ニュルンベルク裁判 (中公新書)

  • 96人登録
  • 3.53評価
    • (2)
    • (9)
    • (6)
    • (1)
    • (1)
  • 14レビュー
制作 : 板橋 拓己 
  • 中央公論新社 (2015年4月24日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (230ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121023131

ニュルンベルク裁判 (中公新書)の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • 史上初の国際戦争裁判であるニュルンベルク裁判の概観。
    メインの国際軍事法廷だけでなく、12の継続裁判もあつかっている。
    裁判全体とその影響や意味をさらりとまとめてある。
    入門に最適と評価されるのもうなずける。

    ※表紙画像に変なおびがついてるけど、勝者の裁判の欺瞞を問う!みたいな内容ではない。


    当たり前といえば当たり前だけど、つくづく政治だ。
    被害や加害や倫理なんて、自国の利益を最大にするためのロジックに使われるだけにすぎない。
    アメリカは正義をかかげ、単純なストーリーをつくりたがる。(そして利害であっさり手のひらを返す)
    イギリスは煮えきらず、フランスは他人事じゃないから寝た子をおこしたくない。
    ソ連はあからさまに政治的駆け引きしか興味がない。

    連合国の利害が一致しないから、ひどい事件がスルーされる反面、足をひっぱりあって相手に都合の悪い真実をひきだすこともある。
    ソ連がいい具合にヒール役を果たしてる。
    裁判後の執行さえ、東西ドイツをそれぞれ自陣にひきつけるために利用された。

    ドイツは当初(敗戦直後)食うに困ってるからそれどころじゃなかったり、その状況に責任がある指導者たちを恨んだりしているから「自国の罪」に対する反応がわりと薄い。
    しかしそのうち「ドイツ人全体の罪」を「勝者の裁き」で非難されているとして反発する。
    そのあと親の罪と向き合う子供世代がでてくるわけだけど、そうか、そのころはまだ戦争をした人たちが現役でたくさん生きてたのか。

    政府高官や官僚への裁判の主要な被告はエルンスト・フォン・ヴァイツゼッカー。
    先頃亡くなったリヒャルト・フォン・ヴァイツゼッカー元西独大統領の父親。
    ぜんぜん知らなかったのでびっくりした。
    そういうルーツをもつ人が大統領になって、過去と向き合おうと演説したのか。
    あたらしい歴史教科書を作ったり過去をみないで未来へすすもうと訴えたり数でゴリおししたりする某我が国の総理と比べてしまう。
    はぁすごいなあ。
    戦後から現在のドイツへの連続的変化もちゃんと知りたい。


    死刑判決を受けた人が「体調悪化のため釈放」なんていうのを見ると、いやおまえふざけんなよ強制収容された人たちは…と思ってしまう。
    でもそれは当時のアメリカが自制した報復主義の発想なんだよな。
    理想に従うってむずかしい。

    裁判直後とは逆に、現在ではアメリカが道理を無視してつっぱしり、ドイツは法による解決を支持している。
    歴史から学ぶとか、人を害さないとか、それだけのことがなんでこんなに難しいんだろう。
    尾崎行雄の言葉がちらちら浮かんだ。
    あるべき世界がどんどん遠くなってる。



    子世代
    『ドイツを変えた六八年運動』http://booklog.jp/users/melancholidea/archives/1/4560026076

    ヴァイツゼッカー大統領、1985年の演説
    『荒れ野の40年』http://booklog.jp/users/melancholidea/archives/1/400009467X

    尾崎行雄の理想
    『咢堂言行録』http://booklog.jp/quote/79094

  • [勝者の裁きか、正義の一里塚か]ナチスの戦争犯罪人などを裁いたことで、戦争責任や国際法の分野において今日でも注目を集めるニュルンベルク裁判。東京裁判との関係でも引き合いに出されるこの裁判の実像と,その影響をコンパクトにまとめた作品です。著者は、人権と国際法の歴史において、ドイツを代表する中堅研究家として名高いアンネッテ・ヴァインケ。訳者は、自身でも『アデナウアー』等の著作を執筆されている板橋拓己。


    訳者も指摘しているとおり、ニュルンベルク裁判に関する簡潔で的を射た作品をあまり日本の書店で見たことがなかったため、読んでみて意外に思う事実と多く出会うことになった一冊でした。読み進めるにあたっては少し前提知識が必要になる気もしますが、参考図書も広く巻末で紹介されているため、この一冊を手掛かりに,戦争責任や歴史認識の構築といった幅広いテーマに歩を進めてみるのもいいかもしれません。

    〜ニュルンベルク国際軍事法廷の最大の欠点は、創造された規範が、自らの普遍的な主張にもかかわらず、その後も拘束力を持たなかったことであった。〜

    『アデナウアー』も読んでみようかな☆5つ

  • ニュルンベルク裁判の入門書の位置を占める本の訳書。
    同裁判についての本を初めて読んだのだが、分かりやすかった。
    最後の「読書案内」に載っている本を読んでいってみようと思う。

  • ニュルンベルク裁判についての概説書。
    従来ありえなかった形の戦争に直面し、如何にしてそれを裁くかということの試みとして、ニュルンベルク裁判を位置づけ、それがその後の国際法に与えた影響について述べられている。

    本書を読んで考えないといけないのは、国際社会における法の支配のあり方についてである。アナーキーな国際社会における人道的な違反について、裁くことは困難である。そのような困難を目の前にし、当時の人間は法の支配を導入しようと試み。一部は成功することになった。しかし、法の支配は、国際社会の中では、主権国家の国益に左右され、時に無力となってしまう。例えばイラク戦争が言えるだろう。如何にして国際社会を秩序立てるかということが、難しいことであると思った。

  • どのくらい勝てば官軍なのだろう、と思って読み始めたのですが、物事とは複雑なのでそういう問題じゃないと言うことがわかりました。

  • ニュルンベルク裁判の概略を、継続裁判も含め、わかりやすく解説した良書。
    ヨーロッパの大戦はドイツ敗戦で終わり、という教科書的な歴史ではなく、ニュルンベルク裁判、東西冷戦、そして現在のドイツへとつながることを理解させてくれる。
    間違いなく、ニュルンベルク裁判を知るにあたって読むべき一冊目となるだろう。
    訳も読みやすく配慮されていると感じた。
    さすが老舗新書シリーズといった内容。

  • 勉強になりました。

  • 難しかった。下地がある人は良いのかな。読んでてもなかなか頭に入らない。読みにくいけど読売新聞書評に取り上げられるくらいだから良書なのだろう。。法による集団的な平和の確保という考えは初めて学んだ。国連がアルカイダを法的に検証する臨時法廷をたてようとしたのにブッシュは拒否して侵略戦争の処罰の規範化がなされなかったのだと。問題は私たちは歴史に学んだ判断をしていないことにすら気づかないことだ。

  • 時間がなくって超速読ベースで目を通した。後できちんと再読したい。
    とても簡潔にニュルンベルク裁判の全貌がまとまっている本だと思う。当たり前だけど、最後は戦勝国間の思惑と、責任のなすりつけ合いという形になるんだなーと思った。

  • 2015年6月新着

全14件中 1 - 10件を表示

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
ジャレド・ダイア...
有効な右矢印 無効な右矢印

ニュルンベルク裁判 (中公新書)を本棚に「読みたい」で登録しているひと

ニュルンベルク裁判 (中公新書)を本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

ニュルンベルク裁判 (中公新書)の作品紹介

ナチ・ドイツによる第2次世界大戦中の戦争犯罪を裁いたニュルンベルク裁判。主要犯罪人24名を扱った国際軍事法廷、医師・親衛隊員・高級官僚ら185名を扱った12の継続裁判で構成され、終戦後、半年を経て始まった。法廷では、ホロコーストを始めナチの悪行が明らかにされ、「平和に対する罪」「人道に対する罪」など新しい罪の規定が話題を呼ぶ。本書は、東京裁判のモデルとなった史上初の大規模な戦争犯罪裁判の全貌を描く。

ツイートする