日本占領史1945-1952 - 東京・ワシントン・沖縄 (中公新書)

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著者 : 福永文夫
  • 中央公論新社 (2014年12月19日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121022967

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日本占領史1945-1952 - 東京・ワシントン・沖縄 (中公新書)の感想・レビュー・書評

  •  敗戦・降伏からサンフランシスコ講和条約までを対象とする「占領期」の通史としては、神田文人『昭和の歴史8 占領と民主主義』(小学館、1983年)以来久々の傑作。憲法改正や農地改革をはじめとする占領下の諸変革の立案・実施過程、冷戦の進行に伴うアメリカの占領方針の変容過程を具体的に示し、その間の国際関係、アメリカ本国と占領軍との関係、占領軍内部の抗争と日本国内の政治抗争との関係を過不足なく説明している。狭義の政治史にとどまらず、経済の変動や労働運動の動向にも注意している点も評価できる。

     特筆するべきは、副題に「東京・ワシントン・沖縄」とあるように、従来の占領史では無視されるか、あるいは日本本土とは完全別個に叙述されることが多かった沖縄の占領史を、本土の占領と並列的・同時進行的に叙述していること。これによって、「ポツダム宣言」に基づく特殊な間接統治であった本土の占領と、ハーグ陸戦規則に基づく直接統治であった沖縄の占領を対比することができ、沖縄の分離過程と占領政策の転換の関係が理解しやすくなっている。

     近年の占領期関連の研究は、戦前と戦後の連続性を過度に強調して占領改革を過小評価したり、「戦後民主主義」への反感を投影した客観性を欠いた叙述であることもままあるが、本書は戦後日本の出発点として、制約や限界も含めて占領改革を正当に位置づけているのも好感が持てる。講和前後における在日コリアンの地位問題のような旧植民地にかかわる問題への言及が不足している点はマイナスだが、現状では占領期の歴史を学ぶ上でまず手にとるべき良書といえよう。

  • 1945年の敗戦後、マッカーサーを頂点にGHQの支配下に置かれた日本。当初占領政策は非軍事化・民主化を推進、平和主義を追求した日本国憲法が花開く。
    だが冷戦が深まる中、日本を「反共親米」にすべく、政策は経済復興に転換される。51年、朝鮮戦争の最中に結ばれたサンフランシスコ講和条約は日米安保条約とセットの締結となった。
    本書は、21世紀まで続く「戦後体制」が創られた日本占領7年間の全貌を描く。

  • 講和(ほんとうの戦争終結を決定する取り決め)の部分では、講和する時期がちょうど朝鮮戦争と同時期なためのせいか、アメリカは日本の再軍備の意志を探っていたようだ。日本が再軍備してアメリカの軍事行動に随伴することを望んでいたようだった。最終的には吉田茂首相は、アメリカにおされるような感じで保安隊の創設を口にするけれども、軍国主義者がまた権力を握る危険性などを考えて、再軍備はしないという憲法の方針のままを貫こうとする。でも、アメリカは将来の軍備も容認するという寛容な講和条件をだすんですよねえ。ということは、いままで日本が軍隊を持たずにやってきたのは、なにもアメリカによる圧力によるようなものではなくて、日本人たちが自ら戦争の放棄を護ってきたことの表れなんですよね。まるで、再軍備しない要因がアメリカなどの西側諸国にあるかのような言説もあったように思うのだけれど、そうではないみたい。日本の再軍備に反対していたのはオーストラリア、ニュージーランド、フィリピンといった国々だったと。なるほどね。それでいまや、韓国や中国なんかが警戒しているってことなんだけれど、アメリカは日本の再軍備を容認の姿勢のままなんだろうか。別段、気にしてなさげではありますが。やっぱり、日本の周辺国が、かつてのように軍国主義化、全体主義化、帝国主義化した日本が、侵略をはじめて、虐殺をしてまわることを不安に感じているというのがあって、そこを考えて軍備しないというのはあるのでしょうが、この占領当時から、日本国憲法にしても、牧歌的なものだとアメリカの官僚なんかは言っていたみたいです。

  • 確か日経新聞で好評だったから買った、のだと思う。

    淡々とした事実の並びから、アメリカの都合と支配層の性善説と、日本の天然ぶりがよく見える。公職追放の影響度は甚大も、敵対的買収された先の管理職層がクビになったと考えれば全くおかしくない。それで堂々返り咲く鳩山家の生命力こそ異常。

    もうひとつ、本書の特徴は沖縄の状況についても淡々と併記していること。2013年に現安倍内閣が定めた「主権回復の日」。本書では「サンフランシスコ講和条約が発効した4月28日、日本から分離された沖縄は、この日を「屈辱の日」として記憶することになった」。そりゃ沖縄の人は怒るわ。

  • 「戦後レジームからの脱却」という文言が流布しています。「戦後長きにわたり続いてきた諸制度を原点にさかのぼって大胆に見直す改革」として安倍首相が掲げた指針です(第168回国会衆議院本会議、2007年9月10日)。おそらく、ここで言われる「原点」とは敗戦直後の占領期のことかと思われます。
    この占領期を概観したのが本書になります。東京(日本本土)‐ワシントン‐沖縄という三つの視点から、錯綜した当時の様子が複眼的に描かれています。〝戦前・戦時期の日本政治と戦後の占領改革の連続性/断絶性〟や〝占領改革が戦後体制の形成に及ぼした影響〟といった論点も考察の課題とされています。筆者の言葉を借りるなら、「『押し付けられた』戦後像からの脱却の試み」(8頁)とも概括できることでしょう。
    アジア・太平洋戦争前後の歴史の捉え方が政治的言論を方向づける様を今日あまた見て取れます。そうした現況において、現存する史資料に立脚しながら当時を再構成する試みは、如何なる 方向に考えを展開するにしても思考の一助となるように思われます。
    (ラーニング・アドバイザー/国際 OYAMA)

    ▼筑波大学附属図書館の所蔵情報はこちら
    http://www.tulips.tsukuba.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=1627862

  • 我が国の占領期の話。敗戦からサンフランシスコ平和条約までの通史である。副題のように、東京、ワシントン、沖縄のアクターについて書かれている。
    現在における安全保障、沖縄の基地問題の起源を探るには簡潔に書かれており、良い本だと思う。しかし、東京とワシントンのアクターにのみ重きがあり、沖縄がオマケというように書かれている点が残念。もしかしたら、沖縄についてこれ以上書くことが無いのかもしれないが。

  • まあ、面白いとか言うタイプの本ではないな。自分はこの時期のことを知りたかったので興味深く読みました。勉強になったよ。

  • 昨今、本邦近代史の解説書は右か左に偏ったものが多い中で、中立的事実を淡々と記述した本書はむしろ占領下から現在へ続く日本の政治的動向を明らかにする。

    護憲、護平和政党との自己宣伝が喧しい共産党は、戦後一貫して反米(=親中ロ)、反憲法の革命政党であった。(いつから護憲に変わったのか?)

    社会党は内部のイデオロギー闘争により、不毛な分裂を繰り返す。

    米国の占領政策は単に場当たり的なものだったが、悪気も反省もない。

    朝鮮戦争勃発時の某米高官のコメント「(朝鮮戦争が)日本人を憲法九条による牧歌的空想から目覚めさせる」を始め、60年以上前と何ら変化のない状況に驚かされる。

  • アメリカの占領政策を政府、国会、官僚、市民運動家はどう捉えたか。
    終戦前は大政翼賛会という形ではあるが、紛いなりにも国会は存続していた。終戦直後彼らが引き続き国政を担ったが、当然ながら急進的な占領政策を受け容れることはできなかった。
    一方で、農地改革の前提となる小作人の窮乏は戦前から農水官僚らによって認識されていた問題であり、婦人参政権も平塚雷鳥らによって主張された問題であったと言う点で、戦前からの懸案を占領を背景として一掃したに過ぎないという見方もできる。
    しかし、リベラルな占領改革はそういった人々の常識を超えていた。農地改革はより徹底して行われ、大企業は解体されようとした。一連の改革は片山哲社会党政権時にピークを迎える。
    これらの改革は長続きするものでもなかった。アメリカからしてもこの改革は十二分にリベラルであり本国の反発が増大した他、吉田茂を中心として日本からの反発も強くなる。結局サンフランシスコ講和=日米安保という形で、自民党「保守」政治が形成されていく。

    思うに、占領改革とその後の逆コースなど保守反動は一体であった。占領改革は日本における政策の選択肢を広げ、その後吉田茂らによって取捨選択が為された。そうして戦後体制が作られて行った。
    終戦直後、という今でも(今だからこそ)真偽不明の怪情報が飛び交う時代について、抑制的に描いた参考すべき著作。

  • 戦後日本の国のかたちを作った占領期。
    GHQの占領政策から国内の政治の動きまで網羅し、敗戦から講和条約締結までの日本占領の7年間を詳細に記した内容。

    GHQの占領当初は日本の非軍事化と民主化に重点が置かれ、そのなかから日本国憲法が(押し付けであれなんであれ)誕生する。
    しかし、冷戦という国際情勢の変化から、米国の占領政策が民主化から反共の砦にするべく経済復興へシフトする。50年に朝鮮戦争が始まると、米国から日本再軍備の要求は激しさを増すが、これをうまく避けて自衛隊の創設でかわしたのがときの総理・吉田茂だった。彼は早期独立(講和条約締結)と引き換えに米軍駐留を認め、日本再軍備に抵抗し安全保障は米国に任せる選択をとる。吉田の軽武装対米依存経済重視の政策は、沖縄を担保としてサンフランシスコ講和条約と日米安保条約のセットの締結として形になる。
    講和によって日本は国際社会に復帰する。同時に、憲法、自衛隊、米軍駐留、沖縄など、現在まで続く問題と戦後日本の国のかたちが出来上がった。



    読み通して思うのは敗戦・占領という特異な状況であったとはいえ、日本が主体的に自律的に自らの意思で戦後の国のかたちを作り、歩むことができなかったということだ。
    特に憲法の成立過程や自衛隊の源となった警察予備隊誕生の動機や在日米軍駐留容認などの背景を読むとその思いを強くする。
    GHQという外圧と国際情勢の変化という外部要因が合わさって、その文脈の中から戦後日本が出発した。このことを認識しないといけない。
    自分が生きるいまの時代の原点がこの時期の歴史にある。本書はそれを知る最適な内容だ。

  • 労働組合法が公布された時点では、公務員の争議権が認められていたことをうっかりしていました。だから、政令201号が必要だったわけです。

  • この一言に要約されるでしょう。「日本占領は連合国の占領でありながら、実質的にはマッカーサーによるアメリカの単独占領であった。」ところで、以前NHKの番組で終戦直後に進駐してきた米軍が、舗装されていない地方をトラックで走っているところが映っていたのですが、そのとき日本人のすべての人が、米軍に背を向けていたのがとても印象的でした。でも暫くしたら、日本人の米軍に対する態度は180度変わったのですね。なんか悲しいですね。戦後の米ソ冷戦構造が単独講和に向かわせたのですね。

  • 占領下の日本について、他の文献では欠けていた箇所も書かれていた

  • 勉強になりました。

  • 獨協大学教授(政治学)の福永文夫(1953-)による戦後占領期の国内政治史の概説。

    【構成】
    序章 占領した者とされた者 東京・ワシントン・沖縄
    第1章 敗戦と占領 非軍事化、民主化へ
     1 日本降伏からGHQの成立へ
     2 戦後政治の起動
    第2章 占領改革と政党政治の再出発
     1 日本国憲法の誕生
     2 公職追放から新生会議へ
    第3章 中道政権の軌跡
     1 片山内閣の誕生 日米「改革派」連合の形成
     2 動揺する中道政権 求められる経済安定
    第4章 占領政策の転換 民主化から経済復興へ
     1 中道政権の限界 片山内閣から芦田内閣へ
     2 ドッジ・ライン 日米「保守派」連合の形成
    第5章 サンフランシスコ講和 占領の終結
     1 講和への道 全面講和か単独講和か
     2 米軍駐留容認と朝鮮戦争の激化
     3 二つの条約締結へ 講和と日米安保
    終章 占領と戦後日本

    GHQ-SCAPによる日本占領は1945年8月から1952年4月までの6年8か月に及んだ。この間の多岐にわたる政治・行政改革が、独立後の日本に多大な影響を及ぼしたことは広く知られている。

    本書の特色は以下2点である。
    1点目:本土-沖縄を対比させながら、占領期の地理的な多面性を描き出したこと。
    2点目:政治史の中心を吉田茂および自由党(民自党)単独ではなく、中道政権(片山・芦田政権)の二軸で描いたこと。


    占領政策を米英ソ中を中心とした国際政治の中で位置づける場合、沖縄に対する米国軍部の主張は当然外すことはできない。著者と同じ五百旗頭門下のエルドリッヂが『沖縄問題の起源』で論じたテーマである。
    しかし、一方で、沖縄で展開された軍政の内容を紹介するというのは、政治外交史・国際政治史の視点からは外れることが多い。本書ではこれを本土の占領政策と対比させることで、アメリカ政府の本土-沖縄への対応の違い、本土-沖縄間の経済復興状況の違いを際立させる。沖縄の記述量が著者の目的に対して十分であったのかは意見が分かれるところであろうが、本土が「間接的」に占領されていた意味を改めて考える機会にはなった。

    2点目の特色であるが、これはあとがきでも触れられているように、著者が戦後初期の中道政権に強く興味を持っていることの表れであろう。民政局のホイットニー、ケーディスを中心にして、社会党政権への期待とテコ入れが強く行われていたことは周知の事実であるが、著者は民政局-社会党政権を「日米「改革」派連合」と呼ぶ。
    中道政権への期待の中身は、政治的中立(保守反動への抑制と共産化への牽制)と経済安定施策の実行であった。本書では、組閣後すぐにインフレに対応できなくなり支持急落のきっかけとなった点、傾斜生産方式は第一次吉田内閣を引き継いだものである点、に言及しながらなぜか片山政権の経済政策については及第点を与えている。(評者にはやや甘い評価に見える)。

    この改革派連合のほころびをめぐり、労働政策を中心に論じているのは、核心をついているだろう。当時の労働運動は1946年2月にゼネストを敢行しようとした官公労が中心であり、彼らの労働権を規定する公務員法、そしてその後の政令201号の制定はGHQの労働政策の転換点であり、国内占領政策における民政局の影響力の陰りを象徴するものであった。そして、支持基盤である労働組合の足並みがそろわないなか、中道政権は動揺し、再び吉田茂が首班指名されることとなる。強烈な痛みを伴うドッジ・ライン実行にあたって、安定した「日米「保守派」連合」が組まれることになる。

    サンフランシスコ体制への架け橋として占領期を論じるのであれば、第5章のボリュームでは物足りない気がするが、国内世論の分裂と、安保締結によって得たもの失ったもの... 続きを読む

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1945年の敗戦後、マッカーサーを頂点にGHQの支配下に置かれた日本。当初占領政策は非軍事化・民主化を推進、平和主義を追求した日本国憲法が花開く。だが冷戦が深まる中、日本を「反共親米」にすべく、政策は経済復興に転換される。51年、朝鮮戦争の最中に結ばれたサンフランシスコ講和条約は日米安保条約とセットの締結となった。本書は、21世紀まで続く「戦後体制」が創られた日本占領7年間の全貌を描く。

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