カラー版 廃線紀行―もうひとつの鉄道旅 (中公新書 2331)

著者 :
  • 中央公論新社
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本棚登録 : 170
感想 : 26
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  • Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121023315

作品紹介・あらすじ

「絶景廃線」と呼びたくなる路線がある。瀬戸大橋の見える下津井電鉄、景勝地・耶馬渓の真ん中を走る大分交通耶馬渓線などだ。他方で、ありふれた景色の中を通っているが、歩いてみると何とも楽しい路線も少なくない。鉄道をこよなく愛する著者が五年をかけて全国の廃線跡を踏破。往時の威容に思いを馳せつつ、現在の姿を活写する。北は道東の国鉄根北線から南は鹿児島交通南薩線まで、精選五〇路線を紹介する廃線案内。

感想・レビュー・書評

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  • 著者、梯久美子さん、どのような方かというと、ウィキペディアには、次のように書かれています。

    ---引用開始

    梯 久美子(かけはし くみこ、1961年 - )は、日本のノンフィクション作家。

    ---引用終了


    で、本作の内容は、次のとおり。

    ---引用開始

    鉄道マニアを自認する著者が各地に散在する廃線を踏破。北は道東の根北線から南は鹿児島交通南薩線まで精選50路線を紹介する。

    ---引用終了


    最も興味深かったのは、p58~p61の、「陸軍鉄道聯隊軍用線」。
    廃止時期は戦後。
    廃止区間は、都賀-八街-三里塚 四街道-都賀 千葉-津田沼 津田沼-松戸・中の浜 などで、複数あるようだ。

    千葉公園は、かつて陸軍鉄道第一聯隊の作業場だったとのこと。
    今でも残っているのかは不明だが、取材時(2012年頃)は、千葉公園に、演習用トンネルが残っており、その写真が本書に載っている。
    その写真を見ると、異様に短いトンネルだが、それは演習で造ったものだから、とのこと。

    それから、津田沼駅の南側には、かつて鉄道第二聯隊があり、その正門が、取材時(2012年頃)の千葉工業大学の通用門になっているとのこと。

  • 今は無き八重洲ブックセンター本店で閉店になる10日くらい前に、もう最後だから何か買おうと思って新書の棚を眺めていたら見つけた本です。
    元々新聞の連載をまとめたもののようで各路線にかけるページ数は少ないものの、著者がちゃんと現地に行って見て書いているのが判って、自分でも行って見たくなります。自動車の運転をせずに歩ける範囲で取材しているので、その点も実際に行くときの参考になりそうです。

  • 2021年1月期の展示本です。
    最新の所在はOPACを確認してください。

    TEA-OPACへのリンクはこちら↓
    https://opac.tenri-u.ac.jp/opac/opac_details/?bibid=BB00519071

  • ■一橋大学所在情報(HERMES-catalogへのリンク)
    【書籍】
    https://opac.lib.hit-u.ac.jp/opac/opac_link/bibid/1001071173

  • 梯久美子が、全国の廃線50路線を訪ねて歩いた紀行文集。
    日本には、訪ねるに値する場所が多いのだなぁと、感心する。
    こういう本を読むと、旅に出たくなる。

  • 硫黄島の優れた研究者である著者が、廃線をめぐり、その50路線について写真をまじえ簡潔にまとめた本。研究も精緻であるが、言葉が柔らかく味のある文章となっている。今後の訪問に備え、購入することにしたい。

  • 1路線に対して4ページとやや物足りなさはあったものの、写真や的確な地図により、わかりやすかった。

  • 感想未記入

  • すつかり市民権を得たと思はれる「廃線紀行」。しかし、以前もどこかで書いた気がしますが、わたくしは廃線紀行はしません。鉄道の廃墟を巡るなんて、悲しすぎる。否それ以前に正視に堪へません。必ず泣いてしまふのであります。
    しかし本書『廃線紀行―もうひとつの鉄道旅』については、著者が『散るぞ悲しき』の梯久美子さんであること、朝日新聞紙上で原武史氏が、2015年の三冊のひとつに選んでゐたことなどから、購買してみました。カラー版といふことで紙質が良く、価格にも反映されてゐます。ちよつと高め。

    読売新聞の土曜夕刊に連載していたものから、50路線を選んで収録したのが本書なのださうです。選ばんでも良かつたのに。分厚くなつても良いから(或は分冊でも可)、全てを収録して頂きたかつたですなあ。そして、連載といふ性格上仕方がないのかも知れませんが、一路線につきもつと頁を割いて欲しいと願ふのはわたくしだけでせうか。せつかく取材に行つて、僅か4頁で纏めるのはいかにも勿体ない。

    さう思はせるのは、言ふまでもなく内容が充実してゐるからこそであります。
    まづは路線の選択。くりはら田園鉄道や三木鉄道のやうに、ごく最近まで走つてゐたものから、「日本瓦斯製造専用線」「蹴上インクライン」みたいに「何ソレ?」と言ひたくなるやうなメイニアックな路線まで、変化に富んでゐます。
    そして個人的に嬉しいのは、地元名鉄線が4路線も収録されてゐること。全体の割合からすると、かなりの高率ではありますまいか。もつとも、それだけ多くの名鉄線が廃線となつた証左でもあり、単純に喜べぬのですが。

    一口に廃線跡と言つても、その興味対象は幅広うございます。橋脚・トンネル・駅舎・プラットホーム・レール・架線柱......それらが完全に形として残つてゐるものもあれば、朽ち果てて辛うじてその面影を偲ばせるものも。
    著者はそれらの全てに愛情を注ぎ、まるで旧友を訪ねる旅のやうに廃線跡を目指すのです。ノンフィクション作家らしく、地元での聞き込み、取材も万全であります。

    鉄道からクルマ中心の社会となり久しうございます。いくら地元(私企業や自治体など)が躍起となつても、国が進めてきた政策には抗へません。しかしよく言はれることですが、鉄道が廃止されてその土地が発展したといふ例は無いのであります。寧ろ廃線後、雪崩を打つかのやうに過疎化、衰退化が促進されるのでした。三木鉄道で働いてゐたといふ男性の話にも「鉄道がなくなることは、町の活力がなくなることなんだよ」とありました。
    梯久美子さんは抑制された文章の中に、地元の人々と触れ合ふ中で、控へ目ですが文明批評もちらつかせてゐます。声高に主張しない分、読者が考へる余地を残してゐると申せませんかね。

    作家としての鑑賞眼の確かさと、テツとしての専門知識の豊富さが安心感を与へる最強の一冊ですな。ふと、この人に「阿房列車」を走らせて(執筆の意)欲しいなあと思ひました。
    残念だつたのは、わが地元の「三河広瀬」駅にて、豊田名物「五平もち」を食して頂けなかつたことですな。2010年の取材だといふことですが、その後五平もちとの対面が実現したのかどうか、気になるところであります。

    ぢや、又お会ひしませう。ご無礼いたします。

    http://genjigawa.blog.fc2.com/blog-entry-605.html

  • 近畿にも写真で題材になる廃線跡が多い。

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著者プロフィール

ノンフィクション作家。1961(昭和36)年、熊本市生まれ。北海道大学文学部卒業後、編集者を経て文筆業に。2005年のデビュー作『散るぞ悲しき 硫黄島総指揮官・栗林忠道』で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。同書は米、英、仏、伊など世界8か国で翻訳出版されている。著書に『昭和二十年夏、僕は兵士だった』、『狂うひと 「死の棘」の妻・島尾ミホ』(読売文学賞、芸術選奨文部科学大臣賞、講談社ノンフィクション賞受賞)、『原民喜 死と愛と孤独の肖像』、『この父ありて 娘たちの歳月』などがある。

「2023年 『サガレン 樺太/サハリン 境界を旅する』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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