フランス現代思想史 - 構造主義からデリダ以後へ (中公新書)
- 中央公論新社 (2015年1月23日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121023001
作品紹介・あらすじ
一九六〇年代初め、サルトルの実存主義に代わり、西洋近代を自己批判的に解明する構造主義が世界を席捲した。レヴィ=ストロースをはじめ、ラカン、バルト、アルチュセールの活躍。六八年の五月革命と前後するフーコー、ドゥルーズ=ガタリ、デリダによるポスト構造主義への展開。さらには九〇年代の管理社会論と脱構築の政治化へ。構造主義の成立から巨匠たち亡き後の現在までを一望する、ダイナミックな思想史の試み。
感想・レビュー・書評
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終盤飽きたけどおもしろかった
時代時代の思想が、世界をみる"眼鏡"に例えられてて、だから個々への相性がもちろん存在する、みたいなこと言われててけっこうしっくりきた詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
構造を理解するための脳内の構造の作り方が少し見えた。レヴィ=ストロースはしっかり読み直したい。
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フランス現代思想と呼ばれているものを学びたいと思っている初学者なのですが、いきなりラカン、デリダなどの書籍に飛びつくのはあまりに敷居が高いと思い、アマゾンで本書を見つけたのでとりあえず購入して読んでみました。結論から言うと大変満足しています。想像以上に良かったです。まず何よりも各思想家の思想がわかりやすかったです。さらに言えば、特定の思想家の文章を引用しながら、著者自身が「これでは何を言っているかわからないだろう」と認めて解説を加えてくれていることです。本書の最後の方に書かれていましたが、どうやらレヴィ=ストロースからはじまる構造主義、ポスト構造主義は(本書では<フランス現代思想>という呼び名にしている)、文芸的哲学論の特徴があり、意図的に情緒的表現というか謎解き要素をちりばめていて、ソーカルらが「ファッショナブル・ナンセンス」と呼んでいるように、何を言っているのかよくわからないようにしている面もあるのです。そうなると後は好き嫌いの話かもしれません。そんなのは馬鹿げているので読む気がしなくなる、という人もいるでしょうし、私などは、逆に気が楽になって、ほとんどわからなくてもいいので割り切って読んでみようかという気になりました。これから巻末に書かれている、各思想家の書かれた書籍に少しずつ挑戦したいと思います。
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かなり分かりやすいです。
素人が入門のつもりで読んだので思想史としての完成度は分かりませんが、文の易しさと内容の解像度のバランスが丁度良かったです。一読で満足感がありました。
レヴィストロース、フーコー、ドゥルーズ=ガタリ、デリダは比較的紙幅が多く、生涯を通した思想の変遷とともに個々の思想が解説されています。
バルト、ラカン、アルチュセール辺りは紙幅が少ないながらも、どんな課題に対して、どのような思想を打ち出したのかが整理されています。
解説のキーとなるコンセプトがぼやけないよう、常に読者への配慮がなされていると感じました。
個人的には哲学•思想の入門書は玉石混交、「で、やってることはなんとなく分かったけど、なんでこの哲学者はこんな事してんの?」っていう疑問が払拭できずにおいてきぼりを喰らってしまうことが少なくなかったので、その点本著はアタリだ!と思いました。
原著へとあたるモチベーションを与えてくれる、良い入門書だと感じました。 -
フランスポストモダンとその後の潮流をまとめており、新書と言う紙幅が少ない中で重要な点をまとめた本。
また、各章哲学者に焦点を当てながら、他の思想をどう読み理解したのかという横のつながりを見せている点で興味深い本でした。 -
著者は、フランスだけでなく、ドイツ、英米系の哲学史も研究されているようで、そのこともあってか、陽に示していたように、距離をとって書くという姿勢をとるとあったが、その点においては成功していたと思う。
所謂、ポストモダンの三人衆、フーコー、デリダ、ドゥルーズは、日米で流行っていた頃には、本家フランスでは、熱気が冷めていたことには驚いた。
批判している論者が、その論点によって、自らの首も絞めてしまうところは面白かった。例えば、フーコーの、権力論のアポリアである。著者の手厳しい指摘に対しては、どんな思想家も、出る杭は打たれるようにも感じた。
マルクスが意外にも、幅を利かせていたことにも驚く。私よりも世代が上の人はリアルなのだろうが、これから先にも、マルクスの壁は立ちはだかっていくことになるかもしれない。 -
評価できるほど知識があるわけではないのですが、史とつくだけあり時代背景やこれまでの思想の流れの位置付けという場所に重きを置いている騙りであった気がします。
内容の深掘りよりは時代の要請の中で成し遂げられなかったことについてが印象に残る文章の流れになっている気がします。
個人的には今後学ぶまでは保留ですが、語ったというより触れたという印象だったので、同本に出てきた本を読み進めようと思いました。 -
再読(初読:2015-04-30)
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最高!
やる気が出た!! -
【レヴィ=ストロース】
フーコーは「構造なき構造主義」(ピアジェ)
「真の構造主義が可能なのは、言語学と民族学だけ」
特に音韻論の方法と類似した方法を用いて人類学を構築しようと意図している
(ヤコブソンとの出会い)
冷たい社会
サルトル批判
『弁証法的理性批判』における弁証法的な「全体化作用」←「野生の思考は全体化作用をもつ」
レヴィストロースの批判によって(カミュやメルポとは違って)社会的な影響力を失った
「歴史と弁証法」
デリダからの批判 反民族中心主義
論理記号の無意味性について
【ラカン】
鏡像段階論
【バルト】
ラングとスティルの中間項がエクリチュール(書き方)
→のちにテクスト論へ
【アルチュセール】
プログレマティック(問題系)、重層的決定
抑圧装置と再生産
68年の根本経験から生まれた思想
アルチュセール イデオロギー論『再生産について』
フーコー 権力論『監視と処罰』
ドゥルーズとガタリ 欲望論『アンチ・オイディプス』
【フーコー】
西洋の狂人はレヴィストロースの未開人と同じ状況?
「構造論的歴史」(バルト)
実存主義への回帰
【ドゥルーズとガタリ】
スキゾ(革命的)とパラノ(反動的)
『アンチ・』欲望する諸機械
『千の』リゾーム(非中心化システム、多様性と非等質性)
欲望する諸機械→動的編成アジャンスマン
リオタール『ポストモダンの条件』
ネグリ『帝国』
【デリダ】
書差学グラマトロジー
French theoryの受容
日本と海外の違い
ソルジェニーツィン『収容所群島』
「ヌーヴォー・フィロゾフ」新哲学派
フェリーとルノー『68年の思想』
文芸哲学