- Amazon.co.jp ・本 (203ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121021182
感想・レビュー・書評
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今日も居酒屋が方々の町の片隅で慎ましやかに提灯を掲げている。よく知る店もよし、見知らぬ町の見知らぬ店もよし。酒に食べ物店主と客が織りなす独特の時間がそこにある。 そんなことを思い出しました。一人酒最高。
著者の経歴を見てみると、『ドイツ文学者、エッセイスト』とかかれており、僕自身はタイトルに惹かれて読んでいたので、こういうエッセイを読んでイイナと思うのは筆者と、偏屈だけど、心を開いた人間には優しい主人との交流。酒と肴。個人的には離れて久しいものがこの本にはあって、こういうものに出会いたいからこそ酒場を巡っていたんだよな、と。そんなことを思い出させてくれる一冊でした。
『飲み物は?』と聞かれ、『まずはビール』と答える。その注ぎ方にも一家言書かれてあって、多分、そういう機会がなければこの先覚えることはなかったろうな、などということを思い出してしまいました。
個人的に行きたい店は、チェーン店でもいいんですけれど、主人がおかみさんと一緒に切り盛りして30年。店の壁は脂ですすけているようなやきとん屋など、まず女性を連れてはいけないような店をいくつか連想したので、因果な自分のことを考えつつ、こういう品のいい居酒屋についての本も読んでみるとこれまた面白かったので、ここに紹介するしだいでございました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
こんなタイトルで、一冊の本を出版するなんて、池波正太郎か。
とは言え、読み進めるごとに、頷かざるをえないな、こりゃ。
女性が懇意にするネイルサロンや美容院、果てはメゾンがあるように、酒呑みにも行きつけの店があるもんで。
たまには、違う店にも入り、あれが良いだの悪いだの。
店も変われば、客層、料理、色んなものが変わるわけで。
ああ、酒場って良いですね。
最近のハマってるアテは、潤目鰯と銀杏です。
本書は居酒屋、割烹、小料理屋に特化されており、バー、パブなどには触れられておらず。今でこそのバルは、昔はスタンドって呼んでたんだなんて、いかにも赤提灯で横隣になったオヤジが言いそうなことも書かれていて、話の種にはなりそうな節が多々。 -
図書館で借りてて、返却日前に飛ばし読みで。
割烹と小料理屋の違い等が面白かった。
他は飛ばしすぎて、あんまり残ってない。 -
ほんとに僕の親くらいの世代が営んでいる「飲み」の生態だなあという印象。
こういった飲み方を自分はやりたいとは思わないが、ある年代以上の人にとっては楽しくて仕方がないのはわかる。そういった意味で興味深い。
あとときおり出てくる分類が微妙。 -
ドイツ文学者の池内紀(1940-)による居酒屋哲学。エッセイ。
のれん、赤提灯、カウンターと小上がり、突き出しへのこだわり、メニューの書き方、そして主人と客あるいは客同士の人間風景。居酒屋という不思議な世界。実のところ、
酒の話はあまり出てこない。
いい酒飲みになるためには、居酒屋という空間をていねいに興味深く観察する必要があることを教えられる。 -
2012/06/18
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20110718 居酒屋学、参考になる。これまで避けていた店にも行ってみようと思う。
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バンコクにも居酒屋はあるのだけれども、僕が住んでいるエリアは、日本人が多く住んでいる場所ではないので、あたりに居酒屋はみかけない。他のエリアにある居酒屋には、日本人同士で行くことはあるけれども、それもあまり頻繁というわけではないし、まして、「ひとり居酒屋」ということをすることはない。
でも、この本を読むと、それも悪くないな、と思えてくる。 -
書物や座学からは学べない大切なことを、居酒屋は教えてくれる――それを薀蓄的でも心得的でもなく、酒を呑む人のたしなみとして易しく諭してくれる本だ。それはつまるところ、人としてのりをこえず、他人との適度な距離感をつつましやかに保つ術をいうのであろう。p169の後ろから4行目からの1段落が光り輝いている。