アイルランド紀行 - ジョイスからU2まで (中公新書 2183)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121021830

感想・レビュー・書評

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  • 先日のアイルランドモノ語りに続いて、栩木さんのアイルランド本を手に取る。
    こちらは少し古い本だが、栩木さんの映画案内をはじめ、ジョイスやイェーツ、現代から古代の詩人たち、宗教論争、イギリスとのいさかいの歴史、アイルランド人の文学音楽芸術への愛、土地への信仰が盛りだくさんで濃い一冊。

    自分が1999年にアイルランドを訪れたさい、ダブリン、リムリック、ゴールウェイ、アラン島(この当時も船で片道二時間半かかったよ、、、)などへ行ったことを思い出しつつ読んだ。
    毎日天気が悪かったのを覚えている。
    いつかまた行ってみたい、不思議な印象の国である。
    映画アンジェラの灰もまた見てみたい。

  • アイルランドを旅しながら、神話の世界や複雑な歴史をわかりやすく解説してくれる良書。
    ジョイス「ダブリナーズ」、ドイル「ザ・コミットメンツ」を読んでおかなくちゃ、という気持ちにさせてくれました。3.6

  • アイルランドが好きで、渡航経験もあり、「ああ、あの通りね」とイメージできるほどに愛着を持って振り返ることができ、そしてアイルランドの文学、文化に多大な興味を持っている読書好きの人は、きっと楽しく読めるであろう本。
    現代的・漫遊的な紀行本ではないことは要注意。

  • アイルランドといえばまず首都ダブリン、東部のゴールウェイ地方、アラン島が思い浮かぶ。司馬遼太郎『愛蘭土紀行』がそうだった。この本は紙数の関係か駆け足になるがほぼ全ての地方と主要な都市を紹介している。英領北アイルランドまであって興味深い。また2012年に書かれているためアイルランドの今がわかる。都市の紹介、歴史、映画、文学、アイルランド神話、アイルランド出身のミュージシャンなどが散りばめられている。イェイツやワイルド、ジョイスなどの作品の一節が訳出されていて、特に『ユリシーズ』の雰囲気を味わえるのもいい。

    北アイルランドといえばIRA(北アイルランド共和国軍)。アイルランド共和国との統合を旗印に北アイルランドやロンドンでテロを行っていた組織だ。イギリスとの連合を主張する〈ユニオニズム〉とアイルランド共和国との統合を望む〈ナショナリズム〉があり、互いに爆弾テロを行っていた。1998年4月10日に結ばれたベルファスト和平合意で終結するかと思いきや、和平合意に反対したRIRA(真のIRA)が無差別爆弾テロを行った。U2はそれを受けて作曲した曲、「地には平和」http://youtu.be/JcDNilZbZg8

    タイタニックが3姉妹だったとは知らなかった。タイタニックは次女。長女はオリンピック。客船として、戦時中は兵員輸送船として活躍し、無事引退したらしい。三女はブリタニックで病院船として使われたが、第一次大戦中、ドイツ軍の機雷に当たって沈没。

  • トレヴァーやカーソンの翻訳者によるアイルランド紀行文。虐げられ孤立したアイルランドの歴史と文化のアウトラインを文学や音楽を絡めてガイドする。もちろん通常のガイド本とは一線を画する。この土地が有する言葉の豊穣は景色に詩情を与え、また鋭い刃としての一語となる。切り口としての魅力は十分過ぎるほどに。更に深くアイルランドを知りたくなる。そしていつか彼の地で極上のギネスビールを飲みたい。

  • 栩木伸明『アイルランド紀行』中公新書、読了。ジョイス、イェイツなど多彩な文学者を生んだ島国・アイルランドとは「世界で言葉が最も濃い地」(帯)。英国からの独立の歴史は、“虐げられてへつらう者たち”を育んだ。本書はアイルランド文学者が、この国の魅力を縦横に語る紀行書。図版も多い好著。

  • ギネス、ブッシュミルズ、そして名前だけ知っているジェイムズ・ジョイス。アイルランドと聞いて筆者が思い浮かべるのはせいぜいその程度だ。予備知識も乏しく、さほど興味もわかない国についての紀行文なのに楽しく読み終えることができた。馴染みの薄い読者に配慮した構成、現地における丹念なフィールドワークと憧憬の思いが結実している。

著者プロフィール

栩木 伸明(とちぎ・のぶあき):1958年生まれ。上智大学大学院文学研究科英米文学専攻博士課程単位取得退学。現在、早稲田大学教授。専攻はアイルランド文学・文化。著書に『アイルランド紀行』(中公新書)、『アイルランドモノ語り』(みすず書房、読売文学賞受賞)、訳書にウィリアム・トレヴァー『ラスト・ストーリーズ』『聖母の贈り物』(国書刊行会)、キアラン・カーソン 『シャムロック・ティー』『琥珀捕り』(東京創元社)、コルム・トビーン『ブルックリン』(白水社)、ブルース・チャトウィン『黒ヶ丘の上で』(みすず書房)などがある。

「2021年 『世界文学の名作を「最短」で読む』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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