戦略論の名著 - 孫子、マキアヴェリから現代まで (中公新書 2215)
- 中央公論新社 (2013年4月24日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (225ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121022158
作品紹介・あらすじ
戦略とは何か。勝ち抜き生き残るために、いかなる戦略をとるべきなのか-。古今東西の戦略思想家たちの叡智が結集された戦略論の中から、『失敗の本質』で知られる編著者が現代人必読の12冊を厳選。孫子、マキアヴェリ、クラウゼヴィッツの三大古典から20世紀の石原莞爾、リデルハート、クレフェルト、そして21世紀の最新理論まで網羅し、第一線の研究者が詳細に解説する決定版。各章末に「戦略の名言」を付す。
感想・レビュー・書評
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著者厳選の12戦略を概観できる。共同執筆であるため、『失敗の本質』『戦略の本質』同様、各編ごとに言い回しや表現が異なり、編が変わるごとに違和感があるのはやむを得ない。ただ、戦略論を通じて、世の為政者の、市民・国民のあるべき姿が見えてくることは間違いない。
「ほんとうに「平和」を実現したいと望むなら、戦争のなかに現れる人間の弱さや浅ましさ、愚かさなどの感情すべてを平常心をもって、リアリティとして受け入れなければならない。」詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
本書では12の戦略論の名著が選りすぐられて紹介されています。古くは「孫子」「君主論」からはじまり、最後の章は「アストロポリティーク」ということで宇宙空間に地政学のフレームを当てはめた本までが紹介されていて、なかなかユニークです。紹介されている12の本を題名だけ見ればわかるように、これは企業戦略ではなく、文字通り戦争での戦略を論じた古今東西の名著と言うことで、もちろん企業戦略にも適応できるのだ、という意見もあるとは思いますが、直接的には国家戦略を意識しています(紹介している教授陣も防衛大関係者が多い)。
私自身本書は大変興味深く読みましたし、実際、君主論などはとても好きな本です。ただ企業経営に関係している身からすると、本書を読んで、たとえば「アストロポリティーク」を読もう、という気には正直ならなかった感じです。なるほど世の中にはこういう研究をしている人がいるのだな、ということで、それは自分の意識が低いからかもしれませんが、本書の想定しているメイン読者は日本の政治家、官僚でしょうか。これらの人々は本書を通じて、原著まで読み、日本の国家戦略に磨きをかけてもらえればと思います。 -
中央区
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2021.07.30 社内読書部で話題になる。読みたい。
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戦略や安全保障に関して欠けるところのある現代日本人のために、戦略論の名著と言えるものを野中郁次郎氏が12冊ピックアップし、それぞれ執筆者が解説を書いている。
なお12冊は孫子、君主論、戦争論、海上権力史論、遊撃戦論、戦争史大観、リデルハートの戦略論、ルトワックの戦略、戦争の変遷、グレイの現代の戦略、ノックス&マーレーの軍事革命とRMAの戦略史、ドールマンのアストロポリティーク。 -
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筆者が選定した、戦略論の名著を紹介。本書に掲載されている数々の戦略論の中で共通しているのは、「平和を求めるなら、抑止・撃退し得る戦略・策略を備えておくべし」ということ。
当たり前のようであるが、戦争を避ける日本人の中には抑止力としての武力を保持することに抵抗を持つ人もいるのではないか。 -
太古から現代まで古典とされるべき著書の解説書。邦訳されていないものの紹介も多く、これを機に訳されることを期待したい。古いものは、経営学にも参照されることが多いが、現代に近づくにつれ、いわゆる「戦略論」と経営学における「経営戦略論」との乖離が大きくなることは発見であった。戦略はあくまでも目的達成の方法であり、競争相手を叩きのめすこと(それが目的の一部であってもならない)ではないことを肝に銘じたい。