禁欲のヨーロッパ - 修道院の起源 (中公新書)

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著者 : 佐藤彰一
  • 中央公論新社 (2014年2月24日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (282ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121022530

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禁欲のヨーロッパ - 修道院の起源 (中公新書)の感想・レビュー・書評

  • 修道院の歴史と言うよりも、修道院が成立する前史。ギリシア・ローマ時代から、なぜこのような禁欲的な生き方が生まれてきたのかと解き明かしています。西洋史に詳しくないので、古代ローマの女性の社会的立場から、キリスト教がローマの国境になってからの修道的生き方との繋がりがちょっと理解しづらかったです。ただ、キリスト教国教化に伴って、貴族が司教のポストを争ったり、その司教が修道院を支配下に置こうとしたり、後半になるとかなり禁欲とは無縁の生臭い話になっています。中世以降の修道院についても続編執筆の予定があるようなので、そちらも期待。

  • 禁欲は最近の自分にとってのキーワードであり,たまたま見かけた本書を読んでみた.宗教・歴史的素養がなくても読めるのはありがたいが,逆に言えば禁欲に直接関係しない記述がかなり長い.よって,歴史書として興味深い一冊ではあるものの,オススメするかと問われれば微妙ではある.★3.5個くらいの評価.

  • 信仰を深め全うするために世俗的・肉体的な欲望(特に性的なそれ)から離れようとする志向は、洋の東西を問わず多くの宗教に共通する。そうした「禁欲」の中でも、キリスト教における代表的なあり方である「修道院」制度の成立を追った一冊。
    修道院という制度は、どのような理論や信念のもと成立したのか。そして、それらはどのようにして受容され広くヨーロッパ全土へ広がっていったのか。
    著者はまずその前提としてギリシア文化や帝政ローマの状況から始める。ギリシアやローマにおいてもやはり禁欲は重要な位置を占め、それがキリスト教的な修道院制度の萌芽を支えたという。
    そして、後半では4世紀以降、修道院制度がガリア地方に広く伝播していく過程を分析する。そこでは、聖マルティヌスとレランス修道院における宗教的実践の重要性が強調される。
    こうして見ると、禁欲というものがいかに切実な問題であったかということがわかる。性的な快感や興奮抜きの性行為を模索したり、夢精は信仰的にいいのか悪いのか議論したりというのは、現代の視点から見ればしょうもないことではあるが、当時の状況、当時の倫理観にとってみれば信仰を守るために禁欲とは極めて重要なことだった。そうした信仰の実践の極北として結実したのが修道院という制度だったと。
    かなり細かい議論が多いので前提知識がないと難しいが、信仰のあり方を再考するにはとてもいい一冊だと思う。

  • 古代ギリシャ人にとって自己の欲望の統制は成人男性としての完成に欠かせないものであった。それがキリスト教時代になると集団の規律が優先となり自己の放棄こそ推奨される。これがミシェル・フーコーによる認識の枠組みだが、西洋中世史家による本書はそれを歴史的に跡付ける試みである。
    「禁欲」というキーワードにまつわるさまざま、ヒポクラテスやガレノスによる医学的知の節制や養生論、エジプト修道者の飢餓との戦い、男性社会の女性や子供の扱いなどなどの現象が紡ぐ禁欲の系譜は、いずれ科学につらなる因果論的病因論の起源、戒律が導き出した労働や戦闘そして教会権力という政治社会学への広がりまでも示唆する。
    ニーチェ以前、以後の考察の重要な土台である。

  • 6世紀までのキリスト教修道院の歴史的思想的背景を考察。新書にしては極めてマニアック。
    ギリシア時代の肉体の鍛錬、食事への関心が大元となり、その後ローマ時代でのより官僚的な状況での形式化された欲望の統制に変容していく。一方婦女子の抑圧された状況から彼女らがキリスト教とそれと結びついた禁欲主義に傾倒していき、ローマ世界のキリスト教化の契機となる。一方同時期のエジプトでは町を離れた僧が砂漠に庵を構えて修道生活に入り、それが大量化集団化し修道院の源流となる。寄進と労働によって質素な食料をまかない、生活道具の政策/写本などの労働を行う。
    ローマがゲルマン人に駆逐される中で流動化した貴族層が修道生活を選択する場面も出てくる。またキリスト教ヒエラルキーの中で修道院が司教制度のもとに組み入れられていく一方で地方荘園/封建制と結びついた独立機運も生まれてくる。

  • 前半のパートが特に面白かった。キリスト教が広まる時代のことをギリシャローマ時代との連続性で語られていて、なるほどなぁ、と思った。

  • 歴史の中の身体を丹念に見ていくことで修道制誕生が歴史的・文化的にどう生まれていくか丹念に追った好著。新書なめるなの1冊。

  • 予想外の内容でしたが、面白かったです。

  • 20140309~0317 大学での講義がベースなだけあって、時代背景の説明が丁寧。『禁欲』のヨーロッパ史の前段としてのギリシア・ローマの結婚・家庭事情が興味深かった。それにしても、禁欲とか言いながら修道士間での同性愛や少年への性的虐待って、ミレニアム規模で続くのね…
    著者は続巻も刊行予定なのでそれも期待!

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禁欲のヨーロッパ - 修道院の起源 (中公新書)の作品紹介

多くの宗教で、性欲・金銭欲などの自らの欲求を断ち切り、克服することが求められる。キリスト教も同様だが、それではヨーロッパにおける「禁欲の思想」はいつ生まれ、どのように変化していったのか。身体を鍛練する古代ギリシアから、法に縛られたローマ時代を経て、キリスト教の広がりとともに修道制が生まれ、修道院が誕生するまで-。千年に及ぶヨーロッパ古代の思想史を「禁欲」という視点から照らし出す意欲作。

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