物語 シンガポールの歴史 (中公新書)

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著者 : 岩崎育夫
  • 中央公論新社 (2013年3月22日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (262ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121022080

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物語 シンガポールの歴史 (中公新書)の感想・レビュー・書評

  • [昇り竜解剖図]羨望を集めるほどの急激な経済成長で、東南アジア諸国の経済や投資を牽引してきたシンガポール。ほとんど顧みる人すらいなかった19世紀初頭の「発見」から、急速な経済成長を経た21世紀初頭までの歴史を概観した作品です。著者は、シンガポールをはじめとした東南アジア諸国の研究で知られる岩崎育夫。


    非常にコンパクトにシンガポールの経済、政治、そして社会についてまとめられているため、同国に関心を持つようであればとりあえずオススメしたい一冊。現実主義に徹したシンガポールの世界観がどのように形作られ、成功を収めることになったかがよくわかるかと思います。シンガポールと東南アジア諸国の関わりについても頁が割かれているため、広く同地域に興味を持つ人にもオススメです。

    〜比喩的に言えば、シンガポール株式会社の社長が創業者オーナーのリー・クアンユー、副社長がリーの片腕のゴー・ケンスィー、第一線の営業部長がエリート開発官僚、一般国民が事務職や現業の社員に相当する。そして、株式会社である以上、シンガポール株式会社は利益獲得に経営原理が置かれ、社長の大号令以下、社員全員が一丸となって会社の発展に励んだのである。〜

    いつかあの不思議な形のホテルに足を運んでみたい☆5つ

  • 上司がいるので最低年一回は出張するシンガポール(笑)実はそれまで行った事なくて、その歴史って知ってるようで知りませんでした。
    占領下での残忍な行動にもかかわらず親日が多いので謎でしたが、これ読んでプラグマティズムゆえだなとハラオチしました。
    英国、日本、中国、マレーシア、インドネシア、米国など関係諸国と様々なバランスで成り立っており、
    政治的自由を制約してまで経済成長を追求するのはともかくとして、日本も学ぶべき所は多いですね。
    この都市国家が経済戦略、政治面、文化芸術面など含めて今後どう変わっていくか注目したくなる一冊です。

  • 同国が1819年にラッフルズがスルタンからの土地購入により英国植民地になり、以来仕事を求めて来た中国人の増加が人口の7割を占め、現在に。そして日本の占領下、マレーシアの一部としての独立、そしてマレーシアからの追放と国としての生き延びていけるのかという悲壮感、リー・クアンユーが作った人民行動党のほとんど一党独裁と民主主義の関係など、現在の繁栄への流れが数奇な運命を感じさせられた。マレーシアからの独立が、むしろ残留を望んだのに追放だった!は驚きの発見だった。逆に分離したことが両国にとって現在の繁栄を招いたのだろうと思う。なによりも社会が存在しないところにいきなり国家誕生というユニークさ、それが成功した例としての国家のように思える。日本占領下での中国人弾圧、マレー・インド人優遇という日本軍の政策は驚きだったが、それを考えると同国の日本との現在の親密な関係は奇跡のように思われる。

  • シンガポールの歴史書。シンガポールが今のような姿になるまでに、どのようなことが起きていたのか。前からシンガポールは経済発展のための政府という感じを受けていたが、その理由がわかった。今度行く時は、ちょっと視点が変わるかも。

  • シンガポールについてよくわかる本。

    なぜシンガポールがこんなにも発展できたのか、そのストーリーが非常に論理的で納得できる。
    また今後のシンガポールの課題までもが指摘されており、ただシンガポールがすごいというだけの感想で終わらずに済む。
    この本を読むと、シンガポールに対する見方がより深く鋭くなることだと思います。
    シンガポールに何らかのつながりがある人、興味がある人はぜひ読んでみてほしいです。

  • 2016.8読了
    シンガポール赴任となり、現地の書店で購入。とても勉強になりました。著者はシンガポール人とご結婚されるほどのシンガポール研究の第一人者のようです。歴史を客観的に示しつつ、物語としても面白く読める、秀作です。

  •  ラッフルズがインド・中国の貿易の中間点で、便利な港として「発見」したジャングルの島が、イギリス植民地、日本占領時代を経て、マレーシアの一部になるも追い出され、「誰にも祝福されない」独立を成し遂げてから、いかにして水も資源もない小国が今の経済発展を成し遂げていったか、ということを分かりやすく解説する本。
     イギリスの分割統治の話(p.21)や、日本占領時代はナショナリズム意識を生むための「膨大な犠牲を払った学習機会」(p.56)としても捉えられる話なんかは納得だった。本書にも書いてあるが、シンガポールに行って、国立博物館の展示を見ていて思ったが、日本占領時代は苦難の時代だけれども、イギリス植民地時代はとても良いものとして描かれているのが印象的だった。
     今の旅行者の目に映るシンガポールからは想像もできない独裁が行われていたというのは驚きだった。例えばインド人弁護士のジャヤレトナムという人(p.100)は、1980年代に国会で不適切な言動を行ったとして潰されてしまったし、2011年ですら「野党の立候補届けが受付時間を三〇秒ほど超えたため立候補を認められなかった」(p.209)ということがあったらしい。「野党候補者を選んだ選挙区の公共住宅修繕を後回しにする」(p.208)というのもあったらしく、すごい独裁だなと思った。北朝鮮という国が近くにあるだけに、これくらいのことなら大丈夫なのかなあとか思う。
     シンガポールには宗教はないが、あるとすれば「プラグマティズム」というのは、恐ろしいというか、その中で生きていく人は大変だろうなあと思う。例えば「成績の悪い者には、これ以上の教育は無駄という『効率』が、教育でも原理とされている」(p.120)なんて、恐ろしい。「生存のための政治」をせざるを得ない状況がそうさせているのだということがよく分かった。(16/07/29)

  • 2016/2/10
    シンガポールの改革を進めてきたリー・クアン・ユーの一生のような本。
    ・極めて合理的な政策により経済成長してきた反動で、この国では文化・宗教といった経済以外の教養が忘れられている。
    ・リー・クアン・ユー時代の人民行動党はこれまで野党の勢力が少しでも拡大すると厳しく弾圧してきた。
    ・ゴー・チョク・トンやリー・シェンロンの時代になり、自由な言論が許されるようになってきたこともあり、海外誘致の姿勢により国内を顧みてこなかったつけが回ってきている状況。

    今後の舵取りは、経済成長一辺倒であった10年前よりも、遥かに難しいだろう。
    資源をもたない経済大国シンガポールの今後の動向は今後も注視していくつもり。

  • 訪問前の予習として。
    華やかで自由そうなイメージしかなかったが、
    こんなにも管理社会の国だったとは知らなかった。

    ここまで繁栄しても、
    ずっと経済成長を目指し続けなければならないのは
    何かしんどそうだと感じた。

  • 本書によれば、シンガポールはマレー半島の先に浮かぶ小さな島国。200年前まではほぼ無人のこの島が発展したきっかけは、イギリスのアジア植民地政策にある。インドと中国のちょうど中間に位置し、イギリス人ラッフルズが中継貿易の拠点としてこの島に目をつけたのが発展の端緒。中国人等が仕事を求めて出稼ぎにきて人口が急増。1965年にマレーシアから追い出されるようにして独立し、今年が独立から50年目。人工的に創られた国で歴史が浅く、固有の文化は育っていない。小国がゆえに生き残りをかけて国を上げて必死に経済発展を続けており、国民一人当たりのGDPは日本を上回る。その反面、政治活動や言論は規制され、統制されている。日本については、三年八ヵ月の不幸な占領期を知る世代と若者でイメージが大きく異なる。両国の関係は悪くないと言えそうだ。

  • これまで4回訪れたことのあるシンガポールについて知りたかったので本書を読み始めた。
    シンガポールという国ができるまで、できてからほぼ今日までの政治的な動きがとてもよくわかった。
    イギリスにより作られた国。
    日本の侵略。
    今や一大観光島になっている、セントーサ島で行われたこと。
    これまでまったく知らなかった。
    日本の教育を受け身で受けているだけではまったく知ることのできない,日本が大きく関わった外国の歴史。
    読んで、知ることができて良かった。

  • すごく面白い。歴史、政治、マネジメント、経営、思想、人間。あらゆるものがつまってる。

  • 実際に訪れた国を知るのは面白い!シンガポールはひとつの会社、という表現はすごく納得。独立のきっかけは追放というのは驚き。

  • インドを制したイギリスが他の宗主国たちに対抗するために植民地したことから歴史がスタートして、日本に占領されて、マレーシアに属して、わずか2年で追放される形でシンガポールとして独立して。
    リー・クアンユーの作り上げた人民行動党政権の下、開発至上で走ってきたシンガポール。

    一党独裁の光と影。周辺諸国との関係、移民社会からの転換、資源開発、新世代、新たな価値観の萌芽。
    読みやすくてとにかく為になる。
    日本軍占領時代に関する記述箇所は本当に申し訳ない気持ちになりました。

  • 物語としてよくかけており、非常に読みやすい。シンガポールの特殊性がよくわかる。

  • 一人当たりGDPで日本を抜き、アジアでもっとも豊かな国と言われるシンガポール。本書では、シンガポールの英国植民地時代から現代に至る200年の軌跡が描かれている。筆者も文中で述べているように、政治・経済に重点が置かれている面はあるが、そちらの分野に興味がある私にとっては良かった。リー・クアンユーというカリスマ政治家がいかに現在のシンガポールを築き上げたのか、その手法についての解説が非常に興味深かった。経済至上主義で発展を遂げてきたシンガポールでも、民主化の動きが起こるのか。人民行動党の一党独裁はいつまで続くのか。今後もシンガポールから目が離せない。

  • 「歴史」
    理解することの重要さを教えてくれる一冊。

    非常に良くまとまった良書。

  • 昨年出た本なので情報が新しいのは勿論だが、シンガポール建国の歴史を文字通り「物語」としてフムフムと読める名著。会社のような国家運営、この人口だから可能なのか。学ぶ点が非常に多いと思う。

  • 実態がつかみにくいシンガポールについて、前半の内容からある程度とらえることができた。ただ、中盤から、後半にかけて、各指導者の話に移るとあまり頭に入らなかった。

  • シンガポールの歴史を紹介した本。

    民主主義政治は独裁政権より非効率だという。
    現在の日本の政治などは、多分正にその非効率に蝕まれているように感じられる。

    豊かさを求めるとするならば、迂遠な方法ばかりを選んでいるのではなかろうか。
    それでも、長期的に見て、大きく誤る可能性が低いというメリットにかけているということなんだろう。

    シンガポールは、どちらかといえば、独裁的な方法を選んできたようだ。
    日本と比べ、各種条件に恵まれないために、効率的な方法を選ばざるを得ないという社会的な合意が底流にあるのだろう。

    全く違う国だということが、よくわかった。

    また、第二次世界大戦では、日本はシンガポールで恐ろしい行為を行ったということが紹介されている。
    そうしたことも、しっかり覚えておく必要があると改めて感じた。

  • 教育システムの項と最終章が面白い。
    断片的に知ってはいたが、ここまで、個人製作によるモンスター都市国家であるとは知らなかった。

  • 2013 9/15読了。Amazonで購入。
    IFLA・シンガポール大会の話からシンガポールの歴史の話になって、「この本が面白い!」とすすめていただいたでの手にとってみた本。
    なんであんな狭い、水も自給できないような島が独立国になっているのか・・・と気になって読んでみたが、非常に納得した。独立じゃなくて追放だったのか!!

    経済成長をなにより優先し、そのためなら自由も制限するという小さな経済大国がいかに生まれたか、その体制を築いたリー・クアンユーとその後について描く。
    めちゃめちゃおもしろかった+まだそのリー・クアンユーが存命っていうことに凄いよなあ、とか思ったり。

  • シンガポール旅行前&中に読み、旅行がより楽しめた。
    資源がない国が生き抜くために、思い切った政策をとる。日本が真似できない潔さはうらやましい。
    教育の目的は、優秀な生徒にエリート教育を施して官僚にすること。
    外資企業を積極的に誘致する。
    外国から出稼ぎに来た低賃金労働者の定住は認めていない。シンガポールの知的水準が低下することを懸念したから。
    娯楽産業への投資。マリーナ・ベイ・サンズはカジノメインなのか。

  • シンガポールの華やかさと不思議さ(不気味さというか…)の理由は政治にあった。
    シンガポールを知らない状態で読むのもよいが、同国の経済や教育の発展に目を見張ってから読むとなおよい。

    教育制度について知るのにも適している。簡潔だが、教育と政治の関係が明快に説明されている。
    マレーシア史と読み比べると面白そう。

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物語 シンガポールの歴史 (中公新書)の作品紹介

一人当たりのGDPで日本を抜きアジアで最も豊かな国とされるシンガポール。一九六五年にマレーシアから分離独立した華人中心の都市国家は、英語教育エリートによる一党支配の下、国際加工基地・金融センターとして発展した。それは表現・言論の自由を抑圧し、徹底的な能力別教育を行うなど、経済至上主義を貫いた"成果"でもあった。本書は、英国植民地時代から、日本占領、そして独立し現在に至る二〇〇年の軌跡を描く。

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