レーガン - いかにして「アメリカの偶像」となったか (中公新書 2140)

著者 :
  • 中央公論新社
3.74
  • (10)
  • (24)
  • (23)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 225
感想 : 28
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121021403

作品紹介・あらすじ

「最も偉大なアメリカ人」に選ばれるほど、人々から敬愛されるレーガン。だが、家族の絆を説いた彼は「離婚歴を持つ唯一の大統領」であり、「保守派の希望の星」ながらソ連との和解、冷戦の終焉に貢献した。アナウンサー・俳優として、大統領として、二〇世紀アメリカの大衆文化と政治をともに体現したレーガンに潜む矛盾は、現代のアメリカが抱える矛盾でもある。その複雑な生涯を描き出す、本邦初の本格評伝。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • レーガン - いかにして「アメリカの偶像」となったか (中公新書) 新書 – 2011/11/24

    現代史を知る上で熟知すべき人物
    2013年5月13日記述

    同志社大学法学部教授村の村田晃嗣氏の著作。
    朝まで生テレビ等で早口でしゃべる姿が印象的な人物。
    10年以上続いた同志社大学学長の八田英二氏に変わり現在の同志社大学学長を務めている。
    世も末だ。

    ロナルド・レーガン元大統領に関してまとめている本書。
    難点をあげるとすると少々映画が多く取り上げられすぎている。
    著者の趣味ということもあるのだろうが・・・・
    有名な作品ならともかくあまり知らないものを取り上げるのは難しいと思える。

    飛行機嫌いであること(そのため鉄道、自動車内での移動中読書に熱中した・・)やブッシュ親子の大統領当選に間接的に大きな影響を与えたこと(ブッシュJrの当選判決を出した裁判官5人の内4人はレーガン氏が選んだ人物達だった・・・)
    立場は違えどオバマ大統領にも影響を与えている人物であるレーガンのことは日本でももっと知られて良いと思った。

    本書でも触れられていたけれども断片的にしか知られていないのは問題だろう。
    選別的な記憶、過去と現在と未来の架け橋となるタイムマシーン・・など
    うまくレーガン元大統領を表現している。

    いわゆるタカ派のイメージがあるレーガン氏。しかし妥協や包括的な策を多く取った政治家であり共和党内だけではなくアメリカを統合していたのだ。
    冷戦を終わらせたのはゴルバチョフとこのレーガン氏がいたからだろう。
    もし東西どちらかの大統領が違えばかなり異なる事になったかもしれない。

    それを思うと今のアメリカのねじれ議会の現状を見ると妥協のない、決めることの出来ない、
    偏狭的な発言、行動が続いており、これでは何も生み出せないのではないかと思えた。

  • 中曽根康弘が死去した日に『レーガン』を読み終わるというのもいろいろ考えさせられる。

  • レーガン大統領の伝記、今まで無かったのが不思議だよ。とはいえ逆に亡くなってから執筆されているので、レーガン退場後のレーガンの影響まで体系的にシルされている。ニクソン辞任後、オバマ当選までレーガンの時代か。なるほど納得

  • 2011年刊。著者は同志社大学法学部教授。◆党派を問わず、後継がその政治スタイルを模倣せざるを得なかった偶像は、ドサ回りで身につけた処世術の賜物。これは妥協を妥協と見させない姿にも結実。◆こんな読後感の本書は、小さい政府にレーガノミクス、双子の赤字に冷戦終結と単純に論じがちな米国元大統領レーガン氏の評伝。◆良くも悪くも90年代以降の米国や世界政治を規定した人物の来歴が、彼の生い立ちから多様な視点で叙述。◇当然のことだが、レーガンの政策が全てうまくいったわけではなく、その問題点や紆余曲折にも触れられている。
    ◇米国保守の範疇でも、宗教的右派と新自由主義的経済の信奉者、さらには軍制服組とでは色あいはかなり違う。そもそもレーガン氏はそれらの接着剤。しかるに、健康不安に苛まれた第二期政権下では、レ政権内部の対立は顕著に。就中、レ後継のパパ・ブッシュ派が、レ政権では反主流派だったとは、世は単純ではないなぁ、との思いが…。◇外交に関し、特にイスラエルとは微妙に揺れ動く関係であった。これは単純に流布されてきた右派・タカ派レーガン像からして意外の感。
    ◆一方、レーガンの実像に関して、彼が稀有な読書家(ただし、著者評では自説に都合よい点をつまみ食いしがちな傾向とのこと)で、また優れた記憶力(後のアルツハイマー発症は皮肉)に裏打ちされる弁論術の持主だ、との指摘は、一層意外の感。

  • レーガンの80年代を中核にfrom toを以て現在への影響までも記した良著

  • FBノートにあとで。

  • 【70冊目】レーガンのこと勉強したくて読みました。新書に求めていたものは大体得られた感じがする。レーガンについての基礎の基礎の知識。
    レーガンが共和党の大統領ってことすら知らなかったので、良い勉強になりました。

  •  生誕百周年の昨年出た評伝。中公新書は良質の評伝が多く,どれも読みごたえがあって外れが少ないが,本書も良かった。アメリカ大衆文化の変遷を体現した偉大な大統領。
     戦後のアメリカ大統領で人々の記憶にもっとも残るのが,ケネディとレーガン。二人ともアイルランド系だけど,対照的。レーガンの父は6歳で孤児となり、レーガン自身もゼロからの出発を余儀なくされる。一方,6歳年下のケネディは裕福な家庭に生まれ(父ジョセフは駐英大使),レーガンより20年も前に若き大統領となり,40年以上前に死ぬ。
     ケネディは暗殺されたが,レーガンは銃撃を受けながらも生き延びる。撃たれて死ななかった大統領はレーガンだけ。しかも70歳という高齢なのに順調に回復。元映画俳優の彼は,大統領職でも映画のように人々を魅了した。
     レーガンが社会に出たのはラジオのアナウンスの仕事から。話術を遺憾なく発揮して映画俳優に,そして戦後はテレビにも出演,その経験をカリフォルニア州知事,そして大統領として活かした。ハリウッドでは組合活動に取り組むも反共主義で,政治では「小さな政府」を目指す経済保守の立場を貫いた。
     彼が大統領のときに冷戦が終結,結果的には幸いだったけど,レーガンは現実と空想を混同する傾向があったらしく,読んでてなんだか危なっかしかった。自分の推測・希望を裏打ちする情報を重視する楽天家で,そういう方向への記憶の改変も目立っていたようだ。
     また信仰心も篤く,「ハルマゲドンが近づいている(核戦争の危機が迫っている)」と日記につけたり,チェルノブイリが「ニガヨモギ」を意味すると聞いて「この惨劇は二千年前に聖書に予言されていた」と言って側近を驚愕させたという。占星術好きのナンシー夫人の影響もいろいろ受けてるし…。

  • 大統領になるまでの生涯が丁寧に書かれていて、レーガンのポリシーの背景を読み取ることができた。また冷戦の収束に向けての駆け引きをはじめ、当時の出来事の背景を知ることができた。

全28件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

同志社大学教授

「2023年 『国際政治学をつかむ〔第3版〕』 で使われていた紹介文から引用しています。」

村田晃嗣の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
ウォルター・アイ...
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×