地方消滅 - 東京一極集中が招く人口急減 (中公新書)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (243ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121022820

感想・レビュー・書評

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  •  いわゆる増田レポート。話題のこの本が起点となって、記事・論文・書籍で反応があった。固い話題なので、それまでの蓄積は踏まえられていたのは幸い。
     一応、章末に担当者・担当部署が明記されている(しかし目次に書いてもよかったはずだ)。一番の問題点は、実際の担当者が誰か(分科会メンバーのうちの誰か)、本書だけでは分からないこと。

    【版元】
    http://www.chuko.co.jp/shinsho/2014/08/102282.html

    【執筆】
    編著:増田 寛也[ますだ・ひろや] (1951-) 元・官僚、政治家。刊行当時の肩書は、「日本創成会議人口減少問題検討分科会座長」。

    ◆ 日本創成会議 人口減少問題検討分科会 ◆
    岡本 保[おかもと・たもつ] 野村資本市場研究所顧問
    加藤 久和[かとう・ひさかず] 明治大学教授
    齊藤 英和[さいとう・ひでかず] 国立成育医療研究センター副周産期・母性診療センター長
    白波瀬 佐和子[しらはせ・さわこ] 東京大学大学院教授
    高橋 泰[たかはし・たい] 国際医療福祉大学大学院教授
    橘・フクシマ・咲江[たちばな・ふくしまさきえ] G&S Global Advisors Inc. 社長
    丹呉 泰健[たんご・やすたけ] 前内閣官房参与
    樋口 美雄[ひぐち・よしお] 慶應義塾大学教授
    平田 竹男[ひらた・たけお] 内閣官房参与
    森地 茂[もりち・しげる] 政策研究大学院大学特別教授

    【目次】
    目次 [i-vi]
    地図 [vii]

    序章 人口急減社会への警鐘 001
    七割に減る人口
    もはや目を逸らせない
    九つの誤解
       第一の誤解:本格的な人口減少は、五〇年、一〇〇年先の遠い将来の話ではないか?
       第二の誤解:人口減少は、日本の人口過密状態を解消するので、むしろ望ましいのではないか?
       第三の誤解:人口減少は地方の問題であり、東京は大丈夫ではないか?
       第四の誤解:日本全体の人口が少なくなるのだから、東京に人口を集中し、生産性を向上させたほうがよいのではないか?
       第五の誤解:近年、日本の出生率は改善しているので、このままいけば自然と人口減少は止まるのではないか?
       第六の誤解:少子化対策はもはや手遅れであり、手の打ちようがないのではないか?
       第七の誤解:出生率は、政策では左右されないのではないか?
       第八の誤解:「子育て支援」が十分な地域でも、出生率は向上していないのではないか?
       第九の誤解:海外からの移民を受け入れれば、人口問題は解決できるのではないか?

    第1章 極点社会の到来──消滅可能性都市896の衝撃 011
    少子化に歯止めはかかっていない
    出生率回復は早いほどよい
    三段階の人口減少プロセス
    地域格差を生んだ「人口移動」
    大都市への若者流入が人口減少に拍車をかけた
    地方の「消滅可能性」とは
    人口移動は収束しない
    八九六の消滅可能性都市、そのうち五二三はさらに深刻
    「極点社会」の到来
    人口のブラックホール現象

    第2章 求められる国家戦略 037
    「マクロ政策」や「地方分権論」を越えて
    かつての「国家戦略」の失敗
    積極的政策と調整的政策
    総合戦略本部と地域戦略協議会の設置
    長期ビジョンと総合戦略の策定

    第3章 東京一極集中に歯止めをかける 017
    「防衛・反転線」の構築
    周囲の都市、過疎地域への影響
    地方中核都市の役割
    コンパクトシティ
    若者を呼び込む街にするために
    中高年の地方移住の支援
    地域経済を支える基盤づくり
    「スキル人材」の再配置
    地域金融の再構築
    農林水産業の再生
    五輪を機に東京圏は「国際都市」へ

    第4章 国民の「希望」をかなえる──少子化対策 069
    「希望出生率」は一・八
    人口の超長期推計
    若者・結婚子育て年収五〇〇万円モデル
    結婚・妊娠・出産の支援
    子育ての支援
    企業における「働き方」の改革
    長時間労働の是正が急務
    企業への評価
    ワークライフマネジメントの実現を
    女性の活躍推進
    女性登用の推進
    「高齢者」の定義の見直しを
    新たな費用は高齢者政策の見直しから
    海外の「高度人材」の受け入れ

    第5章 未来日本の縮図・北海道の地域戦略 095
    人口減少社会日本の縮図
    人口を「全体的」に分析する
    人口を「重層的」に分析する
    市区町村の分析
    地域圏の分析──ダム機能の実態
    釧路圏──主力産業の衰退が人口減少に直結
    旭川圏──若者の流出と高齢者の流入
    北見圏──人口流出の加速と周辺人口の枯渇
    帯広圏──農業を基盤とする安定的な構造
    札幌大都市圏の分析
    第一の基本目標──「地域人口ビジョン」の策定
    第二の基本目標──「新たな地域集積構造」の構築
    ニセコ町、中標津町、音更町に見る「地域の力」
    総人口を維持するために

    第6章 地域が活きる6モデル 125
    若年女性人口増加率ベスト20
    産業誘致型
    ベッドタウン型
    学園都市型
    コンパクトシティ型
    公共財主導型
    カギを握る産業開発型
    秋田県大潟村(農業)
    福井県鯖江市(中小製造業)
    北海道ニセコ町(観光)
    岡山県真庭市(林業)

    対話篇1 やがて東京も収縮し、日本は破綻する[藻谷浩介×増田寛也] 141
    JR東日本とトヨタだけが知っている
    出生率が上がっても子どもの数は増えない
    高齢者がいなくなり行き詰まる地方
    東京は「人口のブラックホール」
    「撤退戦」を本気でやるしかない
    地方に「去る」若者に見るかすかな希望

    対話篇2 人口急減社会への処方箋を探る [小泉進次郎×須田善明×増田寛也] 157
    確度の高い人口予測
    人口減が前提の復興になる
    縮小に向けた住民合意をどう取りつけるか
    「現代版参勤交代」で国と地方を俯瞰する
    「希望出生率」を評価基準に
    東京への流出を止める
    人口「急減」を避けるために

    対話篇3 競争力の高い地方はどこが違うのか [樋口美雄×増田寛也] 179
    有効な対策を立てられるのか
    就業率と出生率の関係
    地域の特性と格差
    グローバル経済とローカル経済
    地域特性を活かした六つのモデル


    おわりに──日本の選択、私たちの選択(二〇一四年七月 増田寛也) [200-204]
    参考文献 [205-206]
    メンバー紹介 [207]
    全国市区町村別の将来推計人口 [208-243]

  • 受賞作品ということで

    集中があっても減少となる人口
    都市集中に利点があるとは感じない

    すべて同質のサービスはなかなか難しいと思う

  • 地方の衰退が日本の喫緊の課題であることは今更言うまでもないが、一冊の本としては微妙。早い話が、散々メディアで言われている「地方がヤバい」という話をえんえんとして、目新しい解決策を示さずに終わっている。何だか官僚主導の堅苦しい勉強会に出席しているような気分になったが、本の冒頭、正に政府の研究会の報告書の引用が長々と続くのだから、そのはずだろう。やや衝撃的なタイトルと藻谷浩介、小泉進二郎といった有名人との対談が載っていることから売れたのだろう。

  • 超話題になった増田寛也元岩手県知事・総務大臣の問題提起本。これによって地方創生の話が始まったといっても過言ではないだろう。ということで必読かと思ったんだけど、かなり読みにくくて眠気が。。。笑。ようやく読み終えた。
    人口減少が終わることないヤバイ課題だということは前から感じていたことで、それを数字を用いて顕在化させてみんなに課題意識をもたせたということが、この本の功績なのだろう。
    少子化、財政赤字、原発事故の3つに共通するのが「終息が見えない」ところだと思う。「いつか終わる」課題なら辛抱すればいいけど、時間が解決しない問題というのは本気で取り組まないとやばいよね。

  • 東京ブラックホール。

  • 地方消滅という問題を初めて提起したという点では価値のある本ですが、具体的に書かれている対策は理想論が多く、現実的ではない気がしました。人口の推移などのデータ類が豊富です。

  • なにかと話題となったので読んでみた。 少子化対策に出生率だけを注目していてはいけない、出産適齢の若年女性人口の推移がかぎになるというのがポイント。 東京が若者を吸い寄せて、子供を生ませないというブラックホール現象はなるほど。 ただ、文章が役人的でうんざりしてくる。答弁書のようで主張には同意できるのに盛り上がれない。

  •  編著者の増田氏(前岩手県知事/元総務相)が座長を務める「日本創生会議」の報告書――通称「増田レポート」を書籍化したもの。
     「2040年までに896の自治体が消滅する」という衝撃的な予測で話題をまいた「増田レポート」を、さらにデータを補強し、対談・鼎談を加えるなどして重層的な内容にしている。

     少し前の「限界集落」は集落が人口減で立ち行かなくなって消滅するという話だったが、こちらは集落どころか自治体そのものが消滅するというのだから、さらに深刻だ。

     本書にまとめられた各種データを見ると、それが無根拠な煽りではなく、いまそこにある危機であることがわかる。とくに、「少子高齢化」という語のイメージとは裏腹に、地方ではすでに高齢者も減り始めている、という指摘に驚かされる。

     その危機に立ち向かうために著者たちが提示する処方箋が、「防衛・反転線」の構築――。すなわち、「山間部を含めたすべての地域に人口減抑制のエネルギーをつぎ込むのではなく、地方中核都市に資源を集中し、そこを最後の砦にして再生を図っていく」という方法である。

     目からウロコの指摘を多く含む本だし、資料的価値は高いが、本として面白いものではない。データの羅列に終始している部分が多く、政府が出す白書に近い内容であるからだ。

     最後の対談・鼎談(月刊『中央公論』掲載の再録)のみ、読み物として楽しめるが、ほかは無味乾燥な印象だ。
     本書は「新書大賞2015」にも選ばれたが、新書大賞は本来、もっと「本として面白い」ものに与えられるべきではないか。

  • 地方自治の勉強という必要に迫られて読んだけど興味は持てなかった。

  • かなりつまらない本だった。
    こういう視点からは、問題は解決しないと思う。

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