英文法の楽園 - 日本人の知らない105の秘密 (中公新書 2231)

著者 :
  • 中央公論新社
3.80
  • (5)
  • (15)
  • (9)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 168
感想 : 22
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (212ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121022318

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 本質的な疑問やちょっとした言い回しの意味合いなど、英語に関心を持つ人々の質問に対し、良質な例文で解説を進めるスタイルは、読み易く、頭にすっと入っていく。教育現場で、こうした英語の教え方が取り入れられれば、理解力促進に効果あり。

  •  もともとは新聞の英文法コーナー(?)に寄せられた質問への回答集で、見開きで分かりやすく説明されている。例文の量もちょうどよく、とても読みやすい。質問の内容は中学英語から大学受験英語までに関するもので、英語の奥深い部分をついたものが多い。例えばhairとhairsの違いは何か、「仮定法未来」にshouldを使う理由、命令文に主語がある場合、など。大学の英語学関連の書籍は、いくら入門書と言ってもやっぱり最後まできっちり読むのは大学生とか英語の先生だろうけど、この新書は万人が読める。
     おれがこの本で覚えておきたいことを書き出す。まずMay I have a moment of your time?(p.29)という表現は使ったことなかった。進行形でalwaysを伴って話者の苛立ちを表す、というのは大学英文法でよく出てくるが、have toやmustで似たようなことを表すというのは知らなかった。というかこの2つは語用論的にそういった意味が生じる、ということだろうけども。例えばJust as the situation got very delicate, Kelly had to put his foot in it.の後半、「ケリーのやつがヘマをしやがって」(p.43)のように訳せたかどうか、おれは怪しい。portionという単語は知っていても使えない単語だったが、用例がたくさん載っているので、使える英語にしたい。Give me a smaller portion, please.(私はちょっとでいいから)(p.53)のような表現は便利だと思う。this manというのが出てきて、「語りのなかで初出のものを導入するときにいきなりthisを用いる」(p.81)というのは正直気付かなかった。Then this woman came up to me...で「ある女性が」と訳せるかどうか。「~を日本語で何といいますか」はバカの1つ覚えでHow do you say ~かWhat do you call ~しかおれは使えないが、What's the word for "weasel" in Japanese?(p.181)もシンプルで使える表現だなと思った。speak ill of ~というイディオムが「ひじょうに古い表現」(p.188)で、ふつうにsay bad things(badly) about ~がいいとか、アメリカ人はbad-mouth Aなんて表現を使う、というのは、いわゆる受験イディオムを探せば他にも色々あるんだろうし、確かそういうのを集めた本もあったはずだから、機会を見つけて勉強したいと思った。
     というように、自分の知らないこと、使えそうなことなどいろいろ探しながら読むのは面白く、まさに「楽園」という感じだった。(15/07/12)

  • 面白かった。東京新聞のコラムからの抜粋のようだが、日頃思っている英文法が違う解釈で使われるとか、ヘェ〜なるほどと思う英文がたくさんあった。続編を希望します。

  • 雑学的な話が好きなので、mustとhave toの使い分けとか、shouldとneed toとか興味を惹かれました。面白かった!
    でも、英語を教えてる塾講師の人に「~って、こういうことなんですね、面白いですね!」と報告したのに、「まぁ、そういうところに拘ってもね」と一刀両断されてちょっとショック……。
    言葉が面白いのは日本語も英語も一緒なのね、と面白さを共有してもらいたかったのに、なんか残念。
    別に役になんか立たなくても、言葉というか表現が時代とともにどんどん変化していくこととか、同じような日本語訳になっちゃう文でも実はニュアンスに違いがあることとか、私には面白かったです。

  • 英文法というとイディオムや仮定法などめんどくさいイメージがあるが、これは主に口語英語の語法に注目して105の項目を取り上げたもので、元が一般向けの新聞のコラムということもあり読みやすい。柏野健次著「英語語法レファレンス」を底本としたと思われる記事が多いとの指摘もあるが、あちらはもはや専門書の範疇となるため、それを一般人向けに書いたという面では評価できる。

  • 英文法の体系は意識しながらも、それぞれの項目が簡潔にわかりやすく説明されていて、気軽に学習できる英文法の読み物。
    日常生活の中でイメージできる、長すぎず短かすぎない例文により、本当に楽しく理解できる。
    ためになる良い本だと思う。

  • ・留守番電話でleave your messageとはならない。yourは所有をあらわすが、そうするとすでに存在しているmessageを残して、という変な意味に。leave a messageとなる。
    ・have toは、あきれたかんじで「きまって・・する」という意味にもなる。
    ・everyoneはtheyで受ける。
    ・犬派、猫派は、a dof person、a cat personでOK.
    ・maybeは50パーセントくらいの、そんなに高くない確率。
    ・ドンマイと言うが、don' t mindという英語はない。never mind という。

  • 色々と勉強になった。なるほどと思わされた。かなりためになった。著者さんに感謝。
    例えば、
    現在完了形の考え方は過去に起きたことを持っていると考える。I have fallen in love with her. であれば、彼女に恋してしまったという過去の出来事を今現在も抱えている、つまり今も恋しているということを意味している。
    Shall we ・・・? は古めかしい表現で、今は使わない。代わりに Should we ・・・? やLet's ・・・, shall we ? を使うが、非常に丁寧な感じがする。
    I must は自分の意思で決めた義務を表し、I have to は周囲の事情によって決められた必然的義務を表す。なので、依頼を受けて、それを断る際に、~しなければならないのでという場合は、I must を使うと非協力的という印象を与えてしまう。
    ~した方が良いという意味で、might as well を使うことがあるが、もっと興味のあること、もっとましなことがほかにないから、「消極的にある行為を選択する」というニュアンスがある。We might as well go home. は、(ここにいても仕方がないから)、家に帰るとするかというような意味である。
    まだ~ないという場合に、not yet と still not を使うことがあるが、not yet は客観的だが、still not は話し手の主観的なイライラを漂わせることが多い。例えば、The bus still hasn't come. なら話し手はイライラしており、The bus hasn't come yet. なら事実を客観的に述べている。等々。

  • 学校で教える英語と違い、ネイティブが使う英語として微妙なニュアンスの違いを教えてくれる。一度読んだだけでは、覚えられないと思う。実際の英語の文章を読んだり、英会話をする中で、参考にしながら、本当の英語を身につけていくのに、最適の参考書である。

著者プロフィール

河合文化教育研究所研究員(「現代史研究会」主宰)。著書に『日本人のための英語学習法』『はじめてのアメリカ音楽史』(以上、ちくま新書)、『教養として学んでおきたいビートルズ』(マイナビ新書)、『ずばり池波正太郎 』(文春文庫)など多数。

「2023年 『そのまま仕事で使える英語表現189』 で使われていた紹介文から引用しています。」

里中哲彦の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×