スターリン - 「非道の独裁者」の実像 (中公新書)

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著者 : 横手慎二
  • 中央公論新社 (2014年7月24日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (318ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121022745

スターリン - 「非道の独裁者」の実像 (中公新書)の感想・レビュー・書評

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  • スターリンが「非道の独裁者」であったことは確かだが、むしろ彼はレーニンの赤色テロに学んでいる。1990年代以降の解禁文書で明らかになったレーニンによる戦慄すべき指示が、そのことを示している。

    さらに言えば、当時のロシアの経済状態や、干渉戦争・侵略戦争にさらされるという強い留保が必要だとはいえ、国家権力を奪取して「プロレタリア独裁」を通じて社会主義革命をおこし、革命プロセスを遂行するということは、こうした暴力によらざるをえないのではないか、ということになってしまうのではないか。

    とすると、国家権力の奪取によって社会主義革命を成し遂げるということそれ自体に、「スターリン」がすでに内在していたのではないか。逆に言えば、「スターリン」を出現させないような社会主義革命がもし可能だとすれば、それはどのような道によるのか。そうした問いが立てられるのではないか。

    旧左翼が言うように、「別の道」は本当にありえたのだろうか。

  • 「毎日新聞」(2014年9月28日付朝刊)で、
    加藤陽子さんが紹介しています。
    (2014年9月29日)

  • スターリン 鋼鉄の人

    なんと、本名ではない。何となく知っていたスターリンのことがよくわかる。 辺境の少数民族に対する迫害、
    テロルを行ったが、自分自身もグルジアの出身。 よくわからないメンタル。 大局を見据えての行動か、はたまた他人の痛みに鈍感な権力の亡者…。 人口が多いと扱いも雜。毛沢東然り。

  • 読了。

  • スターリンという人物ほど評価の分かれる人はいない。しかも、ソビエト連邦を率いた独裁者だけあって経歴の謎の部分が多い。
    本書はスターリン関係の研究や書物を幅広く取り上げ、スターリンの経歴や評価について紹介されている。

    読んでて、スターリンの人生の中でのポイントと思われるのは、まずはグルジアに生まれた育ったこと。いわゆる「ソソ」の時代。そしてカフカース地域で生きたことで民族問題に取り分け関心があったこと(これが現在のロシア民族問題につながっていく)。幼少期の家庭環境や神学校時代に馴染めなかったことなど様々な事象がある。

    次に神学校から退校処分後の「コーバ」の時代。社会革命に共鳴し、地下活動を開始。1903年にはロシア社会民主労働党ポリシェヴィキに属し、潜伏活動。捕まればシベリア流刑という死と隣り合わせの時期である。この時期にスターリンの疑り深い人格が形成されていく。
    この時期に出会ったレーニンの影響も計り知れない。レーニンの「赤テロル」など強硬な手法は後のスターリンにも引き継がれていく。

    ロシア革命後の政争、カーメネフ、ジノヴィエフとの争い。トロツキーとの争い。この時期になるとスターリンのしたたかさが滲み出てくる。

    1928年より、スターリンの否定的評価の土台となる数度の「5ヵ年計画」が実行される。当時はイギリスとの関係も悪化しており(後に対ドイツで協調に転換)、目下の課題は工業力であり軍事力であった。
    工業力を高めるためには資本を工業分野に投入する必要がある。そのためスターリンは農民の中でも富裕と見なした者から膨大な税を課し、その他農民からも搾取した。この施策により、死者数は数百万とも数千万人とも言われている膨大な人数であり定かではない。

    さらに1930年代以降は粛清の嵐である。三人法廷(トロイカ)を設け、ジノヴィエフやカーメネフ、トゥハチェフスキーらが処刑されていく。さらにキーロフやトロツキーの暗殺などもある。

    そして第二次世界大戦では例えば1939年フィンランド戦争、1941年から始まったドイツのソ連侵攻の際の攻防戦では、大人数の軍隊の突撃戦を繰り返して膨大な死者を出している。これは1939年ノモンハン事件の際にソ連軍死者数は日本軍死者数の約10倍という数からも無謀な作戦であるということが分かるだろう。
    ただし、結果的にスターリンは第二次世界大戦の勝者となり、戦後すぐもアメリカとの協調関係は維持する必要性も理解していたらしい。この点は政治家スターリンの凄さと言えよう。

    そういう意味では戦後の医師団事件やメグレル事件などのでっちあげ事件はスターリンの晩年ということもあり、耄碌した末に起こしたのかもしれない。

    上記に書き連ねたようにスターリンの歴史を紐解くと人間スターリンが垣間見えると同時に、スターリンの功罪も少し見えてくる。この功罪を今後どう評価していくかが課題となるのだろう。

  • スターリンという人物の概略を知りたかったので読んでみた本。著者のいうところでは,一般に持たれているような残虐非道の政治指導者ではなく,国内外での評価も相半ばしているそうだ。

  • スターリンを再検証する一冊。特にソ連後のロシアでの評価が興味深い。国内と外国とでこれだけ評価が分かれる人物ってすごい。
    歴史で語られる、つまり著者が言うところの一般のスターリンに対する評価以上のものは持っていなかった。
    なぜスターリンが集団農場化を進めたのか、大虐殺はどんな文脈のうえにあったのかがよく分かる。非道としか言いようがない。でもどんな革命もテロ無しには存在しない。フランス革命も相当なものだったわけだけど、歴史は敗者が語るものではないからね。
    第二次世界大戦の最大の勝者はスターリンなんだと思う。人道的側面に目を瞑れば、やっぱり凄い人物だったとしか言いようがない。

  • 恥ずかしながら、世界史には明るくない。
    なので、スターリンのことも詳しくない。

    その上で、この本を読んだ。
    そうすると、素直に彼の思考回路が理解できた。
    いや、著者が予想するスターリンの動きが。
    実に、論理的だ。
    これは、史料があったからこそ成せることであり、冷戦下、ましてや戦時中には不可能だっただろう。

    そう考えると、このタイミングに出版されたのもうなずける。
    むしろ、このタイミングだから多くの関心を本書が得られたのだろう。

  • ソ連史について殆ど予備知識なく読んだが、このスターリンという男は、農民を餓死させ、妻を自殺に追い込み、側近を粛清しまくったという、ある意味イメージ通りの超絶非情な人物であった。唯一評価できるのは、ヒトラーを打ち負かしたという一点ではないだろうか。某元都知事や某新聞社オーナーがまるで少年のように思えてきた。

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スターリン - 「非道の独裁者」の実像 (中公新書)の作品紹介

「非道の独裁者」-日本人の多くが抱くスターリンのイメージだろう。一九二〇年代末にソ連の指導的地位を固めて以降、農業集団化や大粛清により大量の死者を出し、晩年は猜疑心から側近を次々逮捕させた。だが、それでも彼を評価するロシア人が今なお多いのはなぜか。ソ連崩壊後の新史料をもとに、グルジアに生まれ、革命家として頭角を現し、最高指導者としてヒトラーやアメリカと渡りあった生涯をたどる。

スターリン - 「非道の独裁者」の実像 (中公新書)はこんな本です

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