パレスチナ - 聖地の紛争 (中公新書)

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著者 : 船津靖
  • 中央公論新社 (2011年5月25日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121021120

パレスチナ - 聖地の紛争 (中公新書)の感想・レビュー・書評

  • [進展と後退と]解決への歩み寄りが見られたかと思えば、次の瞬間にはテロや敵対行為により、更なる混乱がもたらされてしまうことが重なるイスラエルとパレスチナ間の中東和平構想。その歴史をたどるとともに、著者自身の目から見たこの紛争の本質を考察した一冊です。著者は、共同通信社入社後、エルサレムやロンドンなどで勤務をされた船津靖。


    主に1990年代からの動きがまとめられていますので、「イスラエルとパレスチナ間の問題ってなんだろう?」と疑問に思った方が手に取るのに適した作品だと思います。現地で取材された著者ならではの情報も盛り込まれており、中東和平問題について遠目から引いて見た画と近くに寄って見た画が共に入手できるのではないかと思います。


    また、中立・公正という姿勢を取ることが問題の性質上非常に難しいイスラエル・パレスチナ問題を扱うにあたり、その中立・公正を原則としている1人の報道人が、その原則から(おそらくは無意識的に)「離れて」記述している箇所が散見されるところも本書の(なんともうがってはいますが)読み応えのあるところかと。その「離れた」場所にこそ、この問題の難しさが宿っているように思います。


    〜紛争の行為を左右する大組織を動かす最高幹部の多くは、野心や闘争本能が人並み外れて強い。……重要なのは、行為が合法的であることや、カントの普遍的な道徳規準に合致することではない。大切なのは「いま、ここ」で勝者となることである。〜

    類書は多いですが☆5つ

  • イスラエル政府はベツレヘム周辺のユダヤ人入植地の造成や施設の整備、入植地の交通の便を図る道路網の拡充には莫大な資金を投下したが、パレスチナ住民のための社会基盤整備は放棄した。
    ユダヤ人が民族、国民国家を構想しうるような文化的一体性や同族意識を維持するにあたっては、ユダヤ教の信仰と宗教共同体の役割が大きかった。
    シャロンは最大の庇護者であるアメリカの大統領からの求めでも、ユダヤ人国家の安全保障に関しては決して妥協しない原則を貫こうとした。ユダヤ人国家の安全のためなら逆に超大国の方針も変えてみせるとイスラエルの指導者は考える。その前提にはホロコースト後、ユダヤ人の安全に関しては自分以外の誰も信じないという強烈な孤独な覚悟がある。

  • 95年のラビン首相暗殺辺りからの悲惨な歴史は読んでいて気が重くなります。ラビンという人が如何に平和を求めていたかをジャーナリストが好意的に書いており、その一方でリクードのネタニヤフ、シャロンの好戦的な姿勢を観るにつけ、テロリストと呼ばれるアラブ側が一方的に断罪し、責められることの矛盾を感じざるを得ませんでした。ユダヤ教の保守派が、逆にイスラエルという国を認めていない!ということに、歩み寄りの余地があるのでは?と淡い期待を持ったのですが。

  • ラビン首相の暗殺を序章に、イスラエル建国前後から現在に至るまでのパレスチナ問題の経緯を、自身の経験を織り交ぜながら解説。だから単なる事実の羅列ではなくて、実際にどんな人が何を思っていたのかってのが伝わってくる。パレスチナ問題について知るのにとてもいいです、良書。

  • パレスチナにおける紛争について、
    20世紀以降の話題を中心に概説する。
    著者が現地にいたこともあり生きた言葉で書かれており、
    時折挟まれる著者の体験や思いも興味深い。

    >「一人死亡」「数人負傷」ぐらいでは割愛するほかない。
    >だが(中略)短い文や数字の中に、
    >自分が死ぬより辛いわが子の死や、
    >守ろうとして守れない家族の泣き叫ぶ声が詰まっている。

    当然、読んでいて胸がすく内容では決してない。
    むしろ苛立ちがつのる内容ばかりだった。
    しかし入門としては分かりやすく、入りやすい良書だと感じる。

  • 近年(2000年以降)のパレスチナ問題を中心に書かれた本書。テロのことが厚く記述しており、テロ=悪のイメージを払拭させる内容で非常に参考になる。シャロン政権のところは必見。

  • 日本人ジャーナリストによるルポルタージュ。目新しさはないが、ここ20年ほどのパレスチナ情勢がコンパクトにまとめられ、わかりやすい。

  • パレスチナ問題がよくわかる。
    テロの応酬は永遠に平和をもたらさないということがしみじみわかる。

  • パレスチナ問題もイスラエルの問題もほとんどわからなかったので、一通りの歴史をおさらいしてくれる本書はとてもわかりやすくまとまっています。最近になればなるほど、客観的な評価が難しいのか、記述があっさりしている気がするのが残念です。また著者も書いているように、パレスチナ、イスラエルを取り巻く国際情勢、特にアメリカなどの動きがかなり割愛されています。ただ、そういう部分を割愛したからこそ、錯綜するパレスチナ問題をわかりやすく整理できているのではないでしょうか? それにしても、イスラエル問題になると、アメリカというのは何とも勝手でいい加減な国だとつくづく思わされました。

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パレスチナ - 聖地の紛争 (中公新書)の作品紹介

パレスチナ紛争は、ユダヤ人国家の建国と占領に端を発し、中東地域と国際関係を不安定化する危険な要因だ。その歴史的背景に加え、超大国アメリカとイスラエルの結びつきによって特異な性格を持った紛争は、自爆テロと軍事侵攻の応酬で多大な犠牲を出し続け、今も混迷は続いている。両者の思惑がぶつかりあう中東和平交渉、それぞれの和平派と反和平派の苛烈な権力闘争を追い、紛争の実像に迫る。

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