さと先進性・・・
    周瑜、魯肅の有能さと大戦略・・・
    水と魚に例えられる劉備と諸葛亮の実は微妙な緊張感漂う関係性・・・
    袁紹や袁術、公孫瓚、孫権などの君主と、張昭や陸遜、荀彧などの名士たちとの君臣の力関係、間合いの取り方・・・
    などなど、とても面白い・・・
    魯肅は想像以上の戦略家だったようで、えー、演義の扱い酷すぎない?とツッコミ入れたくなったほど・・・
    天下三分の計って、本当の意味でのものは魯肅が生み出した革新的な戦略だったんですね・・・
    それから蒼天航路が(盛りすぎだけど)比較的史実に近い感じだったんだなぁ、とも思いましたわ・・・
    儒教思想、そして漢という国の粘り強さというか、当時の人たちへの浸透の凄さというのも意外でしたね・・・
    後漢って末期でもはやボロボロで、簡単に曹魏に取って代わられたという印象だったけど、どうしてなかなか一筋縄ではいかない漢や儒への強烈な信奉というか、愛着というか、そういうのがあったんですね・・・
    後漢だけでも約200年続いたわけで、それだけの年数の間で慣れ親しんだものを替えるってのは、乱れきっていたとしても難しいもんだっていうのが分かるし・・・
    曹操っていうのはだから余計にスゲー人だなって感心しましたよね・・・

    いやー、比較して見ていくので、演義、正史、史実の違いが分かりやすいし、何故違うのか?何故そうなったのか?っていう背景も解説してくれるんで、とても興味深かった・・・
    史実で見ても三国時代ってのは面白いですわ・・・
    やっぱり三国志はヤバイ・・・

  • 一般に荒唐無稽な通俗小説とされる「三国志演義」。本書ではまず、漢王朝の思想的根幹をなし、その後も代々の中華王朝で称揚されてきた倫理哲学である「儒教」を理想化するツールとして「演技」が成立したことを紹介。さらに、その元となったとされる「正史」も含めた諸書の中で魏呉蜀その他の勢力のがどのような扱いを受けているかを検討し、そもそも「正史」 ですら執筆者の特定の王権への偏向を内包したものであることを明らかにする。「儒教」的・「漢」的なものを保存し後世に伝達する者を称え、そうでない者を貶めるという、「正史」という字面とは裏腹の偏向性が、これらの諸テクストを彩っているというのが面白い。

    「漢とローマは、それぞれ中国とヨーロッパの古典「古代」なのである」。この著者の言葉が、「漢」王朝が単なる一王朝としての存在を超えて、二千年の古来から現代にいたるまで中国人の思想にいかに深い影響を与えているかをわかりやすく伝えていると思う。

  • 私としては、北方謙三、三好徹、さらに横山光輝に「蒼天航路」と、読み尽くしたと思った三国志である。
    特に新発見はない。

    ただ、「正史」ではなく「史実」が一体どうだったのか?
    というアプローチは非常に新鮮でした。

    どう描かれたか、ではなく真実のみを求めるアプローチは浪漫がない。が、もはや、物語としての三国志に新鮮さを感じることができないであろう自分には、単純に面白かった。

    やっぱ曹操って偉大な男だね。

  • ☆信州大学附属図書館の所蔵はこちらです☆http://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB05220049

  • 吉川英治の三国志、横山光輝の漫画、KOEIの三国志ゲーム、2008年に公開されたレッドクリフはいずれも「虚構」に満ちた「三国志演技」をベースにしている。

    本書は、「演技」を入り口に「正史」の記述を検討して「史実」へと言及している。

    「正史」といえども、魏を滅ぼして建国された西晋の史官によって作成されているため、西晋の正統を示すために書かれている。

    「正史」とは、「正しい歴史」を記録したものではなく、史書を編集した国家にとって「正統な歴史」を描いたものである。

    全体を通して印象に残ったのは、人材登用

    唯才主義を掲げた曹操、名士への礼遇で有名な劉備、そして曹操・劉備にひけをとらず名士の抜擢に務めていた董卓

    三国時代に、お家柄にこだわらず各地に存在した名士を登用していった者が名を残しているのは興味深い。

    メインは、「肝絶」曹操、「義絶」関羽、「智絶」諸葛亮の三人にスポットを当てて、演技で虚構とされている内容はなんなのか、そこから史実に近い人物像を描いている。

    「智絶」諸葛亮編が圧巻の内容。

    劉備が「三顧の礼」で迎え、劉備が没するときに、「劉禅が君主として才能がなければ、君が自ら成都の主となってほしい」と言われた諸葛亮(史実)

    これは全幅の信頼ではなく、劉備と諸葛亮孔明とのせめぎあいの一つである。

    諸葛亮が荊州名士を次々と抜擢し政治基盤を確固たるものとする過程で、人事で劉備とのせめぎあいが起こっていた。

    「馬謖を泣いて切る」背景が分かり、三国志をさらに深く理解できる一冊でした★
    かなり満足な一冊

  • 非常に分かりやすく、かつ踏み込んだ内容の三国志解説書。三国志についてあまり詳しくない私にも読みやすい本だけれど、恐らく詳しい人にとっても、様々な発見がある本ではないかと思う。
    三国志という時代を、思想や宗教、文化といった様々な時代背景と絡めながら解説してくれるのが興味深い。「蒼天すでに死す」の意味や、曹操の後継問題と儒教の関わり、名士と君主との微妙な力関係といった話は、三国志という時代をより広い視野で捉える助けになった。
    主に曹操、諸葛亮、関羽の「三絶」を中心に据えている分、その他の人物や勢力については情報量が少ない印象があった。孫呉好きの私としては、もっとボリュームが欲しかったというのが正直な所。けれど巻末の「もっと詳しく知りたい人のために」という文献集はとても有難い。この本を導入として、もっと三国志の世界に踏み込んでみたくなった。

  • 副題に「演義から正史、そして史実へ」がついています。1800年前の出来事を史実としてどのように浮かび上がらせるのかというと、中国の王朝が書き連ねてきた正史(「正」統な歴「史」)とその他の作品との比較という手法をとっています。この分析の仕方が、歴史学の点から三国志を分析した点で学術的側面がものすごく強く、ゲームや漫画、小説ではわからない部分を充足させてくれる知的満足感があります。

    著者(参考:三国志検定HP→http://www.3594kentei.com/message/column01.html)自身も吉川英治の『三国志』から入っているので、きっかけは小説ですがそれが学術的、歴史学的に何が本当なのかを極めた結果の一部がこの本に結集しているように感じられます。特に、個人的に初めて知ることができた点で印象深かったのは…

    ・正統・閏運・僭国(魏呉蜀三国の定義)
    ・魯粛による天下三分の計(天下三分は孔明の策ではないのね)
    ・名士対君主の根深さ(階級制度とせめぎ合いの構図)
    ・法治と寛治(二種の統治法)
    ・陰陽五行説と五行相生説(この点からアジアや日本を見るとすごく面白い)

    などなどです。横山光輝(http://www.yokoyama-mitsuteru.com/)の漫画から出発した私の三国志好きですが、それが演義発の物語であるならば、史実は何であるかを知ることもまた面白かったのです。日本の統治制度や行政制度に反映されたさまざまな制度も出てきます。勧善懲悪や、忠義・仁義の貫徹など、日本人が好きなものだけに収まりきらないドラマがこの本から読み取れると思います。

    今まで自分が抱いていた感想の下になった漫画のストーリーとは別のものを見せられました。これまで以上に新しいことを知ることができて、さらに惹かれるものがあります。限りなくハマって惹かれ続けることのできるのも三国志の凄さなのかもしれませんね。そういえば、最近では中国ドラマの『三国志 -Three Kingdoms-』(http://www.sangokushi-tv.com/index.html)が放送されてますね。やはりいつになっても手を変え、品を変えながら描き続けられるのでしょうね。

  • 「三国志演義」(小説)から「三国志」(正史)へとさかのぼって、真実の歴史にせまる。虚構の物語、国家編纂の正史ともに書かれた時代の思想が反映されている。1962年生まれの渡邉義浩氏による分析はとても分かりやすく、歴史としての三国志を知りたい人に本書はお勧めです!

  •  昔から広く読まれ,今も小説(吉川英治),漫画(横山光輝),ゲーム(?)で大人気の三国志。曹操,関羽,諸葛亮の三人を中心に,『演義』と正史(含裴注)がどう描くか見比べながら読む。
     まず三国志のテキストがどう変遷していくのかを確認。西晋の陳寿が著した『三国志』に,劉宋の裴松之が注をつけた。そしてこの正史や口伝をもとに,明の羅貫中が虚構を取り混ぜた『三国志演義』としてまとめて,これが普及した。『演義』も様々にテキストが変わっていく。羅貫中の作は散逸してしまっていて,たくさんの異本が残っている。20世紀の日本では,明の李卓吾本が,吉川英治の小説を通して受容されたが,中国では,李卓吾本から派生した清の毛宗崗本が決定版である。
     毛宗崗本では,曹操,関羽,諸葛亮を「三絶」と称して強調する。順に,「奸絶(奸の極み)」,「義絶」,「智絶」とする。小説『三国志演義』はもともとフィクションを交え,悪役曹操,義の人関羽,天才諸葛亮をデフォルメして庶民にウケやすい物語にしたが,毛宗崗本はその完成版ともいえる。
     陳寿の『三国志』は簡潔で,例えば結構有名な登場人物趙雲についての伝がわずか2tweet分しかない。246文字。これに裴注は『趙雲別伝』1096字を補っている。裴松之が陳寿のとりこぼした史料を拾ってくれたおかげで,後世に伝わった史実は少なくない。
     このように『三国志』と裴注は,比較的当時に近い時代に,残っていた史料をもとに書かれている。これに対して,『三国志演義』は,おもしろおかしくストーリーを仕立てて,三国志の物語を広めようという意図のもとに作られたので,虚構がかなり盛り込まれている。
     例えば曹操による有名な呂伯奢殺害事件というのがある。これは董卓暗殺に失敗した曹操が逃亡中,父の友人である呂伯奢一家を殺害した事件。これは陳寿『三国志』になく,裴注が補った三史料も家人殺害しか載せていない。曹操の奸を強調するのは『演義』特に毛宋崗本からである。正史『三国志』は曹操の魏を正統とする立場で書かれているので,曹操を悪く書かない。それに対して『演義』は漢王室の流れをくむ劉備を正統とするので,曹操は徹頭徹尾悪として描き,劉備の蜀は善,孫権の呉は道化として描いている。あからさまに一般受けを狙っている。
     関羽については,主人である劉備に対して義であるのみならず,曹操に対しても義であることが示されて「義絶」が強調される(顔良を斬って劉備のもとへ帰るエピソード)。「智絶」諸葛亮などは,策謀だけでなく,魔術をつかって風を起こしたり,人知を超えた活躍をさせられる。
    「死せる孔明,生ける仲達を走らす」は三国志の終わりごろのエピソードと記憶されるが,これは『演義』から。諸葛亮の死は,約百年続いた三国時代のちょうど中間くらいだが,民間受けを狙う以上,ここをクライマックスにしない手はない。
     結局,三国志は正史に始まり,いろいろと変容を受けて小説『演義』にまとまり,登場人物の役回りも決まってきて物語は分かりやすく,魅力的になり,日本でもそのように受容され消化されてきた。正史そのままでなく,このように純化・洗練されてきたからこそ,今に至っても根強い人気があるのだと思う。おそらく今でも(ネット時代の今だからこそ?)三国志はさらなる変容を受けてまた違った読み方ができるようになっているのだろう。まったくフォローできていないが。

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