神道とは何か - 神と仏の日本史 (中公新書)

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著者 : 伊藤聡
  • 中央公論新社 (2012年4月24日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (306ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121021588

神道とは何か - 神と仏の日本史 (中公新書)の感想・レビュー・書評

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  • 古代から近世までの日本神道史を扱ったもの。神道というと日本古来の宗教のように捉えられることもあるが、きちんとした宗教として成立したのは15世紀、吉田兼倶の吉田神道においてである。国学の流れの中で日本古来のものとして送り返された古代の神道は、多神教的・アニミズム的なカミ信仰で整ったものではない。このカミは祟りを起こす畏怖の対象として祀られたもの。

    古代のカミ信仰は仏教の伝来によって、仏教との比較で位置づけられていく。一つにはカミも「衆生」の一つであり、輪廻や罪業に悩まされ、仏による救済を必要とする存在だとする捉え方。衆生の住む世界は六道、すなわち天・人・阿修羅・畜生・餓鬼・地獄であり、日本古来のカミもこの天に属し、仏の救済対象である(神身離脱)(p.39)。しかし737年に初出する八幡神(p.47)のように、仏に似た役割を担うようになる神もあり、これには菩薩の名が与えられた(八幡大菩薩)。こうした神仏習合が進み、やがて10世紀に神は仏の仮の姿であるという本地垂迹説に至る(p.55)。

    こうして本地垂迹説のもとで、仏教諸説と神道を融合させて説明しようという両部神道、伊勢神道の流れが中世神道として展開する。このなかで著者が鍵とするのは、「神が我々の中に内在するという、中世が生み出した新しい観念」、「神観念のドラスティックな変化」(p.135)である。この神=心の考えは、吉田神道にて神道が成立するに大きな役割を果たす。

    さてこの心神という捉え方は、人物(の心、魂)そのものを神として祀るという展開をもたらす。もともと、8世紀の長屋王、10世紀の菅原道真、12世紀の崇徳上皇と不合の死を遂げた人物の祟りを鎮めるために祀るということはあった。確かに藤原鎌足のような一家の始祖への信仰や、柿本人麻呂のような歌道の祖への信仰という形の(祟りによらない)人物信仰はあった。しかし著者の見るところ、近世以降の人物信仰は新しいものであり、それには吉田神道の心神という捉え方が影響している。この結果の信仰が豊臣秀吉(豊国大明神)であり、徳川家康(東照大権現)である(p.163)。

    もう一つ、吉田神道の成立背景をなすのが13世紀より再興した日本書紀注解である。この中世日本紀が独自の系譜と神話を生み、仏教とは離れた独自の宗教としての神道の成立を生む。この日本独自の宗教体系としての神道、というアイデアは国学を経て、明治期の廃仏棄釈、そして軍国主義イデオロギーへと流れていくことになる。

    というように本書は吉田神道の成立をピークとして、そこに至る様々な背景を追っていく。しかしどうも事項の羅列が多く、筋が見えにくい。「なお」「さらに」といった接辞で始まる文章が多発し、あれもこれも述べようとしている感があり、展開を追うのがやや面倒である。また、事項の展開はあれど、それがなぜ起こったのかについての説明は少ない。例えばなぜ本地垂迹説が起こってきたのか。神身分離で不足だったのはなぜなのか。伊勢神宮の宮司たちの心の救済の話が出てくる(p.73f)が、これが理由であるわけではない。したがって、事項は豊富だし、事項のつながりも押さえられているのだろうが、いまひとつ展開のつながりが見えない本だった。また、近代の展開や視点は極力排除した形で書かれている。それは現代の見方を過去に移入しない方法論の一つではあるだろうが、叙述を生き生きとさせるためにはやや譲ったほうがよい点のように思われる。

  • 読了。

  • 「日本<固有>の民族宗教」と言われる神道の形成を、中世を中心に古代から近世まで通史的に解説した書。日本における神祇信仰が仏教などの諸思想の影響を受けて展開し、やがて「神道」という独立した宗教へなっていく過程を詳細に論じる。
    本書は「神道」が古代からの一貫した形の宗教ではないことを前提として、神仏習合華やかりし中世の神道説を中心に論じ、その多様な言説の帰結として「神道」が形成されたとしている。即ち、著者は中世神道説における神観の変遷(<祀るー祀られる>神から心・神一体の<内なる神>へ)を重視し、そうした思想が仏教の影響の中で生じたこと、またそうした言説を体系化した吉田神道の成立を以って(独立した宗教としての)「神道」が誕生したと論じる。
    本著で語られる中世の神信仰・言説は神仏習合のみならず、人神信仰、国土観、中世神話など多岐にわたっており、中世の神言説を一望できるものとなっている。また、本書のメインはあくまでも中世神道説であるが、古代の神祇信仰や仏教伝来後の神仏観、近世における神道説などにも紙幅を割いており、上代から近世国学までの神道史としても大いに参考になる。ボリュームがとてもあり、また人名や書名が多数登場するので初学者には辛いかもしれないが、中世を中心とした神道の姿を概観するにはうってつけの書と言えるだろう。

  • 神道の成り立ちを古代より追う一冊。
    純粋に歴史を追うパートは馴染みのない人名や著作が
    数多く列挙されやや辛くもあったが、
    巻末へ進むに連れ、固有なるものへの必要性や憧れから
    構築、体系化さされた「神道」が現れる流れは面白さを感じた。
    また人物信仰や国土観について記載されたパートは
    それ一つとしても興味深い。
    明治維新期以降の神道については触れる程度であるため、注意が必要。

  • 『本の紹介 - 神道とは何か』
    「神仏習合の視点から、中世を中心に古代から近世に至る神道の形成過程を丹念にたどり、日本の宗教文化総体のなかでとらえ直す」

    『奈緒の日記』
    あけましておめでとうございます。
    今日は2013年1月7日 月曜日
    高校初出勤、そう、初出でございます。
    パソコンを開いて、このページを開きましたら花マークが33個付いていました。
    ありがとうございます。
    どんな方が花マークをつけて下さっているのかわからないのですが、ありがとうございます。
    嬉しいものですね。

    今回は10連休で、始まる前は長い休みだと思っていたのですが、今こうして出てきますと、アッという間でした。
    このアッという間に、司書宅ではそれまで3匹だった猫が、また野良猫を保護してしまい、4匹になってしまいました。
    当分は、動物病院通いが続きます。

  • 神道の入門的内容を扱った本を読みたくて、新書だし、タイトル的に入門書っぽい本書を手に取った。

    しかし、入門編としては難解すぎた。
    いきなり時系列で細かい話が出てきて、多すぎる年号や人物名や宗派を意識に留めておけない。

    ほとんど斜め読みしてしまったので★1つを付けるのは忍びないけれども、入門書としては間違いなく★一つ。

    もっと神道に対する興味が湧いて、本書を読めるレベルになった時には再読するかもしれないし、評価も変えるかもしれない。

  • むずい(>_<)。
    日本固有の

  • 新着図書コーナー展示は、2週間です。
    通常の配架場所は、1階文庫本コーナー 請求記号:172//I89

  • 伊藤聡『神道とは何か』中公新書、読了。日本的霊性への安易な礼賛と国家主義の温床への嫌悪という固定観念以前の神道の歩みを概観する一冊。「日本固有の民俗信仰」という単純な説明に還元できない性格を紹介する、副題の通り「神と仏の日本史」。交流を通し後天的に形成される経緯が分かりやすい。

    神社信仰と神仏習合の関係が興味深い。神社信仰は元々氏族や地域単位の慣例化した祭礼の反復。そこには「個人的願望の祈願は存在せず」。ところが本地垂迹説の進展・神仏習合の結果、「神社に対しても個人的祈願を行うような傾向が出てくる」。伊藤聡『神道とは何か』中公新書、2012年、69頁。

    興味深いもう一つは、キリシタン批判の吉田神道から受洗者がでているという話題(知りませんでした。吉田兼右の甥・清原枝賢、さらにその娘(伊与局)が入信、伊与局が細川ガラシャを信仰に導くことになる。伊藤聡『神道とは何か』、253-254頁。

  • 「とは何か」シリーズの最新。といっても、内容はどっちかっていうと「何か」というより「どうやってこうなったか」というものなので(つまり歴史の話)ご注意を。

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神道とは何か - 神と仏の日本史 (中公新書)の作品紹介

日本"固有"の民族宗教といわれる神道はどのように生まれ、その思想はいかに形成されたのか-。明治維新による神仏分離・廃仏毀釈以前、日本は一〇〇〇年以上にわたる神仏習合の時代だった。両部・伊勢神道を生みだした中世を中心に、古代から近世にいたる神道の形成過程を丹念にたどっていく。近代における再編以前の神をめぐるさまざまな信仰と、仏教などとの交流から浮かび上がる新しい神道の姿。

神道とは何か - 神と仏の日本史 (中公新書)はこんな本です

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