四大公害病 - 水俣病、新潟水俣病、イタイイタイ病、四日市公害 (中公新書)

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著者 : 政野淳子
  • 中央公論新社 (2013年10月22日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121022370

四大公害病 - 水俣病、新潟水俣病、イタイイタイ病、四日市公害 (中公新書)の感想・レビュー・書評

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  • 慰霊碑の先に広がる水俣の海青くして静かなりけり

    今年2014年の歌会始で天皇陛下は、2013年10月に熊本県
    水俣市を訪れ、慰霊碑に供花した際、碑の先に広がる水俣の
    海を詠まれた。

    静かに広がる青い海は、その昔、毒をたたえた海でもあった。
    熊本県水俣市だけではない。

    新潟県の阿賀野川、富山県の神通川流域、三重県四日市市
    の空。そこは毒の川であり、毒の空だった。

    本書は未だに続く日本の四大公害病の経緯と、被害者と加害
    企業との闘争、その後の経過までをコンパクトにまとめている。

    これは私の偏見なのだが、女性の書き手はえてして感情に
    走りがち。だが、本書の著者は感情を排除し、事実を淡々と
    積み重ねて非常に分かり易く記述している。それだけで好感
    が持てる。

    日本の公害病については高度経済成長の陰で犠牲になった
    との見方もあるのだろうが、イタイイタイ病なんて大正期から
    その症状が確認されていたんだよな。

    それが戦中・戦後のどさくさで放っておかれた。そして、一部
    地域の人たちの健康よりも、企業の発展を優先した結果が
    健康や命という、取り返しのつかないものを失わせた。

    水俣病の患者認定については、21世紀の今になっても
    解決していない。国民よりも企業に重きを置いて来た日本
    の政治は、被害にあった人々が死ぬのを待っているの
    じゃないか。

    それぞれの公害について、原因企業は賠償金の支払い
    こそすれ、企業犯罪には問われていない。

    「人の死を金であがなうことはできないのである。ところが、
    企業はすべて金銭で解決したような感覚を持っている。
    (中略)これからは企業の証拠いん滅も巧妙になり、ます
    ますその度を加えるだろう。しかも民事という限られた
    ワクの中だけで、工場のヘイの外から素手でこれをやり
    とげようとすれば、長い年月と血のにじむような苦労を
    必要とすただけではなく、その間にも公害はどんどん
    進行して、多くの人の生命や健康がうばわれていく。
    その間、国が漫然と拱手傍観することが、いちぢるしく
    非条理なことに思えてならないのである。」

    四日市公害裁判前に、原因企業を摘発した四日市海上
    保安部の田尻宗昭の言葉は、今にも通じるはずである。

    そう。福島第一原発事故である。

    本書はデータも豊富に掲載された良書だ。

  • 四大公害病について、各公害毎に4章、終章の構成をしている。各章は同じ点から見ているのではなく、章の副題を中心に展開されていた。
     第一章水俣病―潜在患者二〇万人と呼ばれる「悲劇」
     第二章新潟水俣病―省庁の抵抗と四大公害病初の提訴
     第三章イタイイタイ病―救済に挑んだ医師と弁護士たち
     第四章四日市公害―大気汚染という高度成長の重い影
     終章公害病と二一世紀
    あとがきにもあるように、この項数で4大公害をまとめるのは難しい。公害を語るのに、どうしても裁判の記述が多くなってしまう。しかたのない事なのかなと感じた。
     新潟水俣病のなかで、メチル水銀の流出を防止した企業(大日本セルロイド・日本曹達(ニホンソーダ)二木工場)があったのは、初めって知った(P84)。当時の流出防止を決定したいきさつについて詳しく知りたいと思った。
     また裁判を始め多くの人の思惑が絡み合ったのが印象に残った。

  • 4大公害を比較しつつ読むのに良書。

  • 中国の大気や水質の汚染問題のニュースを見て、人ごとだと思っていたけれど、日本でもつい最近まで公害が大きな問題だった、とあらためて認識。企業人も必読の一冊。

  • タイトルとおり四大公害病すなわち、水俣病、イタイイタイ病、新潟水俣病、四日市ぜんそくについて被害者の視点に立って解説する。近年は公害という言葉自体を聞かず、アメニティの維持や持続的開発という観点での環境問題がクローズアップされる事が多く、その点では公害は克服されたといえるのかもしれないが、本書を読むと被害者への補償が十分に進んでいるとは感じられず、まだ公害は残っているのだと感じた。また一企業のてきとうな考えが付近に住む人々へ取り返しのつかない大きな悪影響をおよぼすことに絶望を感じた。どっかの磁気で走るらしい速い箱をつくろうとしている企業に見せてやりたいものである。

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四大公害病 - 水俣病、新潟水俣病、イタイイタイ病、四日市公害 (中公新書)の作品紹介

四大公害病とは、水俣病、新潟水俣病、イタイイタイ病、四日市公害を指す。工場廃液などが痙攣、激痛、発作といった重い障害を多くの人にもたらした。当初、企業は工場との関係を否定。だが医師・研究者らが原因を究明し、1960年代末以降、患者が各地で提訴。70年代半ばまでに次々と勝利した。本書は高度成長の「影」である公害病の全貌を明らかにすると同時に、21世紀の今なお続く"認定"をめぐる国と被害者との訴訟・齟齬も追う。

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