ヒトラー演説 - 熱狂の真実 (中公新書)

  • 337人登録
  • 3.72評価
    • (13)
    • (30)
    • (26)
    • (2)
    • (1)
  • 31レビュー
著者 : 高田博行
  • 中央公論新社 (2014年6月24日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121022721

ヒトラー演説 - 熱狂の真実 (中公新書)の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • ちょっと不謹慎な感想だが、ヒトラーの演説って一世を風靡した一発屋芸人のネタみたいなものだったんじゃないかって思えた。彼の演説パフォーマンスは大衆に大受けしたものの、政権獲得後、演説会場の熱狂的な雰囲気をラジオを通じて全国に広めようとした時期には既にドイツ国民はその演説に飽き始めていた。。ナチズムに賛同できるはずもないが、演説パフォーマンスに代わって国民を魅了するネタを作れなかったのもナチスの限界だったのではないか。それは経済発展や国際的地位の回復といったことなのかもしれないが、プロパガンダに頼りすぎると、リアルな成果を上げることは二の次になってしまうのだろう。

  • 張り上げた声、大袈裟なジェスチャー。演説するヒトラーに熱狂する
    会場の人々。何故、人々はこれほどまでにヒトラーに熱狂し、支持を
    したのか。

    ヒトラーが行った節目節目の演説をつぶさに分析しているのかと思って
    購入したのだが、さにあらん。

    1919年10月のミュンヘンのビアホールで行われた初の公開演説から
    地下壕で最期を迎えるまで。ヒトラーが行った演説で使われた言葉や
    表現方法の変遷を年代順に追っている。

    思っていた内容とは違ったけれど、これはこれで興味深かった。ヒトラー
    と言えばやはりユダヤ人への弾圧を思い浮かべるのだけれど、一時期
    の演説では「平和」という言葉が多用されていたなんて知らなかった。

    元々、演説家としての天賦の才はあったのだろうな。それに磨きをかけ
    たのがオペラ歌手による指導。声の出し方、抑揚のつけ方に加えて
    効果的な身振り・手振りを教わって、聴覚ばかりか視覚までを惹きつけ
    る演説に仕上がって行った。

    しかし、熱烈なナチ支持者以外のドイツ国民は結構早い時期にヒトラーの
    演説に飽きていたっていうのも知らなかったわ。

    政権を手にしてラジオ放送を独占できるようになり、「全ドイツ国民は総統
    の演説を聞かねばならぬ」となったのが原因か。会場で響き渡る声を耳に
    し、言葉を印象付けるジェスチャーを目にしながら聞くのは状況が違う
    ものな。

    末期のヒトラーは既に得意だった演説をする気もなく、したとしても以前の
    ように人々を惹きつけることもなくなった。それどころか、将校たちを前に
    しての演説でも将校から皮肉を返される始末。

    演説は天がヒトラーに与えた才能だったのだろうな。でも、それさえも用を
    果たさなくなるのが独裁者の末路なのかも。

    膨大な言葉のデータを集め、分析した著者の根気が凄いわ。巻末にいくつ
    かの演説のドイツ語文で掲載されている。私がドイツ語を理解できれば
    もっと面白く読めたんだろうな。

    語学の才能も「ゼロ」の自分が恨めしい。

  • 2017/01/26

  • [妖惑の所以]熱狂的な身振りと扇情的な叫声、そして過激なレトリックに満ちているものと思われがちなヒトラーによる演説。国民を鼓舞し、「狂気」へと駆り立てていったとされる演説の実態はいかなるものであったかを、計量的なデータや音声や映像の記録をもとに検証した作品です。著者は、大阪外国語大学の教授などを歴任され、近現代のドイツ語史を専門とする高田博行。


    ナチスやヒトラーに関する作品は数あれど、弁論術や言語データを利用しながらここまでその本質に迫った研究は珍しいのではないでしょうか。ヒトラーの歩みに合わせたドイツの歴史を縦軸に、言語論的な情報を横軸に据えながら、ヒトラーの演説が解き明かされていく様子は圧巻の一言です。


    〜国民を鼓舞できないヒトラー演説、国民が異議を挟むヒトラー演説、そしてヒトラー自身がやる気をなくしたヒトラー演説。このようなヒトラー演説の真実が、われわれの持っているヒトラー演説のイメージと矛盾するとすれば、それはヒトラーをカリスマとして描くナチスドイツのプロパガンダに、八〇年以上も経った今なおわれわれが惑わされている証であろう。現在そして今後とも、われわれが政治家の演説を目にし耳にするときには、膨らまされた「パンの夢」に踊らされ熱狂している自分がいないかどうか、歴史に学んで冷静に判断できるわれわれでありたいと思う。〜

    着眼点の勝利☆5つ

  • 150万語に及ぶ演説原稿を書き起こし、それをコンピュータにかけて単語の出現頻度等々を定量的に分析したものを素材として、「史上最凶の煽動者」ヒトラーに迫る好著。本書の優れているのは、こういったハード面からの分析と、身ぶりや抑揚、聴衆を鼓舞する演出といったソフト面のそれの両方が、ともに高いレベルで達成されている点である。著者は言語学者だということだが、私はてっきりレトリック、あるいは宣伝の専門家だとばかり思っていた。そのくらい、その方面の指摘も鋭いのである。
    こけおどしの「魔術的」なヒトラー(および彼の演説)を、後世の私たちもまた「恐るべき」「悪魔」などとふんわりしたもの言いで大雑把にくくることが多かったが、こうして科学的に丸裸にされた彼は、尾羽うち枯らしてむしろ哀れですらある。21世紀の今、書かれるべきだった良書と言えよう。

    2016/9/15〜9/25読了

  • 「20世紀最大の独裁者」「悪魔」として名高いヒトラーの人の心をつかむ演説を分析・解説された本。ヒトラー自身が言葉を印象をつけ扇動する力、動き、単語の使い方など熱心に研究した形跡は脱帽しました。出てくるタイミングや時代がそうさせたというのもあるかもしれないが、なぜ現代にも彼のような「演説のカリスマ」が出てこないのか疑問でもある。

  • 時間切れ 歴史 伝記として面白い

  • ま、普通

  • 25年間150万語に及ぶ演説のデータを分析した物。
    意外だったのは政権をとってからのヒトラーは演説を面倒臭がってやらなかったということ。

  • ナチスが権力を掌握するにあたっては、ヒトラーの演説力が大きな役割を果たした。

    大衆の受容能力は非常に限定的で理解力は小さく、その分忘却力は大きい。もっとも単純な概念を1000回繰り返して初めて、大衆はその概念を記憶することができる。
    その時々の聴衆の心に話かける。
    群衆の心を動かす術を心得ている演説家は、感情に訴えるのであって、決して理情に訴えはしない。
    ヒトラーの演説に力があったのは、聴衆からの信頼、聴衆との一体感があったからであった。
    我が闘争、話される言葉の威力、マイクとラウドスピーカー、ラジオと映画、演説者のカリスマ性が刷り込まれた。

全31件中 1 - 10件を表示

高田博行の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
ウォルター・アイ...
ジャレド・ダイア...
ウィリアム・H・...
有効な右矢印 無効な右矢印

ヒトラー演説 - 熱狂の真実 (中公新書)を本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

ヒトラー演説 - 熱狂の真実 (中公新書)の作品紹介

ナチスが権力を掌握するにあたっては、ヒトラーの演説力が大きな役割を果たした。ヒトラーの演説といえば、声を張り上げ、大きな身振りで聴衆を煽り立てるイメージが強いが、実際はどうだったのか。聴衆は演説にいつも熱狂したのか。本書では、ヒトラーの政界登場からドイツ敗戦までの二五年間、一五〇万語に及ぶ演説データを分析。レトリックや表現などの面から煽動政治家の実像を明らかにする。

ツイートする